第十二話:炎のカニ最終決戦前編
「カニレイスは目覚めた」
預言カニが言った。
「さっきの空間切断のことか?」
「カニレイスの領域は我らを侵ししつつある」
「悪魔カニレイス…か。そいつは一体何なんだ?」
風景が変わった。今度は海を臨める岬の上にいた。
「我々はカニレイスと戦い、空間そのものに封じた。その封印が破られれば彼らも我らに襲いかかった来るだろう」
ザードははっとした。
「まさか、空間自体を爆破するつもりなのかカニレイスは! この距離で空間破壊が起こったら地球もただでは済まない!」
ザードの意識はシャトルの中に戻った。
サザンクロスの中は静まり返っていた。悪魔の正体に気づいていたワイズマンはリフレクター盤に細工を加えたが、そのことがロストにばれ、反逆罪で監禁された。そして、再びカニレイスの封印を解くべく量子放射が行われる。ザードはちょうどその場面に出くわした。
「ん、なにか通信が着ているな」ロストが言う。
「映せ」
『ザードだ。カニレイスを復活させると地球が滅ぶぞ!』
「信仰のなせる業だよ。福島の惨状を見ただろう。カニたちですら身体を大きく変化させ苦しんでいた。悪魔がいるとしたらカニレイスではない。人間だ」
ロストは演説する。
『だからカニ帝国と国連宇宙開発部は結託したんですね。カニは生きるために。そして国連宇宙開発部は、福島再開発の失敗を葬り去るために預言カニの情報とカニレイスの情報が欲しかった。更に言えば、今行なっている量子放射で預言カニのワームホールを強引に開いた……!』
ザードはまくし立てる。
「その通りだ。ザード君、君もカニレイス復活の時を思う存分眺めるがいい!」
通信は切断された。スクリーンには空間に燃える焔が蟹の形を作っている光景が映っていた。それは完全なるカニの形を模した後、ロストめがけて船影すら無視して突っ込んできた。ロストは焔に飲み込まれ、燃えた。
サザンクロスから焔が消えた。
ロストの様子を見ていたエクセルシオールのクルーたちはもう安心と言った風だった。しかし突如、ロストの身体は動き始める。手を向ければ掌圧でゲンは吹っ飛ぶし、神楽は重圧を感じて動けない。
「はっはっは、これがカニレイスの力か。向かうぞ。預言カニのワームホールへ」
次の瞬間、ロストは予期せぬ転送に巻き込まれた。ザードがシャトルに強制的に格納したのだった。
ロストはシャトルのキャビンでザードに出会う。そして手に入れたカニレイスの力でザードを葬ろうとする。
「ザード君にはちょっと大きすぎる棺桶だね」
「くっ……」
不思議な力で拘束され身動きがとれないザード。そして更に。
「進路をワームホールへ」
ロストはいいながらコンソールを叩く。
ワームホールはもはや安定していた。カニレイスが目覚めたからだ。
ワームホールの中で静止するシャトル。呼びかけて来ない預言カニ。しかしまるでワームホール自体が敵意を持っているようだった。ロストの霊的な力で束縛されたままのザードは何も出来ない。ロストが手を振り上げると、今きた道から大量の焔が流れ込んでくる。
と、焔と一緒にサザンクロスも来た。
『艦長、クリムです』
通信が入る。
『皆でロスト総督をやっつけましょう』




