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私魔法使いは無理って言いましたよね?〜魔力0の魔法使いは戦士にジョブチェンジしたい〜

作者: メリン

《適正鑑定完了》


水晶からそのような声がすると目の前にステータスが空中上に提示された。


攻撃:A

防御:B

運 :C

素早さ:B

魔力:ー


「おい、これも魔力が測定されてないぞ、壊れてるんじゃねぇか?」


私のステータス画面を後ろで見ていた彼は五角形の魔力の角のないところを指差しながら疑問を浮かべた。


「だから、それ何回目ですか?私は魔力無いんですよ?」


そう言いながら私は右手の"杖"で彼の横腹をつついた。


「はぁ、ほら見てください、あなたの適正職業は戦士って書いてあるじゃないですか、早くジョブチェンジしましょうよ。」


まあ、そんなこと言っても、彼は絶対


「「ダメだ、お前は魔法使いじゃないとダメだ。」」


「でしょ?」


お見通しですよと私は彼の言葉に合わせて出鼻をくじいた。


「分かってんじゃん、絶対鑑定が壊れてるだけだ!トリガー!お前ちゃんとやれよー」


「はぁ、どれだけ測定器を変えようとも結果は同じなんですよジック、それよりもあなたの頭の知力を測定した方が有意義ですよ、まあどうせ0どころかマイナスでしょうけど。」


「おい!マイナスはないだろ!0はあるとしても!」


「0はあるんだ。」


そう言いながら私たちのチームは馬車を進ませている。


ジック、職業は戦士で一応うちのリーダーだ。子供の頃から自称勇者と言っているが生まれはただの芋作りの農家の次男だ、昔から意味のわからないことを無理やり正当性を取ろうとする。


トリガー、職業は鑑定士でうちのブレイン担当だ。彼は鑑定士の夫婦から生まれた生まれも育ちも鑑定士であり、だいぶ鑑定士界隈では有名らしい。鑑定士界隈って何・・・?彼も私たちの子供の頃の友達だ。


「まぁ、ジックの知力がマイナスなのは今に始まった事じゃないでしょ?」


私は芋を頬張りながらそう言った。


「ミリーナなまで!」


そして私もそんな彼らの幼なじみである、この3人は子供が少ないあの村では毎日空が黒くなるまで遊んだっけな。

冒険者ごっこ、懐かしいな。


「あ、そういえばジック。」


「なんだ?」


「私次の街で戦士にジョブチェンジするね。」


「んー?」


「いや次の街はジョブチェンジが可能な街でしょ?滅多にないんだからさっさと戦士に変えたいなって・・・」


「ダメだ!」


私の発言に彼は即座に食い気味に切った。


「なんでよ!?」


「ダメなもんはダメだ!」


「そうだよ、戦士の方が圧倒的に僕達のチームは強くなるし、強いクエストに行けるんだよ?」


トリガーの言う通り、私が魔法が使えない以上、戦いはジック1人になるそれのせいで私たちがクエストを受注できるのはせいぜい外のスライムを討伐したり採取が主な財政源となってくる、それのせいでレベルの上がりも他のチームと比べて極めて低い。


