閑話休題:とある退魔師の学習帳3
―――――株式会社竜宮城。
それはどこかの会社に勤めていれば必ず取引をする相手であり、この国に住んでいる人間ならば必ずニュースで見かけたことのある超有名企業である。
貿易、商品開発、食料品、技術開発、最近には薬品などあらゆる分野に手を伸ばしておりながらいずれも国内のシェアの上位に食い込んでいる。しかしそれほどの有名にも関わらず、その本社は誰も知らず分かることは“乙姫”という女性が取り仕切っていること、その女性はシャーマンの末裔らしいという不確定な情報だけである。
その会社は七つの技術開発部に分かれている。
――――双子の少年少女が部長の第壱、第弐技術開発部。
――――部下が何故か一人もいない第参技術開発部。
――――上とは対照的に大勢部下がいる第肆技術開発部。
――――社内一の体力を誇る第伍技術開発部。
――――女とオタク系男子が多い第陸技術開発部。
――――そして、社内でも社長と部長クラスの人間しか存在すら知らないという第零技術開発部。
これが謎の株式会社竜宮城の実態である。
小さな魔女:乙姫
年齢:見た目十五歳ほど
種族:人間
性別:女
格好:長い赤い髪が特徴の女の子。手持無沙汰になるとその髪をくるくるいじる癖があるようだ。服はその場その場でいつも変えており、決まった服はない。パソコンなどを操作する時は眼鏡をするらしい。
備考:株式会社竜宮城の正真正銘の社長。影武者はいっぱいいるらしい。その容姿と、噂、経営手腕から“小さな魔女”とも言われる。
先代は竜神様に仕えるシャーマン。その社をより豪華なものにするために会社を立ち上げたらしい。またその栄華を永遠のものにするために、浦島の時間の研究をバックアップし、不完全ながらの不老不死を手に入れた。名前を変えているが実は何代も前から竜宮城の社長は彼女である。実年齢は見た目プラス300――――(このセリフは権利者によって削除されました)
部下は浦島だけだと思っている。しかし全社員が彼女を慕っており、特に部長からの信仰はあつい。
~竜宮城の部長たち~
第壱、第弐技術開発部:佳麗、比良目
黒と白の二色で統一された服を着ており、ポーズ、服の模様、ほくろの位置まで全てが左右対称である。共感という互いに意思疎通ができる能力があり、そのお陰でたまにどちらがどちらか分からなくなる。泣き虫で左利きなのが比良目、お転婆で右利きなのが佳麗である。
第参技術開発部:万坊
異様に長い顔、そしてそれを増長させるようなモヒカンがとっても……目障りである。跳躍力なら社内一であるが、大抵は失敗して血を吐きだす。しかしその痛みがいい、とM的な発言をするどうしようもない変態である。もちろん、社内からは嫌われており部下は一人もいない。
第肆技術開発部:岩士
その優しげな雰囲気と言葉づかいから“ジェントルマン”と言われる。誰とでもわけ隔てなく喋り、万坊とマトモに話せる唯一の人間である。
社内で二番の人気(一位は乙姫)を誇り、部下は全部署中一位である。そのほとんどが第参から流れ込んできたものばかり。その大人数も巧みに操る彼は、乙姫からも一目置かれている。
第伍技術開発部:真黒
浅黒の肌、チリチリした髪の毛、如何にも外人風な男で、喋り方もどこか片言である。とにかく走ることだけを考えている男であり、周りもそれについていくためにここの社員は全員体力バカである。走りながら仕事をし、走りながら食べ、走りながら寝る……。万坊とは違う意味での目障りな奴である
第陸技術開発部:可児
実力主義の竜宮城で、乙姫にその才を買われ出世した女性。大変な苦労人であり、弟たちが何人もいるとか。以前は蟹のハサミがついていたが、金太郎に食べられて以来、持物を巨大ハサミに変えている。そして金太郎に恋をしている。
しかし社内では万坊に付きまとわれ、苦労は絶えないとか……。
静かなる海の王:竜王姫神
年齢:……あまり覚えていないの。
種族:神
性別:?
格好:無機質な大きな目、黒いおかっぱ頭に着物を纏う少女。しかし神にとって容姿は無意味なものであり、変えようと思えばいつでもグラマラスなお姉さんのようになれるらしい。しかし浦島にそれを言ったところ笑われたからボコボコにしたとか……。
備考:ここ一帯の海を納める神、通称竜神様である。またの名をリュウ。散歩していて金太郎たちに拾われた際に、竜宮城につれて行った張本人である。
また竜宮城に不用意に近づけさせないために鬼ヶ島周辺の不規則な海流も彼女の仕業であるが、この一件以来鬼丸たちは普通の船でも渡れるようになった。
他の神に懐くことがあり、特にツクヨミ様のことがお気に入りらしい。また乙姫、浦島
ことも大好きである。
第零技術開発部部長:浦島竜胆
年齢:739歳
種族:人間
性別:男
格好:普段は虫取り少年のような格好をしているが、仕事の時になるとオーダーメイドのスーツを着る。またパソコンを操作する時には乙姫同様眼鏡をかける。
備考:約700年前に生まれた魔術師。その生涯のほとんどを時間の研究に費やし、不完全ながらも不老不死を手に入れることができた。なおその体型は時間の研究の弊害ではなく、元々成長期がなかったらしい。
竜宮城と二つ契約をしており、一つは玉手箱を提供してもらう代わりにそこに仕えるというもの。もう一つは乙姫を永遠に守るという約束である。
社内では社長と部長クラスの人間しか知らない第零技術開発部の部長を務めており、大体の仕事は乙姫の警護である。また亀吉以外に二人ほど部下がいる。現在の仕事は竜宮城出張所で鬼のために身を粉にする思い出働いているらしい。
第零技術開発部副部長:亀吉
年齢:?
