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序章:始まり

ここは御伽の国。人間と人間以外の<魔>が住んでいる世界。


この世界には人間と、<魔>が争いを続けていました。


しかし12年前、桃太郎と呼ばれる一人の子どもの手によって、この世界の魔の象徴といわる<鬼>が倒されました。


さて天敵がいなくなった人間はどうなったでしょうか?


人間はこの世界の自然から与えられる<魔力>と、人間の知恵が生み出した新たな力<科学>を組み合わせ<魔道科学>といわれる力を生み出しました。魔道科学は人間に文化と、栄華と、そして時には貧困をもたらしました。

その貧困が人々を争いに導き、今度は人間同士で争うようになるとは下手なジョークにもならない、皮肉なものでした。



所変わって、ここは人里離れた山奥。ここには人々を守るために存在しているある退魔師の一族がいました。その名は坂田さかた一族。雷を扱うことに長けているこの一族から、今日、一人前と認められ旅立つ少年がいました。


「それでは行ってきます、姉さん……」


その少年の名前は坂田金太郎さかたきんたろう。坂田直系の次男坊である彼の容姿は金色に輝く髪と空のように深い碧色の両眼。

―――この国人間のほとんどは黒髪である。―――

そんな普通の人間とは一風変わった彼の容姿は人を引き付ける何かがあった。そんな彼、金太郎は本日めでたく18歳の誕生日を迎え、その若さで免許皆伝、すなわち一人前と認められたのである。


「いってらっしゃい……金ちゃん。気をつけてね」


金太郎の目の前に立っている黒髪の美しい女性は金太郎の姉、蓮華れんげである。

思えば母親のいない金太郎にとって、蓮華は本当に母親のような存在だった。父親や兄の訓練の後、あまりの厳しさに泣いてしまった幼いころの金太郎を抱きしめてくれたのは、この姉だった。今までこの人のおかげで生きて来れた、と言っても過言ではない。

そんな姉とお別れになると、何か熱いものが内からこみ上げてきた。


「ああ、それと……これはお父様から送られてきたの」

「親父から?」


連華から渡された<それ>を覆っている布を取ると、一つの槍斧があった。刃の部分にはなにやら魔力によって刻まれた文字が彫ってあり、一目で<それ>は手の込んだものと分かった。金太郎はその姿を見て、ただただ感嘆とするしかなかった。


「すごい……」

「その武器の名は<紫電>。あなた専用に作られた武器です」

「俺専用に? これを、親父から……?」


今日旅立つというのに、父は見送りに来てくれなかった。それは当然、父は坂田家の主だから。それはわかっていたので悲しみは少しあるものの納得していた。納得しようとしていた。

厳格で厳しい父親。金太郎は父のことは少し苦手だった。

だけども今日、この武器を受け取ってそんな気持ちは払拭された。父はちゃんと自分を見ていてくれたのだ。その証拠に魔力に書かれた魔道文字の中に紛れて、こんな言葉が――――


――――「好きに暴れまわってこい」……と。


「親父……」


金太郎は父親なりの愛に触れて少し泣きそうになるが、こらえた。ここで泣いては一人前の名が廃る。金太郎はかぶっていた帽子を深く被りなおした。


「では、改めて行ってまいります!」

「いってらっしゃい!」


金太郎は紫電を背中に負って、まず町に向かっていった。


 

       ▽       ▽        ▽



またまた所変わって、ここは鬼の山。鬼の山とはかつて鬼ヶ島で栄華を極めていた鬼たちが、桃太郎の手によって、追い出され流れ着いた新たな鬼の住み家である。先ほどの坂田の山とはうって変って、鬱蒼と木は生い茂り、人の気配もなく気味悪いほど静まり返っていた。