「まっ、魔法使いがいないと物理無効の敵と戦った時かっ、勝てないだろ?!」


しどろもどろにまた、ふやふやの弁明をジックはした。


いや・・・だから物理無効の敵が来ても私魔力無いからジョブチェンジしてもしなくても最初から無理だって


「いや、さっきの聞いてた?魔力が無いんだってば。」


「魔法ならある程度僕が使えるから大丈夫だよ。しかもミリーナは魔力が全くないんだよ?戦士は天職だよ、変えるべきだ鑑定士の僕が言うんだ。」


「それでも・・・」


何かジックが口を開こうとした時、馬車は大きく揺れその扉はまた固く閉ざされてしまった。


「お客さん、お取り込み中悪いけど街についたよ戯言は酒場でしてくれ。」


タイミングが悪すぎるよ・・・もう少しで聞けたのに。



職業の街ジョブ、ここは全ての職種が集まっており、全ての職業の指南役が存在する、転職ならワクーワ、と冒険者ギルドとも固い結びがあるぐらいだ。


「全ての職があるだけあって周りを歩いてるだけでも面白いな・・・」


「・・・」


「そっ・・・そうだなジック、おっ、あれレア職業マジシャンじゃないか・・・」


広場でカードを消したり増やしている冒険者に指を指すがどちらとものキャッチボールは一方的で投げたら誰も拾わず溜まっていく、そんな感じだ。


「・・・ねぇ、あんたがなんと言おうと私は戦士になるよ。」


「・・・本気かよ、俺は反対だからなミリーナ、お前はうちの魔法使いだ、それだけは譲れない。」


「なら、私抜けようかな。」


「抜けても意味無いだろ、お前みたいな狂犬雇ってくれるパーティなんてうちぐらいだぞ。」


「それはあんたが私を魔法使いで縛るからでしょ!というかなんで私はあんなの言うことハイハイ聞かなきゃいけないの!」


気づいたら私はこいつに怒鳴り込んでいた、なんで私がこいつせいでお荷物にならなきゃいけないの?私は右手の拳に力いっぱい握りしめた、よし殴る・・・そう思ったが。


「あんたといたらここで殴り合いになってしまいそう、ごめんなさいね、さよなら。」


ここで、殴ったらこいつと一緒だ、私は大人いつまでもガキじゃないんだから、そう思い私は2人の前から消えた、トリガーがなんかいってる気がしてるけど、もういいや、愛想がついたわ、元々このパーティも腐れ縁だったんだし、ここでおわりよ、仲良し冒険パーティなんでガキのお遊び、ごっこ遊びに過ぎないんだわ。


そして私はジョブチェンジの場へと足を進めるのであった。




「ジック、どうすんのこれから・・・ってお前、泣いてる!?」


「ぐす・・・謝れば・・・許して貰える?俺・・・離れたくないよ・・・」


「あーもう、泣くなって!」




「すみません、本日の予約はいっぱいで明日の昼頃なら空いております。」


事務的な言葉で受付嬢は私にそう言葉を叩きつけた。

ジョブチェンジをする場所がほんの数箇所しかない上人員が不足しているらしい、冒険者のあの張り紙とは名ばかりだ。


「わーっかりました、じゃあ明日昼ぐらいに向かいますー」


そう言うと受付嬢は私に整理券を渡すとまた次の冒険者に整理券を渡すという過酷労働に移っていった。


「職は職でもあれには就きたくないな・・・」



一方その頃、ジョブ設立の父、ハロワの像前ベンチ


「ジック〜、何時間ベンチにいるんだよ、気まづいのは分かるけど早く行こう。」


「・・・いやぁ、待って、まだ・・・まだ大丈夫。」


「はぁ・・・知らないからな。」


「いや・・・違う・・・うーん・・・ごめんって言って戻すか?・・・でも戦士にはなって欲しくないし・・・」



ー次の日ー


流れ行く人の波を逆走しながら私は、ジョブチェンジ場へと向かった、向かっている時には様々な声が聞こえてくる、「また初心者からスタートだよ〜」「お父さん杖ありがとう!」「予約いっぱいだって。」など、たわいもないごく普通の会話だ。


「なっ!なんだお前は!」


その瞬間だった、私の先の方から男の人の大きな声と共に波は一気に私と同じ方向を向いた。


「ちっ、でっけー声出すなよ、"逃げられるだろ"」


男が指を指した男は黒いコートを着ており、顔は機会のような仮面で隠れていた。


上級召喚魔法(スペルカム)


男はそう唱えると地面が揺れ始め、地から蛇から翼が生えた魔物が飛び出してきた。


「あっ・・・あの魔物はドルサザク?!上級魔物がなんでここにっ・・・!?」


その瞬間男はその言葉を最後に姿を消した。


「こいつは、腹ペコらしい、せいぜい逃げとけ雑魚冒険者共」


そう言葉を残すと仮面の男は地面の魔法陣に沈んで行った。


「これは・・・やばい・・・!」


さっきの波は数倍早くなり、我先に我先にと人を蹴落とす、つまりは地獄絵図だ、どれだけ冒険者がいるこの街でもジョブチェンジしたばかりの人が多いこの街では無理難題だ。


魔物の近くには冒険者が勇敢に戦っているが人も多い今の状況では上手く戦えておらず、吹き飛ばされている、たまに来る飛沫は考えないでおく、水呪文だ、水だ


「助けてくれぇ!」「お母さん!」 「いやぁ!」


振り向いちゃダメだ、殺される、命を大事にしなきゃ、生きなきゃ、生きなきゃ!


