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最初の出会いと最初の転生

スミレと別れてどのくらいたっただろうか。

かなり時間がたった気がするが、いっこうに目が覚めない。


「やっほ~、聞こえる~?」


目を開けるとそこには、エロ、いや美しいお姉さんが・・・。


「えっと、はじめまして。すいません名前覚えて無くて名乗れないのですが、あなたは?」


「私?私は、ローラ・アトライ・エ・ローネ。君がこれから行く世界の最高神やってまーす。あ、気軽にローラでも、ローネでも呼んでいいよ」


何でだろう、名前からもちょっとエロティシズムを感じる。それに体、神とはいえなんてエロいんだ。

スミレとは大違いだ。ふくよかな胸、それでいて腰あたりはスリム、さらにすらっとした脚っ!! 

うん、パーフェクトッ!! おっといけない妄想はこの辺にしとかないと


「えっと、じゃあローネで。早速なんだけどローネ、どうして僕は目覚めないんだ?」

「あら?あなた自分で原因分かってるのかと思ってたのに・・・」

「え?」


原因、何だ?僕に原因があるということなのか。目覚める意思が無いとかなのか、いやむしろ早く目覚めたいと思ってる。

いやでも、もっとローネと話したくもある。でも、それは今思ってるだけだから違うはず、だとしたら何だ?


「ごめん、やっぱ分かんないや」

「あ、そうだったんだね。じゃあ教えてあげる。名前だよ」

「名前?」

「そう!!キミ、名前まだ決めてないでしょ?」

「あっ!!そうだ!!」


言われてみれば確かに名前を決めていなかった。スミレに会ったときも『どうせ名前変わるし』って言われて名乗ったりもしてないんだった。

まぁ、前世の名前忘れちゃってたらどのみち名乗れなかったけど・・・。


「そっか、名前か忘れてたな~」

「フフッ、キミ、意外と抜けてるとこあるんだねカワイ~」


スッと目の前にローネが来たから思わず目をそらした。ローネからはバラのような良い香りが漂ってきた。

それにどことなく落ち着かせてくれる雰囲気がある。このままローネの胸の中に倒れちゃいたいくらいだ。


「それで?名前はどうする?」


が、そんな都合の良い展開は、都合良く起こる訳もなく、ローネは当初の目的を進め始めた。


「名前か・・・」


なんかゲームの始まりみたいだなぁと思っていた時に、ふとある名前が浮かんだ。


「決めた、ジンにするよ」


僕は、ローネの目を見てそう言った。


「ジン君か~。うん、いい名前だと思うよ!!」

「ありがとう」


ジン、僕が昔好きだったゲームに出てくる主人公の師匠の名前だ。とっても強くて、みんなから愛される存在。

そういった存在になれるようにという願いを込めてこの名前にした。


「じゃあ、名前も決まったことだし、もうすぐ最初の転生世界につくよ」

「分かった、ところでローネ、君は僕がこの世界にいる間はいつでも君に会えるの?」

「え、な~に?ひょっとして寂しいの」


ちょといたずらっぽい顔をしているローネの目を見ながら


「うん」


「「!!」」


気づいた時には声に出してしまっていた。顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。

すぐに顔をそらした。ローネもいきなりでびっくりしたのか、背を向いていた。

耳がすごく赤くなっていたので、ローネも恥ずかしかったのかな、いやひょっとして怒ったかな。

とりあえず謝ろうと思い顔を上げると、ローネが目の前に立っていた。


「えっと、ごめん、ローネ。急に変なこと言って、気を悪くさせたよね」


ローネは静かに首を横に振る。


「ううん、確かにちょっとびっくりしたけど、嬉しかったわ。私はこの世界では神っていう存在だし、誰とでも自由に話せるわけじゃないから、また会いたいって言ってくれて嬉しかったわ。」


