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第三話

 僕はダンジョンに残された。



「助かっ、た?」



 喉が乾きすぎて声がうまくでない。


 安堵と共に力が抜け倒れ込みそうになるが、少し力を入れると身体の震えもすぐに止まった。

 命の危機が去り、初めて人を傷つけたいうのに、意外となにも感じない。


 これからどうしよう。


 入口に騎士団がいるというのは本当の事のようだ、そしたら僕には入口に戻るという選択肢はない。


 というより、もう2度とあそこには戻りたくない、関わりたくない。



「よし。」



 ここまで来たんだ、転移魔法陣が本当かどうかは置いておいて、ダンジョンの奥へいけるところまで行ってみよう。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「アアアアァァァ」



 今、僕の前には、骸骨の魔物がいる。


 ダンジョンの中の音を聴いて、どこに何がいるかは大体わかっていたから。


 更に集中すれば、遠くの物や生物がどんな形で何をしているか、知覚することだってできる。


 だから、1番弱そうな魔物のところに来た。



「、、、ふぅ。」


「ア?アアアアアアァ!」



 骸骨の魔物は僕に気がつくと、前屈みに走ってくる。


 大丈夫だ、僕には全部スローに見える。


 僕は一歩踏み込み、覚えていた技を見様見真似で繰り出した。



パンッ


パアァァンッ



 右手で裏拳、左手で掌打。


 魔物は何もできずに崩れ落ちる。


 初めの裏拳で頭が吹っ飛んだようで、二撃目でバラバラになった身体はピクリとも動かない。


 そして奇妙なことが起きた。



「うわっ!」



 魔物が倒れたのとほぼ同時に、魔物から自分に、力のような何かが流れ込んで来たような気がした。


 初めて見た魔物、初めて来たダンジョン、初めて動かした自分の身体。



「これは、、、」



 楽しいな。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ドスンッ


 僕の身の丈4倍程ある、馬なのか牛なのかわからない魔物が、僕に首を切られて倒れた。


 血しぶきをあげながら、轟音を立てて。



「この武器は、、、ちょっと使いにくそうだな。重たそうだし置いとこう。」



 僕は虚な目で魔物の武器を見て呟く。


 もう、自分がどこにいるのか、何をしているのかわからない。


 魔物も何体倒したかわからない。数十体な気もするし、数百体な気もする。

 魔物の使っていた武器を奪いながらひたすら進んできた。


 下への階段しかないから、きっと地下へ地下へと潜っていっているんだろう。


 喉が乾いて死にそうだ、お腹も空いた。



「いつまで続くんだ、、、」



 その時、ふと左を見上げると、大きな扉があった。


 しばらく前から索敵なんかもしなくっていたから、全く気がつかなかった。

 僕はすぐに扉の中の気配に集中する。



「これは、、強そうだな。」



 たしかに、今まで倒した魔物達とは比べものにならない程の強さを感じた。


 だけど、この扉を開かないという選択肢は僕にはない。


 なぜなら、この扉の更に奥に、あのリーダーの男が言っていた魔法陣らしきものが、僕には見えていたから。



「大丈夫だ。」



 ここまでの魔物で、自分の身体に傷をつけたものは一体もいなかった。


 それどころか、倒せば倒すほど身体が軽くなり力が溢れる。



「僕は、生きるんだ。」



 呟きながら、扉を開いた。

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