「うぇーん、お父さんー!」


しかし、非情にも私の目の前には転んで足を擦りむいている少女がいた。はぐれたのだろう、もくしくは・・・


ダメだ、行っちゃ。


鼓動がドクドク脈を打っている、疲れじゃない、恐怖でもない、後悔が今の私の動機を早くする。


その瞬間には私は後ろを向いて少女の所へ走って行った。


「大丈夫?お姉ちゃんの手を取れる?」


一瞬希望を取り戻した少女だったがその顔はまた絶望へと染まってしまった。自分でも理解してしまった。


「おねぇ・・・・ちゃん」


頬の水を手で擦って手を見ると薄い赤色が私の手にはあった。


なんだ、血じゃん。


後ろを振り向くとそこには当たり前のように先程の魔物がこちらを見ていた、人はもう居ないみたいだ、周りの住宅は壊され、地面には赤く染まっている。


「はあ、喧嘩するんじゃなかった。」


噛まれる。目の前には死が待っていた


その時、走馬灯を見た


「じゃあおれがゆうしゃ!」


「じゃあぼくはかんていし!」


「おまえもあそびたいの?」


「え、でも私は」


「じやあおまえはまほうつかいな!きまり!」


「え、いいの?私と遊んでも」


「そんなことよりはやくあそぼーぜ!」


「・・・・・うん!」


あの村で1人だった私を救ってくれたのは彼の無邪気な言葉だった、引っ込み思案で、言いたいことを言えない私に勇気をくれたのは彼だった、いつも前で子供のように、いや昔と変わらない背中を彼は今でも見せてくれた、そう彼は



「あぁ!クソっ!」


魔物の口を剣でつっかえさせ、噛み付くのを阻止させると右足で魔物を蹴り飛ばした。


その背中は誰よりも頼りなくて、誰よりも頭が悪くて、誰よりも仲間想いだ。


「ミリーナ、俺さ、色々考えたんだけどやっぱお前と一緒にいて欲しい、魔法使いでいて欲しい、けど俺のパーティにいてくれるなら戦士でもいいと思う、だから・・・だか・・・やっぱ、この話後でいい?」


詰まりながら彼は私向かって話しかける、ケロッとした能天気だそれが痩せ我慢なのか素なのかは未だ不明だ。


「・・・・・っ!あんた1人で勝てるの?」


「ひとりじゃねぇよ。みんないる」


私の方を向きニコッと笑う彼の後ろには魔物が突進していた。


「危なっ・・・!」


「右後ろ、噛みつき。」


後ろからの指示を受け、彼は華麗な後ろ蹴りをし、また魔物にクリーンヒットさせた。


「ほらな」


「この魔物、上級魔物の括りだけど、体力は元の4分の1しかないみたいだ、でも攻撃力は変わらず即死級だから、僕たちが勝つには、うん、そうだな、1回もダメージを喰らわなく勝つか、耐久して援護を待つかの2択だけどどっちにする?」


「今勝つ!」


「まぁ・・・そうだろうね知ってた。下尻尾」


ジャンプをすると右手の剣で魔物を斬りつけた。


「右尻尾、毒液、左牙」


指示の通り、ジックは避けながら攻撃に入るが、さすがに4分の1とは言えど、上級は上級、中々の体力はある、


「ジャンプ、尻尾3連続!」


1回、2回、3回と尻尾攻撃を回避した時ジックからは大きな息が上がった。仲間がいると豪語していたが戦うのは1人だ体への負担は大きい。


「はぁ、はぁ、さすがに疲れてきっ・・・!?」


その瞬間その時を狙っていたかのように尻尾攻撃がジックの体へとクリーンヒットした。


「「ジック!」」


咄嗟に受身をとったことで致命傷は回避したとはいえ、口からは血が垂れている。


「大したことねぇよ!」


「そろそろ援軍が来る!逃げるか?」


「ぺっ!こんだけ大口叩いたんだ、ひけっかよ!」


地面に血混じりの唾液を叩きつけるとジックはまた立ち上がった


「私も何かしなきゃ・・・」


手が震える、怖い、怖いよりもまだ置いてかれることが怖い。武者震いではなく孤独が私をまた閉じ込めようとしてくる。


「ミリーナ!下がっていろ!お前じゃ戦力にすらならない!右後ろ!何もしないことが1番の策だ!」


1番の策が何もしないこと・・・?トリガーの言っていることは正しい、あの巨大な体じゃ1人の方が圧倒的に避けやすい、"いつもなら"見るだけだ、いつも通りなら、でも、いつも通りならなら私は死んでしまう、孤独になってしまう。