ローネは、首に下げていたネックレスの飾りの1つを僕に渡した。


「これを握って、祈って、そうすればいつでも私はあなたの前に現われることができる」

「うん、分かった。」

「あ~びっくりした。まさかこんなあっさりと告白されるなんて、しかもまだ転生してないのに」


ローネはとても楽しそうに笑っていた。その笑い声を聞きながら僕の意識はまた落ちていった。

さぁ今度こそ最初の転生生活のスタートだ。


ジンがいなくなってすぐ、ローネの元にスミレがやって来た。


「まぁずいぶんと、簡単に告白したね~。ジン?だっけ?」

「うん、でも嬉しかった。告白なんて何百年ぶりかしら」


スミレは、さっきの出来事を思い出しながらにやけているローネを見て


「もしかしなくても、あいつに惚れたか?」

「うんっ!! 絶対に私のモノにするわ」

「えっ!?」


スミレはなにも言わず静かにそこから去った。




ローネと別れてすぐに僕は大きな木の下で目が覚めた。辺りには木々が生い茂り、動物がいた。

一応、周りの確認をする。危険なモノ、動物などがいないことを確認した僕は、自分の姿を確認しに湖か川を探そうとした。

すると、急に聞き慣れた声が頭の中に入ってきた。


『あ、ジン君聞こえる~?ローネお姉ちゃんだよ~』

『ローネッ!!それにお姉ちゃんって』

『そこはおいといて、ジン君、どっちかの手を左から右にちょっとスライドさせてみて~』

『えっと、こう?』


言われるがまま、僕は右手を左から右。するとなにやらアイコンみたいなモノがニュッと出てきた。


『うわっなんか出てきた』

『それが、いわゆるメニューバーだね』

『メニューバーって、ゲームみたいだな、これ。』

『そこのアイコンで色々できるからやってみてね~。』

『あ、ちょっと待って』


応答がなくなった。どうやら一方的に伝えること伝えていっちゃったようだ。


「とりあえず、いろいろ試してみるか」


メニューバーの文字は日本語でわかりやすかった。メニューバーには項目が5つあった。

<ステータス>、<アイテム>、<スキル>、<マップ>、< () ()

最後のところだけ空白だったので気になって押してみたが特に何も無し。


「これから解放されたりすんのかな、ますますゲームだな」


そうは思いながらも、最初の世界がゲームのような世界なのはラッキーだ。この手の攻略法は前世の時に把握している。


「ひとまず、自分のステータスを確認するか」


ステータスのアイコンをタッチ、自分のステータスが表示された。


----------------------------------------------------------------------------

<<ジン>> 職業 不明

HP :150/150 MP :200/200 SP:120/120 LP:0/5


<スキル>

念話

----------------------------------------------------------------------------


「少なっ、いや、初期だからしょうが無いのかもしれないけど、攻撃スキル1個も無いのかよ~」


さすがに念話だけとなると心細い、これは早めにレベル上げをしてスキルを獲得しないといけない。

早速、レベル上げの為に僕は探索を始めた。さすがに何も持たずに戦うのは心細いので武器を探すことにした。


武器になるモノを探し続けているうちに日が暮れた。日が沈み辺りも薄暗くなっていた。


「まずいな、寝床もまだ見つけてないのに・・・」


ガサガサッ


その時草むらから音がした。音の方を見ると、赤い2つの光がこちらを見ていた。


「え、まじ。まさかの僕ここで終わり・・・」


その光はゆっくりとこちらに近づいてくる。僕は近くにあった石を握り、構える。

お互い動かぬまま幾分か経った。


すると、赤い光は草むらの奥へと帰って行った。

僕は、その場に倒れ込む。極度の緊張感のせいか思ったよりも疲労が来ていた。


「あ、危なかった~、もうダメかと思った。まさかの転生初日に死亡なんて冗談きついわぁ。アハハハハ」


グシャッ------------


鈍い音がすぐ近くで鳴り、同時に激痛が走る。

急いでステータスを見る。HPが半分になり徐々に減少している、状態のところには<<左腕損失>>、<<出血多量>>と書いてある。


「ウアッ、ア、アァァァァァァァァァァァァッ、イタイッイタイタイタイッタイタイタイッ」


僕はその場にのたうちまわる。左腕の痛みに悶えるだけでなにもできない。

こんなの聞いてないぞ、ゲームの世界だろ、痛すぎる。HPはどんどん減っていく、残りは20を切っていた。

もう意識も殆ど無い、その時、目の前に僕の腕を咥えた何かがいた。それはさっき草むらに消えていった赤い光を持った()()だった。


「くっそ~、俺の転生1回目はこれ・・・で終わ・・・りかぁ」


()()が近づいてきて、口を開く、鋭い牙が顔を出す、どうやら僕は食べられるようだ。

僕は覚悟を決める。


「これで・・・終わっ・・・て・・・たま・・・る・・・か、ぜった・・・いに、おま・・・えは、ゆるさ・・・な」


グシャッ------------------------


鈍い音と共に僕の意識は沈んでいった。







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