ブラウン管の恋人? ~警視庁電脳犯罪対策課~ CASE15:願いを継ぐもの
第二回なろうラジオ大賞投稿作品第五弾!!
光と闇のハッカーの戦いは転換点を迎えていた。
闇ハッカーは全財力を投入して電脳世界の中に開発した電脳世界破綻装置【ユニオン】を起動。
世界中の電脳世界が破綻し、世界は大混乱となった。
光ハッカー集団はこの事態を収束させるべく、闇ハッカー達が守る【ユニオン】の破壊作戦を決行。
必然的に両者はついに全面戦争に突入し……そして今、一つの命が失われようとしていた!!
「なんで……なんで俺を庇ったんだ、光莉!」
電脳世界の戦場で、少年は、大ダメージを負い、今にも消えてしまいそうな少女を抱き留め叫ぶ。
少年達は、相対した敵を倒したハズだった。
しかし完全に排除される寸前、相手は変身ならぬ電身を解いた瞬間の少年へ最後の攻撃を仕掛け、少女は……一度死に、電脳生命体に転生した少女・光莉は犠牲となったのだ。
「有悟、くんには……生きていて……欲しかっ、たから」
「そんなっ! 俺だって……お前に生きていてほしかったよ!!」
有悟少年は涙した。そしてその悲しみのままに、光莉を強く抱き締める。
絶対にこの世に留まらせると。絶対に逝かせないと……言わんばかりに。
「俺は、お前が好きだ!! 電脳生命体だとかそんなの関係ない!! だから……だから死ぬな光莉!!」
「ゆう、ご……く……」
そして有悟は……ついに内に秘めていた想いまでをもぶちまけた。
これをキッカケに少しでも、生きようと、頑張ってくれるように。
しかし現実は非情だった。
「ゆ、うご……くn……わ、tしm――」
光莉は。
有悟の、この世で一番大切な人は……永遠に、今度は本当に逝ってしまった。
涙の形をした、一つのプログラムを遺して。
「…………ひ、かり……光莉ィィィィィィ――――――――ッッッッ!!!!」
大切な存在を永遠に亡くし、有悟は慟哭した。
悲しみで胸が張り裂け、頭の中がグシャグシャになる。
しかしそれでも。
世界は無情にも動き続ける。
戦いに決着がつく、その瞬間まで。
しかしそんな中、予測不能な変化は起きた。
光莉が遺したプログラムが発光し、有悟の中に吸い込まれたのをキッカケに。
「こ、れは」
突然の事に有悟は驚いた。
そして直後、全てを理解した。
「光莉……分かった。もう終わらせよう……電身ッ」
そして彼は、静かなる電身を遂げた。
次にそこにあったのは、想いを継いだ彼の姿だった。
「光莉は願った。争いがない世界を。俺が……その願いを継ぐ」
そして少年は。
泣きながらも前に進む。
彼女の願いを、叶えるために。
全51話。
32話くらいで、光莉ちゃんを復活させたいですね(ぉ