変わらなきゃ。


もう答えは出ている。そう思うと自ずと震えは止まっていた。


私は杖をおもむろに出し立ち上がった、目の前で友達が命を賭けているのに見て見ぬふり?私は何者だ?答えろ、ミリーナ


「私は・・・魔法使いよ。」


「ミリー・・・ナ・・・」


トリガーは何か言いたそうだったが言葉を詰まらせた、彼も察したようだ、今の私は止めれないこと、止めても行くこと、ならする行動はひとつ。


「頭だ、頭を狙え。」


頭その言葉で十分だ、私はそこ言葉と共に魔物へと走り出していた、地面に染み付いた血を踏み切りながら。


「右!噛みつき!左!」


トリガーの指示と共に私も戦場へと乗り込んで行った、ジャンプ、スライディング、回り込み、私はジックとは違い、避けながら戦うではなく、全て避け切る。


「ミリーナ!」


「尻尾!3往復」


その声と共に魔物は右手左と尻尾をムチのようにしならせ私たちのジャンプ着地の隙を狙った。近づこうとすれば噛みつかれる、弱点の頭には程遠い。


「どうすれば・・・」


「・・・・・はぁ、ミリーナ!」


「なに?」


「お前を信じる。」


そう言うとジックは魔物へと突進して行った、ほぼ自爆特攻だ、しかしそれで理解してしまった、そういう事ね。


ジックはこれまでの避ける戦い方を捨て、真正面へ剣を突き立てた、もちろん魔物はジックへ右から左へと尻尾で吹き飛ばす動作をした。


「今だ!飛べ!!」


その命令で私はジックの頭を踏みつけ高く飛んだ、尻尾も牙も届かない上へ、上へ、高みへ、邪道でも王道でも適正がなくたってもいい、戦士でも無い、私は・・・魔法使い、ミリーナだ!!


魔法(スペル)への冒涜(ダンク)


私は杖の下の方を持ち、上の玉のある方で思っきり全ての力でぶっ叩いた、その一時の衝撃は数ある上級魔法をも凌駕する、冒涜の一撃


「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


ぶっ叩いた瞬間、魔物は黒く溶け、地面へと染み込んでいった、まるで元々いなかったようにそこに残ったのは壊れていった街並みだけだ。


「ジック!」


私は息の上がった体温のまま、また吹っ飛んだジックのへと急いで寄り添った、当たったら即死を2回食らってしまっている、死んでいても何も不思議では無い。


「死んでる・・・?」


「死んでねえよ。」


そう言うとジックは倒れた体を起こし私の頭を撫でた。


「ありがとう。俺達を信じてくれて。」


「当たり前でしょ・・・」


「ばーか、何泣きそうなんだよ。」


「君たち、浸っているもところ悪いんだけどさ。」


トリガーはそう言うと親指で後ろの方を指した、先には何10人の屈強な男を連れた団体がこちらに向かっていた。


今来たところで私達は誰1人喋ることが出来ない状況にある。


「無理よ私は。」


「俺もパス。」


「そう言う僕も無・・・」


張り詰めた糸がプツンと切れたように私達全員

は地面へと倒れ込んでしまった。





最初はただのごっこ遊びだった。


トリガーが鑑定で相手の弱点を俺達に共有してミリーナが魔法で援護、そして俺が相手にトドメを指す、ただそれだけそれだけを永遠と無限に怒られるまでやった。


昔から仲は変わらなかったし昔から俺はあんまり悲しまないタイプってことも知ってた。トリガーが鑑定士試験に行っている時だって寂しくなかったし、親父が死んだ時だって泣かなかった。


だけど、トリガーがミリーナに戦士の方が向いてるって昔から描いていた魔法使いを否定された時の顔が忘れられないんだ、それと共に俺は戦士という自分の居場所が無くなるのが嫌だったのだろう。


だから無理を言って、駄々をこねて、ガキみたいに魔法使いにさせようとした。ただそれはミリーナにとって幸せだったのだろうか、夢を諦めるよりも何も出来ない孤独の方がミリーナにとっては苦痛だったのではないか。


