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魔術は大きく三つに分類される。

身体能力を上げるような身体に影響するもの、自然界にある木火土金水(もっかどこんすい)を生み出すもの、そして闇と光。

但し、闇と光に関しては違うみたいで。

闇は魔王とか魔物しか使えず、光は勇者にしか使えない。

じゃあ結局二種類じゃんとか思っても仕方ないよね。


さて、その魔術の使い方なんだけど。

先に出てきたように、要はイメージの問題だ。

イメージが強く克明であればあるほど強力になっていく。

イメージを練ることはそのまま魔力を練ることと同様らしい。

つまり、想像力は創造力となるってこと。

うん、特に問題はないかな。

後は慣れよね。


「…………」


いざ実戦、となるとピタリと兄弟喧嘩が止まるなんて、謀ってんじゃないの。

フェイなんかガン見じゃないか。

こんな雑念ばっかり、やりにくいなぁもう。

あれだ、あれをやろう。


「ハヅキ、何やってるの?」

「…………」

「その座り方、足の形が悪くなりますわよ」

「…………」

「おっ前、なんでそう着眼点が馬鹿なんだよ」

「…………」

「随分と魔力が研ぎ澄まされてきているな」


…………どうしてこの兄弟はやいのやいの五月蝿いかな。

もう黙れよ見て分かんないかな座禅だよ座禅!

精神統一万歳だよ。

うぅ、邪念雑念雑音シャットアウト〜。

落ち着け私〜!


「魔力が乱れてきたな」




イッラァ




ほんともう黙れよ!

こいつらのいない所に行きたいっ!


と、思ったら身体がぐにゃりと歪んだ。

あまりの気持ち悪さに目を開けたらなんとまぁ。




森の中でした。






※※※※※






とりあえず、静かになったから座禅を組む。

うん、落ち着くなぁ。

私は基本的に昔ながらの日本人気質だから、自然崇拝なのよね。

私がこうして生きてこられたのも大地の恵みや海の幸のおかげ。

そりゃあお金も一先ずは必要だけどさ、お金だけあったって食べるものがなきゃ死んじゃうもの。

ここにも相互依存関係があるのよね。

それが成り立っているから生きていける。

私を生かす全てに感謝して。

まずは合気道から始めようか。




とか思っているんだけど………

視線が半端ないくらい感じるんだよねぇ。

好奇の視線と、悪意丸出しの視線が(とお)くらい。

街中であったゴロツキよりかは腕がたつようだ。

まぁ(こんなとこ)で人を襲おうってんだから当たり前か。

けっ、山賊だろーと人拐いだろーと、蹴散らして………いや、捕まえた方が賞金が出るかも。

勇者になろうがならまいが、お金は自力で稼がないと後に脅迫されかねないし。

うん、そうしよう。

山狩りだ。

久々に腕がなりそう。

元の世界でヤンキーグループ、暴走族グループ総計10個壊滅させて更正させた羽月さんがやってやんよ!






※※※※※






す、と警戒を解いて隙を作ってやると一斉に襲いかかってきた。

うん見極めは悪くないけど、見誤ったね。

所詮は相手が悪すぎるのよ。


どっ


まずは一人目。

回転回し蹴りで鳩尾にクリーンヒット。

さらに手刀で気絶させて二人目三人目に押し出す。

二人がもたついているすきに四人目の右袖、右肩の服を掴む。

こうすると逃げられなくなる。

短刀持ってるし、あぶないからねー。

クルリと体を反転させて相手の勢いを利用して一本背負い。

公式なにそれおいしいの精神で頭から落とす。

短刀を奪い、五人目に向けて勢いよく放った。

吹き矢の穴に命中し、指を切断してしまった。

切れ味良すぎ!

正直そこまでやるつもりはなかったけど、仕方ない。

正当防衛だ。

罪悪感を胸に六人目の右手を蹴って宙を舞った剣を奪った。

魔術を発動し、竹刀型に変化させる。

これで斬り殺してしまうことはないだろう。

残りは剣道の突き・面・胴・小手で始末した。

いい運動になった、と。


「くっそおおぉぉっっ!!」


ザンッ


私が指を切り落としてしまった男は、片付け終わった私に背後から襲いかかろうとしてきたが、更に背後からの奇襲に気づくことなく絶命してしまった。


「殺した、の」

「首領は始末しきった方がいいのさ。こんな中途半端な小物、留置場に一旦は収容されてもすぐに出てきて同じことを繰り返す。そうならない為には頭を潰さない限り延々と続いていくもんだ」


頭からすっぽりと外套を被った長身の男は剣をふって血を払い、更に紙を取り出して綺麗に拭った。

その汚れた紙は、ハラリと地に落ちていく。


血は、小まめに拭いておかないと切れ味が悪くなる。

血糊になってしまうからだ。

錆の原因にもなるしね。


だから男の所作が当たり前のように見えて、手慣れているんだと思った。

人を、殺めることに………


あぁ、切り落としてしまったとこから感じていたよ。

日本に、あんなに切れる刃はほとんどない。

でもここにはありふれていて。

それで人が死んでゆくんだね、こんな、ところで。


忌々しげに血がついた紙を見ていたら、男が笑う気配がした。




「魔王も同じだよ、勇者さん」







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