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モブ勇者の成り上がり  作者: barium
五章 冒険者
63/70

63.出発

応募用の新作書いてたら遅くなりました。

すみません。

落選したら、なろうにも出します。


和也がユニスに遺跡の話を教えて貰った数時間後、その情報が一般にも開示された。

その時の熱狂っぷりは凄まじいもので、街中を遺跡のニュースが駆け巡った。


死者が生き返る。


それは異世界でも有り得ない事なのだ。

人を生き返らせる魔法なんて無いし、金をどれだけ積んでも、どれだけ願ったとしても、教会も死者を生き返らせることが出来ないのだ。

いままで不可能とされていたことが、常識が覆る。

その事に歓喜するものがほとんどだったが、もちろん反対意見もあった。

しかし、それはすぐ世論に埋め尽くされた。

ほとんどの国民が、期待しているのだ。

遺跡に眠る財宝を、死者の蘇生を。


そして、ギルドは遺跡にCランク以上の制限を設け、遺跡を攻略する調査隊を募集した。



────────────────────────



ガタ、ガタ、と和也だけを乗せた馬車が軽快に走る。

高い金を払って貸切にした甲斐があって、かなり快適だ。

装備の点検をしながら、進行方向を眺める。

目的地は例の遺跡から一番近くの町。

そこで調査隊の募集がある。

ギルドが遣わせた先遣隊の情報によると、その遺跡はダンジョンになっているらしい。


……恐らく、かなり高レベルなものになるだろう。

そこらのダンジョンと比べて、報酬が破格の性能だ。

簡単だなんて有り得ない。

それでも、僕は何としてでもこのダンジョンを攻略しないといけない。

そしてエリナを──


決意を固め、背もたれにもたれ掛かる。


ずっと遺跡の事を考えていたせいで、昨日はあまり寝ていないのだ。

町まではまだある。

休める内に休んでおこう。


目を瞑ると直ぐに、和也は夢の世界へと誘われた。



────────────────────────



いつも通り、彼女を救えない。

どれだけレベルが上がろうとも、僕の剣は彼には届かないのだ。


『……嗚呼。』


悲嘆の声を上げながら、僕は横たわる彼女に近づいて跪き、手を握る。

彼女から溢れる生暖かい血が、僕のズボンを染めていく。


『……どうして、助けてくれなかったの?』


彼女の質問。

僕はいつも、これに不甲斐ない答えしか返せなかった。

でも、今日は違う。


『……今まで助けられなくて、ごめん。』


僕は、鮮血が付き、赤く染った手をぎゅっと、さらに強く握る。


『…今度は、絶対に助けるから。』


そして、そう誓った。


『……』


じっと、彼女が僕の目を見つめる。


そして、ゆっくりと口が開き────



────────────────────────



「……さん!…お客さん!着きましたよ!!」


体を揺すられ、微睡みから覚める。


「……ん。……どうも。」


小さく伸びをしてから、和也はよっこいしょと立ち上がる。


最後、彼女は何と言いたかったのだろう?


御者は全くもって悪くないのだが、つい、不躾な返事をしてしまう。

パッパと支度を終え、馬車から降りる。


そして、閑静な街並みを眺めながら歩く。

帝都から遠い、小さな町だ。

クエストで一度だけ来たことがある。

その時の印象は『住民全員が暖かい良い町』だったのだが、そんなこの町に異様なほどの冒険者達が集まっている。

そこにはこの前感じた雰囲気は無く、剣呑な空気だけが漂っていた。

名の知れた冒険者もチラホラ見受ける。


「……げ。」


冒険者達の顔ぶれを確認していると、顔見知りの冒険者と目が合い、思わず声が出る。


…あいつも来てるのかよ。

絡まれたら面倒だ。

急いで逃げよう。


そして、何も無かったかのようにそそくさと立ち去ろうとする。

もちろん『隠密』スキルを発動するのも忘れない。


もう発見されているから気休め程度にしかならないのだけれど。


しかし和也の苦労虚しく、右肩をガシッと掴まれる。


「何逃げてんのよ。」

「あ、来てたんだ。気付かなかった。」

「嘘。さっき目があったじゃない。」


…ああ、これは逃げれないな。


和也は逃げることを諦め、しぶしぶ向き合う。


アリア・トライアム。

以前、ユニスとの会話で話題に出た、和也と同じBランクの冒険者で、ツリ目がちの、気が強そうな美少女だ。

燃え盛る炎の様な赤毛を背中の中程まで伸ばしていて、その豊満な胸を押し上げる様に腕を組んでいる。


「あんたも来てたんだ。」

「うん、まあね。」

「ふーん……」


そう言って、僕の装備をジロジロ見る。


「そう言えばあんたって、盗賊だっけ?」

「そうだよ。」


僕の返事を聞いた彼女が、ニヤリと笑う。


あ…嫌な予感。


「私、今盗賊居なくて困ってるの。だからパーティ組むわよ。」

「え、嫌なんだけど。」

「はぁ?この私が誘って上げてんのよ。素直に聞き入れなさいよ。」

「別に、僕じゃなくても。そこら辺から適当に選んだらいいじゃんか。アリアなら余裕だろ?」

「ふんっ!分かってないわね。弱っちそうなあんたの為に言ってやってるんだから。……ほんとに、なんでこんな奴が私と同じBランク何だか。」


溜息をつきながら、アリアがポツリと呟く。


同い年。

ソロ。

Bランク。

そう、彼女は僕のことを勝手にライバル視しているのだ。

それで、よく絡んでくる。

それが面倒なのだ。

あと、高圧的な所も苦手だ。


「別に、いいよ。」

「豚に言いつけるわよ。」

「……」


彼女が豚と呼ぶのは、彼女のファン達のことだ。

高飛車で口も悪い彼女だが、その容姿からかなり人気が高い。

そんな彼女に惚れ込んだ人が勝手に親衛隊と名乗り、アリアに不敬をした者を粛清するのだ。

和也も初めて会った時に(何をしたか忘れたが)やらかし、狙われた経験がある。

どこへ逃げても追いかけて来て、かなり面倒だったのを覚えている。

しかも24時間ずっとだ。

少しトラウマになっている。


「入るわね?」


勝利を確信し、笑みを浮かべた彼女が高圧的に確認する。


「……了解。」

「ふんっ、初めから素直にそうしていれば良いのよ。」


…それにしても、パーティなんて本当に久しぶりだ。

エリナと別れてから、1度もパーティを組んだことがない。

しかも相手はアリアだ。

お互いソロ同士、連携なんて出来るのだろうか?

グダグダして、逆に危険なんじゃないだろうか。

勝ったことが嬉しいのか、機嫌良く鼻歌を歌う彼女を横目で見る。


…いつも以上に気を張らないと。


「そう言えばあんたって、名前何だっけ?」

「和也だよ。三枝和也。初めて会った時に言っただろ?」


…名前、覚えて貰ってなかったのか。


「…ふふっ、知ってるわ。冗談よ。」


和也が気を落としていると、彼女はイタズラが成功した子供の様に無邪気に笑って言った。


「ねっ、さっきホントに忘れられてると思ったでしょ!」


……こいつ。


「…はいはい。」


カラカラと笑う彼女におなざりに返事する。

自分のペースが崩される。

あー、早く始まらないかな。





その後、ギルドから簡単な説明がされ、


「さあ!早く行くわよ!!」


僕とアリアは遺跡へ向かった。


新キャラです。

別に、大きい方主義者ではありませんが、何故か登場するヒロインの多くが大きいです。

何がとはいいませんが。


レビュー、評価、感想、ブクマなど、よろしくお願いします。

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