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第一章 〜巫女の苦悩〜



それはまだ平和だった時間……




「ふぁああ〜……眠いなぁ〜」

巫女装束を着て、竹林の中のお寺の入り口で本日最高の欠伸をかます

長い髪は赤いリボンで一つに結び、大麻 (ぬさ) を肩に担ぐ姿は巫女以外何もない

「さぁて…何をしようか」

「奈美ぃ〜…そう言ってサボろうと思ってはいないんだよね…?」

「そ、それはどうかな?」

竹林に木霊する声に一瞬だけ戸惑いを見せたが、またすぐに言い返す

「嘘をつけ、嘘を!!」

淡い青い光と共に竹林から出てきた藍色の鳥

如何にもここに住んでいる小鳥じゃなさそうだ

「いつも見てるんだから、貴方が木陰でのんびりしているのを覚えているわよ」

「まぁ〜いつも私の活躍見てくれてるんだ!嬉しいな」

「活躍とか・・・見たことないんだけど」

「も〜、そういう時は『奈美は偉いよね!』って言うんだよ、ミオ」


さっきから変なやり取りをしているこいつら

巫女装束を着たのは蓮城 奈美。

ここの寺を受け継いでいる巫女 (?)

そして藍色の鳥はミオ。

実は生きていない鳥、氷を操る氷霊鳥という種族だ

あまり知られていない場所にこの寺は建っている


「そんな事言うと思う?」

「ううん。期待してないし、大丈夫」

「あっ、そう……で、掃除はしたの?」

「ぜ〜んぜんっ!!」

「だったらさっさとやりなさい!」

「あーい」

ぶすっとした表情を作り、奈美はしぶしぶと箒を取りに行った

はぁ…とミオはため息をつき、寺の中に入って奈美がサボらないように見張りに行った



ざっざっざっざ……

竹の葉がひらひらと箒で集められていく

奈美は「あ〜」たか「う〜」など呻き声を上げつつ掃いていた

ミオは寺の屋根の上でじーっと奈美を見つめている

「…ね〜」

「何」

「いつまでやるの〜?」

「綺麗になるまで、隅々まで綺麗に掃いたら…」

「掃いたら何っ!?」

「次の所に掃きに行く」

「あぅ…そうなのね」

希望が崩れるように項垂れる奈美を見てミオはまた溜息をつく

「はぁ〜…仕方ないわね…次で終わりでいいよ」

「いやったぁ〜!」

「ただし!明日は数倍働いてもらうから」

「嗚呼、なんでこんな守護神を付けてしまったんだろ…(泣」

「何か?」

「よ〜し!奈美ちゃん頑張っちゃうぞー!」

「ったく…調子がいいんだから」

そう言って微笑みが隠せないミオ

結局は奈美を甘く見ていたのだった




日が着々と沈んでいく…

綺麗な紅色と鮮やかな橙色に空が染まっていく中、『狭間』は広く開いていった

「お〜!ミオ、夕焼けが綺麗だよ!」

「本当……不自然なくらい」

「どうしたの?」

「なんでもないよ」

ミオは不自然そうに夕焼け空を見上げる

心配そうな目をしながら




「ふぁああ…ミオ、お休みね〜」

「ええ、お休みなさい」

時は過ぎて夜 特に異変も何もなかった

奈美は敷布団、ミオは竹林の竹の葉で出来た巣の中で寝ていた

ミオはむくり と起き上がり、夜空に飛び立つ

「…おかしすぎる あの夕焼けは余りにも……変すぎる」

翼をはためかせ 夜の竹林を見つめた後、空を見上げた


…月が異常に大きすぎる


目を鋭くし、大きな満月を食い張るように見つめ、しばらく静寂が流れる

すると ぐにゃりと歪みが現れ、渦を巻くように月に穴をあけた

「………!!!!?」

歪みから出てきたのは間違いでもなく……











数え切れないほどの



妖怪、幽霊、魔物達だった











「なっ…これだけの数は見た事がない…」

ぞろぞろと穴から出てくる妖怪や幽霊や魔物……

さすがのミオも引き気味だ

「グォオオオオオ!!!」

「チッ…まずは引き上げね」

一匹のドラゴンが口に火を貯え、こっちに寄って来るのを見て素早い動きで寺に戻った


まずは奈美に知らせないと……!!


小さな建物を見つけ、急いで急降下

古い窓に入り、奈美が寝ている布団に…


冷氷針レイヒョウバリ!」

「むみゃああああ!!?」

容赦のない氷の氷柱ツララを放ったミオに奈美は飛び起きて札を投げた

氷はピキピキと真っ二つに割れ、粒子となって消えていく

「もー!部屋内で術 使うの禁止!」

「修業の成果は少しずつ出てるのね」

「あったりまえだよ!巫女になるため、日々修業を…」

「そんな事よりか大変な事があるのよ」

「え?何?まさか妖怪が大量噴出「その通り」




「………まさかのまさか?」

「百鬼夜行、来たかもしれないわ」

「…いやぁあああああ!」






今、巫女は嘆いている


何故なら、仕事が沢山増えそうだから


平和な日は過ぎ、波乱の日々が彼女達を待っている








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