愛しているから、付き合えない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
頭の良い、親であり、兄姉のような二人の話です。
私には仲の良い友人が居る。小学校の頃から男女四人、仲良く過ごしていた。
そんなある時、その中の二人がくっ付いた。仲間の二人が恋人になっても、変わらず仲良く四人で遊んだ。けれども、これは必然と言うべきか、二人がデートの時には独り身同士、彼女のいない彼と話す事が滅法増えた。今日も、そんな日だった。
私が彼の部屋に居座って、出された麦茶をちみちみやる。死んだ目で飲んでいるせいか、傍から見れば廃れたOLがウーロンハイを飲んでいる様にも見えるだろう。
「あの子が君を選ぶ様だったら、反対していた。絶対に思わせ振りな態度とって泣かすから」
「失礼だな、君は。万人に優しいだけだよ」
今もとろりとした蠱惑的な声でそう問い掛ける。
無邪気で可愛いあの子達は気が付いていないようだけれど、彼は多分それなりに遊び人である。下心がないせいか、周りが寄ってくるタイプ。けれども彼自身が絶対に誰にも入れ込まないから、周りが総じて彼に夢中になる。
「君があの子を泣かす事を考えて、泣いた時の台詞も考えていたんだ。『お前が泣かしたのはただの女じゃないんだぞ。好きあった女なんだぞ。お前それ分かってやってんのか?』ってね」
彼は頭の良い人だ。今という状況を客観視して、的確な助言が出来る。時折耳を塞ぎたくなるけれど、それが救いになった場面も少なくない。
だからあの子は、あの子達は、我儘言いながらも、いじけながらも、彼の事を親や兄のように思っていたのだと思う。でも、だからこそ、絶対に付き合っても本気にはならないだろう。本気にならないから、あの子を泣かす。そんなの見たくない。
「あの子達が付き合って、余り物同士仲良くしようとか考えないの?」
「君は論外だね。付き合ったら間違いなく凭れる。言ってる事、恋愛観以外は全て正しいから、必ず依存する。自分の意思決定が無くなる。そんなの、君も望んじゃいないでしょう?」
彼は頭の良い人だ。頭の良い人は決して自分より馬鹿な人を愛さない。本気にならない。だから絶対に付き合えない。
「愛してるよ。初めて会った時から。でもだからこそ、君とは付き合えない」
彼の目に憂いが浮かんだ気がした。こうして彼を傷付けて、荒んだ人間関係を助長していることには薄々気が付いている。
それでも、君が触れてきた有象無象に成り下がるのは、御免だね。
「君を口説くのには、まだ長い時間が必要かな」
自分で書きながら、複雑にしてしまったので、解読してきます。
多分、二人とも相思相愛なんです。
でも付き合ったら、彼女自身が駄目になる。
そうして彼は、駄目になった彼女を愛してはくれない。
だから付き合わない。付き合えない。
大まかな流れはそんな感じかと。
下心はないんです。それこそ周りが寄ってくるぐらい。
でもやましさがない分、誰にも本気じゃないんです。
本命と付き合えないから、遊び人なんだろうな。
気持ちを紛らわせたいのだと思います。