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第二章 〜最初の侵入者〜

夜は何処まで更け続けるんだろうか……


妖怪達が溢れ出す中、巫女は動き出す





ミオは見た事を洗いざらい話したが奈美はいまいち納得してくれない様子

いつもは見せない怒りを見せて質問攻めをした

「ちょっと!百鬼夜行ってどういう事!」

「まだ百鬼夜行が来た訳じゃない、けどそれだけの量が異世界からやってきた」

「異世界…って冗談はよしてよ、それだけの妖怪がどうやって…」

「見た所によると一ヶ所からあれだけ出たから…たぶん所々の世界が繋がって此処が最終地点になったのね」

「それって…!数は」

「数え切れないほど。」

「…………じゃあその…穴場はなんで現れたの」

「さぁ…日本は龍脈、霊脈、妖脈…豊富に流れてるし、親玉がここを選んだんじゃない?」

冷静にミオは解析して奈美に伝えているが、奈美はガックシと半泣きになってしまった

無理もないだろう、いきなり妖怪が大量に来たと言われてもどうすればいいのか分からない

けれど奈美は流れ的に嫌な予感がするのを感じた

「まさかだけど〜…私が妖怪退治とか?」

「言いたい事は分かったようね」

「分かったような、分かりたくないような……」

「大体、貴方は巫女という役目を持っているでしょ? 奈美以外に誰がやる人が居るの」

「うっ…で、でも私、戦えな「現に私の攻撃を防いだのは誰?」

「…わかったよ〜!やればいいんでしょ!やれば!」

のそり、と布団から這い出て大麻を肩に担ぐ

「いっちょ、やりますか!」





ひゅうぅ〜と風が頬を撫でる

そう言えばそろそろ秋かぁ…と実感していると不意にミオの声が耳に入った

「さすが巫女、空を飛べるなんてね」

「何言ってるの?これはこの大麻のお陰だよ」

「なんで?」

「これは先祖代々受け継がれてきた大麻、これを持つと空を飛べる技が使えるの!」

「なんだ…奈美の実力じゃなかったのね」

「人間はそんな事は出来ませんっ!(汗」

冷や汗を流しながら奈美はミオにつっこむ

そんな他愛のない話をしていたら目的地に着いた二人

「此処が私が見た光景」

「うわぁ……月に穴が開いちゃってるよ」

月のど真ん中が見事にパックリと開いてしまっている

初めて見た奈美もパックリと口を開けている

「まだ出てきてる…せめてあの穴を塞がないと」

「どうやってやるのよ!」

「私的には…奈美があそこに行って封印してくる」

「馬鹿でしょ!私が出来るはずがないよ、あんな大きな穴を塞ぐなんて…しかも邪気が凄く感じるし…自信がない(泣」

「私も守護神だから、手を貸してあげるわよ」

「行こうか!」

「はいはい…ちゃっちゃかやりましょう」

穴が開いている月に向かって全力疾走

速度を上げて月に近づいて行く途中……

「ちょっとそこの人間!!止まりなさい!!」

「あ〜、幻聴だね。聞こえない」

「ちょっ…止まれぇえええ!」

大声を出して奈美を止めた声の主は…

「え、何?なんかようなの、出しゃばり妖怪」

「むむっ、聞き捨てならない戯言が。」

月光を浴びながら言ってくるこの妖怪、特徴を言うならば黒い耳に尻尾

それに人間姿をしている、ボブショートの髪型をしており 上から目線で見ていた

「まったく…これだから嫌なんだよな 人間と守護神の風情は!」

「いきなり出てきてそれ?」

「あ、あはは…」

妖怪の言葉にミオは得意な呆れ顔を作る

奈美も苦笑しつつ、猫らしき妖怪を見てやった

妖怪はむきーっ!とヤカンが沸騰したような膨れ面になり、奈美に言う

「あんた達、ちったあ驚きなさいよ!この私が滅多に姿を現さないというのに!」

「化け猫がよく言うよ…」

「化けてなんかない、これが本来の姿!夜叉猫ヤシャネコを知らないなんてどうかしてる!」

「知ってたら凄いわよ、他の世界からきた妖怪なんて知るはずないのに」

ミオは首を横にふり、俯きながらぼそりと呟いた

「ふふん、この私 夜鐘ヤガネ 紅零コウレイがあんた達を倒してやる!」

チャキ……刀が抜ける音が奈美は聞こえた

急に倒されると言われた奈美は、現在進行形でプチパニックになっている

「え、え!?なんで物騒な話に急展開するの!!」

「奈美、ボーっとしている暇はないみたいよ」

「やっぱりやらないとダメ?」

「うりゃああああ!」

紅零は刀で綺麗な太刀筋を描き、振り翳す

それを余裕に避けたミオと間一髪で回避した奈美

「くっそ〜…とりゃ!」

今度は刀を横から切るように太刀筋を変える

そしたら風が刀に纏わりつくようになり、一瞬にして凶器が出来た

「ふんっ!」

また振り翳すと風がびゅう!と音を立てて高速に離れていった

その風は周りの風を巻きこみ次第に大きくなっていって奈美の元に飛んでいく

「殺生は好きじゃないけどな〜…」

懐から札を出し、指の間に挟んだ後 札を投げた

札は風に真正面から衝突をして、爆風を起こし共に消滅する

奈美は一息ついて、今だに刀を構えている紅零に話しかけた

「猫〜、出来れば聞きたい事があるんだけど」

「うみゃ?それはなに?」

「なんであんた達がここに来たのか、どうして私を襲ったのか…そして……」

「???」

「どうして私に要らぬ仕事を増やしたのか!!」

「三個目関係ないじゃない!」

奈美の堂々とした宣言に大声でつっこむミオ

でも、紅零は淡々と話し始める

「一つ目は答えられない!二つ目は戦闘防衛!三つ目は知らん!」

「一つ目重要なんだけどね…まぁいいや」

「良くないでしょう…奈美、貴方は面倒臭がりが激しすぎる」

「しかたないもーん」

「だからそこの二人!質問に答えたからにはその分の代償を貰わなくちゃね!」

ひゅるるる…刀にまた風を溜め、一気に放出させる

「あー、もう…普通は答えなきゃいけない所なのに…ミオ、力貸して」

「どうせ勝手に使うくせに、貴方は勝手なんだから」

「いいんだ、ありがとう!」

「ほら、聞いていないわ…」

完全にあきらめたミオは淡い光を放った粒子に包まれた

粒子は奈美が持っていた大麻に入り込んで、大麻も光に包まれた

「ぬぉおお!大麻に入ったぁああ!」

奈美が吃驚しているのもつかの間、次第に形を変えた「それ」は刀になった

光は消え、本性を現した刀の刃は深い蒼色に染められていて、冷気を放っている

「わ、わ、わ…!銃刀法違反で捕まっちゃうよ、コレ」

『……言ってる暇があるならさっさと妖怪を封印しなさいよ』

「剣が喋ったっ!?」

『私だからね?奈美』

「なんだ…ミオだったのかぁ…」

「さて!ぎゃーぎゃーうるさいけど、もう遺言はないよね?」

「はいはい…やろうね、お喋り猫」

ミオが宿っている剣を握りしめ、覚悟を決めた






つづく

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