しかし、そんな重要なことに気づくのは遠い未来で俺がオトナになった時だ。





「ん・・・」


プツリと切れた後次の俺の視点は石でできた天井であった、窓からささる月の光から見るに夜であろう。


「そっか・・・俺たち確かあの後倒れて・・・」


意識が切れる前の激闘を思い出しながら俺は記憶を整理した。


「傷・・・痛っ・・・」


包帯を巻いてあるところを触ると確かに痛みを感じるしかし痛みというよりかは筋肉痛の方が体に来る、さすがにあれだけジャンプしてれば使ってない筋肉も酷使で倒れて筋肉痛にでもなるはずだ。


「ミリーナ・・・」


横を見るとトリガーもミリーナも隣で寝ている、俺は今一体どれだけ寝ているかもあの後どうなったかさえも知らないそれはこれから知るだろう、そう思うと憂鬱だ、それなら選択肢は1つだ。


「寝るか・・・」


俺はまたも布団を被り目をつぶった、楽しくないこと考えても楽しくないからな。





ー朝ー


「いやー!助かったよ!我が街を救ってくれてありがたい!なんと返せば!」


ガハハと笑いながら小太りな大きな男は私たちの肩をポンポンと叩いた。


「いや、俺たちはただ普通のことをやったまでですよ、困っていたら助ける、当たり前のことです。」


ジックは男の前であると猫を被り相手の機嫌を取っている、なんにしろ今私たちの目の前にいるのはこの街の王とも言える存在ジョブ・ハロワの後継者に当たる人なのだから


「いやはや私達の街にも魔物の脅威が迫るとは・・・」


「私たちの街にも?ということは他にもこのようなことが?」


「あぁ、最近そこら中の街で魔物が突如として出現する事件が多発してな、まさかここでも起きるとは・・・」


あの仮面の男だ、あいつは顔が見えなくて分からなかったが明らかに風貌が違う手練の冒険者だった、そいつらが暴れ回っている?


「まあ、なんにせよ!私たちの街を救ってくれて感謝してる、あぁ、そうだったお礼だお礼。」


そう言うと男は机の上に置いてあった手紙をジックへと手渡しした。


「しかし・・・こんなもので良かったのか?お主らの実力ならこんなもの要らんだろう。」


私はその話の時にはいなかったのだが一体何を渡したのだろうか


「ねぇ、それ何なの?」


「あぁ、これか?これはな"上級魔法使い検定試験"への特別推薦状だ。」


「上級・・・魔法使い・・・ははは」


私の口は口角を上げたまま下がらなかった。


上級職、検定試験の中で勝ち残った者がなれる上澄み中の上澄みの職だ、その分受けれるクエストは全ての報酬が高級な物だ。

しかしそんな検定試験に"受けるのは"簡単でクエストクリアを一定数積むだけでいい、しかしそれともう1つ特殊な受け方としてそうこの手紙のような特別推薦状だ、一定の上級職や権力者にしか使えない本当に使っている人が少ない受け方だ。




「いやー!よったかいあったな、少ないながらってこんなにお金が貰えたし・・・なんにしろこの推薦状、なんと俺のも貰えてしまったし!」


「あのさぁ、なんで私の分の推薦状は魔法使いなわけ?」


揺られる馬車の中で私はジックに圧力をかけた


「おかげであの場所で戦士になりたいなんて言える状況じゃなくなったし、魔法使いのままこの街を出たし、あ〜私の悲願のジョブチェンジの夢が遠ざかっていく〜」


小さくなっていく街を見ながら私は愚痴をこぼした


「でも魔法使いでも、役に立っただろ?」


「それは・・・」


ジックは私にニコッと笑いかけた

今でもあの一撃の感触はこれまでの中でも衝撃が走った、まるでモヤがかかっていた私の道を照らしたかのように。


「いや、戦士でも同じことできたよね!?」


「げ。」


「やっぱり、こんな職業ヤダ〜〜」


「いやっ、待てこの出来事で鑑定が変わったかもしれん!トリガー!」


「はいはい・・・」


《適正鑑定開始》































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― 新着の感想 ―
[一言] 勇気の企画から参りました。 賑やかな幼馴染冒険者ににこにこしながら読み進めました。 小さいころの思い出の魔法使いにこだわってしまう彼と彼女の夫婦漫才みたいなところも面白かったです。 また、あ…
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