性別:男
種族:……亀と人間のハーフ?
格好:ヨレヨレのスーツに、如何にも眠そうな目。ネクタイをしていないのは本人曰く「クールビズ」。また人間時には亀の甲羅を背負っており脱着が可能らしい。
備考:竜宮城第零技術開発部副部長。しかし実際には部長がアレなためにほとんどの仕事は彼に回ってくるらしい。
種族は本人もよくわからず、おそらく何代か前に亀の血でも混じったのではないかと思われる。そのため魔術を使用しなくとも人間と亀のどちらにでもなれる。亀の姿でいる方が楽らしい。弟が一人いる。
得意魔術は身体強化。パワーフォルムとスピードフォルムという二つの形態になることができ、社内でも実力はトップだが鬼珠には敵わなかった。
鬼の長老:鬼珠童子
年齢:……見た目ほど歳はとってないらしい。
性別:男
種族:鬼
格好:本来肉体の年齢は取らないはずの鬼で、唯一の老人。普段は好々爺らしい笑顔を浮かべているが、時折黒い笑顔を見せる。白髪、鋭い赤い目はまるで遠くのことを見透かしているようである。
備考:鬼の長老であり、栄鬼の父親であり、現存する唯一の童子名持ち。(鬼丸、栄鬼、幽鬼は親から受け継いだため考慮に入れない。)結界と、鬼闘術を自在に操り、他を圧倒する。 知識もかなり蓄え、鬼の中では一番の賢人。今では長たちに少しばかり知恵を貸す程度で、今回のように自分から出向くことはほとんどない。
鬼丸の師匠であり、鬼丸の人格はかなり彼によって作られたものと推測される。
かつての友人、酒吞童子と茨木童子とは義兄弟の契りを結ぶほどで、今でも時折彼らのことを思っていることがある。
~鬼闘術~
鬼闘術とはその名の通り、鬼の闘法であり、鬼特有の魔力“滅”を存分に発揮できる戦い方である。ものに元から備わっている滅びを利用して戦うこの闘法によって、鬼は最強種族と言われるようになった。
しかしこの術が大成されたのはほんの100年前。とある童子名持ちの鬼によって今の姿になったといわれている。技の種類は少ないが、一つ一つが強力であり、またその者オリジナルの術もあるという。
鬼闘術・絶
鬼闘術の基本となる技。自らの腕に滅力を纏わりつかせ、相手を殴るというシンプルな技。一度受ければ当たった個所が次第に消えていき、最終的には消滅する。
鬼闘術・怪
絶を改良した技。絶は壊すことに特化したが、これは相手を吹っ飛ばすことに特化した技。
鬼闘術・序、破、急
三つで一つの連立した技。まず空間を一時的に消滅させる“序”で敵の懐に飛び込み、衝撃を伝えやすい“破”で敵に揺さぶりをかける。相手の体勢が崩れたところで必殺の“急”を放つ。
序だけ、単体に使われることもありその際は単純な高速移動と変わらない。
現在分かっているのはこれだけである。しかしオリジナルを含めるとどれだけ数があるのか見当もつかない。
最狂の番犬:犬
年齢:二十五歳
性別:男
種族:人間
格好:若いはずなのに老人のような白い髪。無感情的に思えるその双眼が冷徹さそのものを醸し出している。腰にある二本の刀が武器。仕事中はウェイターの服をビシッと着こなす。
備考:かつて桃太郎に仕えて、現在は桃原キョウに仕えているウェイターである。なにかと桃原キョウには縁があり、海で漂流していても必ず主人のもとにたどりつく。
元は有名な退魔師の家系の子であったが、その弱さゆえに家からは勘当され何とか食をつないでいたところを桃太郎に救われる。
桃太郎に言われ、“速さ”ではなく“疾さ”を求めようとするが、自分の在り方に気づき速さを求めた。
腕としてはキョウには劣るが、それでも十分強く、魔術師相手でも引けを取らない。近日音子から誕生日プレゼントが贈られる予定。
▽ ▽ ▽
「……」
「やあ、キンちゃん。何を読んでいるだい?」
「いや、ちょっと調べ物を……」
「おお、勉強はいいことだね。どれどれ……。おや、真っ白じゃないか。何を勉強していたんだい?」
「えっ? お前には見えないの、この文?」
「何を言っているんだい? 何も書いてないじゃないか」
「……?」
「はて、何のことやら―――――」
「―――――こら、ウラシマ! 貴方の仕事はまだ終わってないでしょう! 今日中にこの資料、あとここの計算を全て終わらせてくださいね」
「ぎゃー! 勘弁して、鬼丸君!」
「うるさい、早く来なさい!」
「うわあああ! キンちゃん、助けて――――」
「……行ってらっしゃ~い」
浦島編、完結! ありがとうございました!
次の話の主人公は、そう、あの金太郎君です。ここまで読んでいただきありがとうございました。次の章も精一杯がんばります!