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ツンデレほど防御力は低いんだなぁ


「これで終わりよ! 「月夜桜の世迷い言・改!!」」

「そ、そんな、こ、このパワーは……!」


 球を受け止める白蘭、しかし


「受け止めきれない……!」


 そのままボールは弾かれ地面に転がる


「私の、勝ちね」

「……」


 その場で泣き崩れる白蘭


「うぉおおおお! 素晴らしい! ブラボー!」


 二人に拍手を送る朝比奈

 花梨は白蘭に向かって右手を差し出した。


「いつでもかかって来なさい、いつでも”ここ”で待ってるから」

「……絶対に越えてみせますから」


 涙を拭い白蘭はその手を取ったのだった……


「おい! お前らまだやってたのか! 2限目の授業始まっちまうぞ!」

「ふぇ?」


 花梨と白蘭の周りにはもう朝比奈しか居らず

 心配して戻ってきた笠松により二人とも正気に戻った。


「たくっ……」


 教室に戻ると笠松は落合の席の隣に座った。


「……」


 隣に座ってきた笠松に驚きジッと笠松を見詰める落合


「ん? どうしたんだ?」


(どうした? ってなんでまた隣に……ていうかそこって大音寺の席じゃなかったか?)


「あわわ……」


 落合があわわわとしていると花梨が教室に帰ってきた。


「ちょ、葉! そこ私の席!」

「次の授業は文化祭の出し物を決めるヤツだろ? クラス委員長のお前にはクラスの意見を聞いてまとめるという大事なお仕事があるからこの席は使わない、だったら俺がここに座っててもなんの問題もないはずだ」

「むー、でもちょっと退いて、次の授業に使う資料が引き出しの中に入ってるの!」


 花梨は自分の机から資料をとると教室の前に向かった。


「これから出し物を何にするか決める最高に無駄な授業が始まるのかと思うと憂鬱だぜ……」

「笠松くんは文化祭楽しみじゃないの?」

「どうせ、サボるしな……それにどうせなんやかんや言い合ってもこのクラスの事だからなんか出し物やるの面倒くさいからこのクラスは休憩室にしよう! ってなるのがオチだ」

「ふふふ……それはどうでしょう」


 不気味な笑い声が笠松の席の後ろから聞こえたので咄嗟に振り返る


「ゲッ!? 烏間からすま!」


 眼鏡をかけた女子生徒がしゃがみながら不気味に笑っている


「今年こそ、実現してみせますよ! 執事喫茶を!」

「……執事喫茶……?」

「落合、コイツのことは相手にすんなよ、真面目に相手してると気がおかしくなりそうになるからな」

「うへへへ、相変わらずの容赦ないツンツンぶりですねぇ笠松くん……でもそんなところが、す・て・き……」

「ほらな?」

「あはは……」

「そ、それでそれで! そんな普段はツンツンな笠松さんがデレデレのへなへなで夢中になってるそこの落合くんはいったい何者なのですか!? 転校二日目にしてまさか笠松くんの完全攻略を!? いやなにを攻略したかは深くは追求しませんが……う、うぃへへへへ」

「はぁ!? 別に夢中になってるわけじゃ――」

「きゃー! なんて分かりやすい照れ隠し! 普段ツンツンしてる子ほど防御力は低いモノ! これ常識!」


 と一人もじもじしながら盛り上がっている烏間からすま静子しずこ

 

「……ちょっとぉ授業もう始まってるんだけど……」


 花梨が烏間を睨み付ける


「は、はぁい! 失礼しました! あとで! あとで詳しくお話聞かせてください! 落合くん!」


 嵐のように現れ嵐のように去る烏間


「アイツの言ってたこと真に受けんなよ、全くなんでこの学校の連中はこうも変人揃いなんだ……」

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