その山の頂上で生き残った鬼たちが集まっていた。


「1、2、たくさん……長老、多分全員集まりましたよ!」

「たくさんって……まあ良い。この集会にも来れないようなやつにこの仕事は任せれんからの。栄鬼えいき、マイクとってくれ」

「はっ、ここに」

「よし、あー、あー、皆聞こえるかの?」


集まった鬼の数、100以上。そのそれぞれが人間とは比べ物にならない程の魔力を保有しており、この数で攻めれば、おそらく小さな国なら一晩でおちるだろう。

しかし、今の鬼の敵は国ではなく、それよりはるかに小さく、それでいて規格外に強いたった一人の人間であった。

マイクを握った一人の鬼の老人が前に立ち、静かに話し始めた。


「今日皆に集まってもらったのは他でもない。我ら鬼の行く末のことじゃ。」

「長老、このままではだめなんですか?」

「うむ、幽鬼ゆうき。お主はここ最近、どれだけの数の鬼が死んだと思う?」

「えっ!?た、たくさん?」

「そうじゃ、沢山じゃ。多くの鬼たちが人間の手によって殺されておる。人間は我々からしてみれば塵同然。しかし塵も積もれば山となる。一対多数に攻撃を仕掛けられ、今月の死亡者数は過去最大。これは由々しき事態なのじゃ!」


皆、長老の方をしっかり見て、話を聞いている。長老は一息呼吸をついてからしゃべり始めた。


「死亡者の8割が力のない子供。このままでは我ら鬼の一族は後継者不足で壊滅されてしまうだろう」

「そんな……それでは、我らはどうすれば!?」

「うむ、我ら長達も被害を最小限に抑えるために最善を務めてきた。しかしそれも時間の問題。このままでは確実に滅ぶだろう! そこでじゃ、お主ら若い者の力を借りたい!」


あたりにざわめきが走る。誰もが嫌な予感がして、さらにその予感は見事に的中した。


「誰か鬼ヶ島へ行き、桃太郎を倒して我々の桃源郷を取り戻してくれないか!?」


今まで誰もが長老のほうを見ていたのに、今では誰も見ていない。自分は関係ない、誰かがやってくれる、と言わんばかりに……

ここで長老は頭を下げる。


「頼む! この通りじゃ! あそこさえ取り戻せればあとは何とかなる! 頼む、皆!!」


一瞬の静寂、それは、まるで永遠のようだった。長老――――名を鬼珠きしゅという―――は落胆し、絶望さえ感じた。


――――――これがかつて最強と呼ばれた鬼のざまなのか?


――――――誇りある鬼の姿はどこへ消えた?


――――――こんな様を見たら酒吞しゅてん茨木いばらきはどう思うのだろうか?


鬼珠はかつての友人を思い出しながら、絶望に打ちひしがれていると、群衆の中から一筋の希望の光が舞い込んだ。


「ハイ。私がやります!」

「む!? どこじゃ、その者は!? 立ってその姿を見せよ!!」


一人、手をあげた少年は立ってみせる。しかし鬼珠の目にはその姿は映らなかった。


「ん? どこじゃ? 儂には見えぬぞ」

「ここです! ここ!! 目の前にいます!!」


灯台もと暗し。意外にも手を挙げたその少年は鬼珠の目の前にいた。鬼の平均身長は2メートル。対してその少年はせいぜい1.5メートルくらいしかない。もしくはそれ以下かもしれない。

鬼珠はその姿を見ると顔に驚愕の表情を浮かべた。


「お、お主は!」


その少年は年齢15歳くらい。他の鬼たちと同じように金色の2本の角を生やしている。しかしその少年の眼は他の赤色とは違い、紫色。髪の色は黒で男にしては長い髪を一本に結んでいた。


「その役、長老の弟子、鬼丸童子おにまるどうじが果たしましょう」



      ▽     ▽      ▽



この二人の少年、坂田金太郎と鬼丸童子は一見何も関わりのなさそうなのだが世界とは不思議なもの。彼らはすぐに出会い、彼らの物語は交錯します。


これはそんな彼らの旅の御伽話です。それでは、始まり、始まり……。

初めまして。walterです。

今日から小説を書こうと思い立った新人です。初心者です。

なので小説を書くなんてことは全くしてきてないので、表現が甘いところや、誤字脱字は大量にあると思います。そういうところがありましたら遠慮なく感想をください。

……でもあんまり強く言われるとガラスのハートなので、潰れてしまうかもしれません(笑)

更新は週1を目指したいと思います。しかし自分は学生の身。おそらくペースを守れないときがあると思いますが、そこはご容赦してください。

どうにかして完結させたいので、アドバイスをドンドンください。よろしくお願いします。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

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