第一章・第三十一話:そして、旅はまだまだ続く・・・・・
今回、非常に短いです。
「ええと・・・・・それでは皆さん、お疲れ様でした」
『お疲れ様でした!』
鬼丸の掛け声と共に、三人はそれに続いて杯をあげる。
あの爆発の後、無事本土につくことが出来た四人は、取り敢えず今すぐに動くことは出来ないので休息もかねて、飲み会のようなものが浜辺の甘味屋で行われた。
ウラシマは一気にコップの液体を飲み干すと、大きく息を吐いた。
「いや~、仕事の後の一杯は最高だね~!」
「それ、オレンジジュースだけどな」
「だって僕、お酒飲めないし」
「あっ!マスター!取り敢えずモンブラン、チョコケーキ、ショートケーキを十個ずつください!」
「オメエは食い過ぎだ!」
いつの間にか、というより先ほど始めたばかりというのに、かぐやの横には小さな皿の山が出来上がっていた。
未だに追加を頼もうとしているかぐやを金太郎は止めようとしたが、鬼丸はそれをなだめるように言った。
「いいじゃないですか、キンタ。ようやく終わったのですから。無礼講ですよ、無礼講」
「まあ、そうなのかな~・・・・・」
「・・・・・ところで皆さん、場が滅茶苦茶になる前に聞いておきます。これからどうするつもりですか?」
一瞬で場の空気が変わる。ウラシマはオレンジジュースを飲むのをやめ、かぐやは箸をとめる。
かぐやは鬼丸に問うた。
「鬼丸さんはどうするのですか?」
「・・・・・私はこれから鬼達が住んでいる山に帰り、鬼ヶ島への移動の手伝いに行きます。もとよりそれが目的でしたしね。・・・・・・私たちの旅は終わりました。ですからここからは貴方たちの自由です。どうしますか?」
「僕は君についていくよ。というか、僕がいなければ引越しも何もないでしょ」
「そうですね。お願いします」
鬼丸はウラシマに頭を下げる。この人間のお陰で鬼ヶ島につくことが出来たのだ。感謝しても仕切れなかった。
かぐやも当然のように口を開いた。
「私もついていきますよ。竹林に帰っても何もありませんし。というか妻である私がついていかなくて誰が行くのですか?」
「オイ、お前らいつ結婚した?」
「で、キンタ、貴方はどうしますか?」
今、鬼丸が一番聞きたかったこと。それは金太郎がどうするか、である。
金太郎はゆっくりと喋りだした。
「・・・・・俺は今、退魔師の修行中の身だ・・・・」
「はい・・・・・・」
やはりか、そんな思いが鬼丸の頭をめぐる。
半分予想できたことなのにどうしてこんなに落ち込むのか?
なるべく表情に示さず、金太郎の話に耳を傾けようとした。
「退魔師としての旅、それは世界のあらゆるところを旅して、経験してそれでやっと一人前として認められる。だから俺は旅に行かなきゃいけないんだ」
「そう、ですよね・・・・・」
彼は退魔師、自分は鬼・・・・・・。こうなることは予想できたはずなのに、喪失感が抑えきれない。
どんどん黒くなっていく鬼丸に、金太郎はこう言った。
「ただ、鬼と一緒にいられる経験なんてそうそうないからな。俺もお前についていくぜ!」
「――――――えっ!?」
鬼丸の表情が一転、驚きに変わる。
今彼はなんと言っただろうか、自分の耳が正しく機能していたら、自分の望む状況になるはずだ。
鬼丸は、確信を持って金太郎に聞いた。
「本当ですか、キンタ!?」
「何でそんなに驚いているんだ?・・・・・というかお前は卑怯なんだよ!そんなこと聞かれたらついていっちまいたくなるだろ!」
「そうですよ~。ただでさえ鬼丸さんは魅力に溢れているのですから、そんなこと言わなくてもいいのですよ」
「オイ、コラ!」
あっはっはっはっは、そんな皆の笑い声が響き渡っていた。
自分が悩んでいたことが思いのほかちっぽけだったと、鬼丸は思い知らされた。
「ふふふ・・・・・そうですね、私は卑怯です。そんな私でもついてきてくれますか?」
それこそ愚問、三人の答えはもはや決まっていた。
「まあ、仕方ないからね~」
「もちろんですよ!」
「おう、鬼丸!」
「では今日という日を祝いましょう!私たちの記念日です!今日は私の奢りですよ!」
『おう!』
ある時、鬼の少年鬼丸童子は鬼ヶ島にいる桃太郎退治の旅を始めることとなりました。
いつの間にか彼には退魔師の少年、月のお姫様、子どもで社会人という三人の仲間ができ、見事に桃太郎を倒すことができました。
鬼丸は鬼の元へ帰り、仲間と共に鬼ヶ島の再興に努めていきます。
彼らの旅はまだまだ続くでしょう。彼らが仲間である限り・・・・・・・
「あっ、まだ終わりませんからね」
「お前、誰に言ってんだ?」
こんにちは、作者です。
突然ですが鬼丸君の言うとおりまだこのお話は終わりません。完結を期待された方、すみません。
作者自身、まだ未熟者で皆さんが満足いくような文章はかけません。しかしわがままのようですが、自分はまだこの話を続かせていきたいのです。
今年度は自分は受験生です。しかし何とか時間を作って自分のやりたいことを全てこの小説につぎ込みます。
これからもどうぞ、この小説をよろしくお願いします。