第十一話:永遠の旅路
やがて、ザードはカニ帝国の心臓部にたどり着いた。厳重なセキュリティはなぜか尽く突破できた。それが疑問だったが、ともかくザードはカニ帝国皇帝と対峙する。
「よく来たな。預言カニの知識を持って」
「やはり罠か」
観念したようにザードが言う。
「そうだ。お前から預言カニの知識を読みとる。次に……」
「違うな、次はない」
ザードはフェイザーガンを発射した。しかし、フォースフィールドで防がれた。
「抵抗は無意味だ」
隠れていたカニが現れ、ザードを拘束する。
「貴様の止めは皇帝である私直々に刺してやろう」
カニ帝国皇帝がザードに迫る。
「ロスト総督、こいつら何も知らないようです」
サザンクロスの乗船したロストは部下から報告を受ける。
「構わん。ワームホールへ向かう。エクセルシオールは置いていけ」
「はい」
サザンクロスはワームホールに突入した。輝く空間、煌めく焔。再びエクセルシオールのクルーたちは空間そのものが燃えている場に舞い戻る。
「そうか……これがカニレイス……」
「バカな! 確かに心臓を貫いたはず!」
カニ帝国皇帝はハサミでザードの心臓を貫いた。しかし何故かそれは倒れなかった。それどころか。
「残念だったな」
どこからか響くザードの声。
「ホログラムか!」
「そうだ」
不可能な方向。つまり、カニのハサミからカニ帝国皇帝に向かって発射されるフェイザーガン。油断して防御を放棄していたカニ帝国皇帝はあっけなく蒸発した。ザードはそのことを後悔する。情報を得る前に殺してしまったからだ。
「仕方ない、船に戻るか」
通信系統は回復していたのでザードは簡単にエクセルシオールに戻ることが出来た。そして知る。クルーがロストに半ば誘拐されワームホールに向かったことを。
寄せ集めの人員でザードで動くエクセルシオール。そして命令する。
「我々はこれからワームホールへ向かう」
「しかし艦長、燃料がありません。ワープコアも放出しましたし」
「じゃあシャトルで私が単独で向かう」
ザードはそう宣言し、シャトルデッキに向かった。もはやターボリフトを動かすだけの燃料もない。
そしてデッキから発信するシャトル。フォースフィールドを突き破り、宇宙空間へ。重力から解き放たれたそれはスラスターでゆっくりと進んでいた。
「ロスト総督はどういうつもりなんだ……問いたださなくては」
「すぐには殺さん……待ってろよ……」
ロストはカニレイスの封印を解く方法を知っていた。リフレクター盤を無理やり調整させられるクルー。そして特定の波長の量子放射は起こされ、結果として預言カニのワームホールと同等のカニレイスのワームホールが発生する。それはちょうどザードがワームホールを通過中に生じた。新たなワームホールの発生に巻き込まれるザード。そして。
「またお前たちか」
ザードは今度は月の映る湖畔にいた。目の前にはカニがいた。




