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モブ勇者の成り上がり  作者: barium
一章 始まり
4/70

4.ステータス

すいません、遅くなりました。


セバスが手を叩くと、和也が入ってきた扉からメイドが台車を押しながら入ってきた。

台車の上には、綺麗に澄んだ水晶玉が付いた顕微鏡の様なものが乗っている。


メイドの登場にまたもテンションが上がる。

昔、本物メイドが見たくて画像検索したことがあったのだが、和也の期待に反し、年配の女性ばかりだった。

しかし、今は違う。

若いおねーさんだ。

メイド喫茶の様なものでもない、一つ一つの動作が洗練され、気品が漂っている。


メイドが台車の上に載った機械を持ち上げ、セバスの前に置く。


「これは大昔の賢者が開発したステータスを調べることが出来る魔道具です。この水晶玉に手を置くとその人のステータスが調べられます。そしてその結果がステータスプレートに記入され、ここの取り出し口から排出されます。」


セバスが部品を一つ一つ指さしながら説明する。


「ではまず私が手本を。」


そう言うとセバスは水晶玉に手を乗せる。

その瞬間、今まで透明だった水晶玉が淡い光を放った。


おぉ!

すごい綺麗だ。


今までで見たことの無いような輝きに、周りからも感嘆の声が聞こえてくる。


これはきっとあれだな。

勇者である僕が触れた瞬間、セバスさんのとは比べ物にならないほど強烈に光って、アリシアさんが「こんな強い光見たことがないです。」とか言って、無双が始まるヤツだな。


それか、ショボイ結果が出た後、何かしら事件があって成り上がり、最終的には最強になるヤツだな。

……僕的には最初から無双系の方がいいな。

楽したいし。

基本的に成り上がり系は主人公が最初に苦しい目に遭うから嫌だ。

やっぱり成り上がり系は小説の中だけに限る。

現実では有り得ない。

怪我とかするのを想像しただけでもゾッとする。


そんなことを考えていると、徐々に光が収まってきた。

顕微鏡みたいな機械が小刻みに震えたかと思うと、ヴーという低い音が鳴り、金属のプレートが出てきた。


「これで終了です。回しますので見てみて下さい。」


セバスさんが機械からプレートを抜き出しメイドさんに手渡した。

メイドは和也達の右端、つまり和也にプレートを手渡した。

仄かに甘い香りが鼻腔をくすぐる。


…いい匂いがするなこのメイドさん。

柑橘類か?


そんなことよりステータスだ。

えーっと。



────────────────────


名前:セバス・チャン

職業:執事長


スキル:礼儀作法Lv:MAX(10)毒物発見Lv:MAX(10)身代わりLv:MAX(10)剣術Lv:MAX(10)馬術Lv:MAX(10)料理Lv:MAX(10)裁縫Lv:MAX(10)体術Lv:9 護身術Lv:8 魔力操作Lv:6


────────────────────


おお、よく分からないけど凄そうだ。

なんでも出来るんだなこの人。

見た目通りだ。

カッコイイ。


和也は左隣の女子(名前は確か中川麻衣だったか?)にステータスプレートを渡す。

そしてそれを繰り返していき、川崎先生がステータスプレートを見終わったのを確認したセバスがステータスプレートを受け取る。


「さて、私のステータスプレートの確認も終わったところで発行の手順やステータスプレートの項目について質問はごさいますか?」


剣崎がクラスメイトを見渡す。


「皆、何かある?」


特に無い。

というのも、ゲームとかのステータスと殆ど変わらないからだ。


全員が首を振ったりして、質問が無いことをセバスに伝える。


「質問はいつでも受け付けますので。気軽にご相談ください。」


質問をしなくてはいけないような変なスキルとかが無いことを願おう。

厄介なのはゴメンだ。

僕は楽して勝ちたい。


「では皆様のステータスプレートを発行したいと思います。サエグサ様、こちらに。」


呼ばれた瞬間、手のひらが汗ばむ。


早くステータスが分かるのはいいんだけど、『空気』が一番最初はちょっと気まずい。

まあ、『空気』の称号もこれまでだ。

なんたって今から俺TUEEEEが始まるんだからな。

成り上がりだ。


僕は意気揚々とステータスを調べる機械の前に進み出る。

クラスメイトも最初とあってか僕に注目している。


こんなに注目されるのも初めてかもしれないな。

今からこれが歴史の1ページになるんだ。

注目するのもおかしくないか。


「よし!」


気合十分、僕は水晶玉の上へ手を置く。

するとその瞬間、部屋が真っ白になるほど水晶玉が発光し、部屋にいる全員が息を呑んだ─────ということもなく、発光はセバスと殆ど変わりがなかった。


「あれ?」


予想外の展開にびっくりして思わず口に出てしまった。


ふむ、これは成り上がり系だな。

最初から無双系が良かったけどまぁいいか。

異世界召喚されただけでも御の字としよう。

あー、でも。

出来るだけ痛くないといいな。


ヴーという音が鳴りステータスプレートが出てきた。

水晶玉から手を離し、僕はそれを取る。


さあ、待ちに待った瞬間だ。


────────────────────


名前:サエグサ・カズヤ

職業:盗賊


ユニークスキル:弱点感知Lv:1

スキル:異世界語Lv:MAX(10)剣術Lv:1 体術Lv:1 暗殺Lv:1 投擲Lv:1 隠密Lv:1 索敵Lv:1 危機感知Lv:1 罠感知Lv:1 鍵開けLv:1 宝探しLv:1 回避Lv:1 聞き耳Lv:1 暗視Lv:1


────────────────────


ん?

なんだこれ。

職業も非戦闘職でもなく、そこそこ重要な職業だし。

だからといって竜騎士とか、暗黒騎士みたいな物語でいうレア職業っていう訳ではない。

むしろコモン。

よくありそうだ。


ステータスもレベル1ってことを考えたら普通かな?

MPが低いのは魔法職じゃないからだろう。


スキルが無い訳でもない。

むしろセバスさんよりも多い。

全部を使いこなせるかどうかは置いといて、見た感じ中々優秀そうだ。

異世界語はこの世界の言葉が分かるってやつだろう。

多分皆持ってるはず。

あと、ユニークスキルがあるな。

ここら辺が勇者たる由縁かな?

それにしても弱点感知?

あんまり強そうじゃないな。

ユニークというより、普通のスキルでありそうだ。

だって分かるだけだし。

弱点が分かるのは一見強そうに見えるけど、もしもモンスターが相手だとしたら、知識として覚えたら済む話じゃないか?このモンスターは何に弱いとか。そういうのをまとめた、モンスター図鑑的なものもあるはずだから、初見のモンスター意外にはあまり効果的じゃなさそうだ。

まあ、使ってみないと分からないけど。


…うーん、微妙だな。

パッとしない。そもそも職業がサポート枠ってどうなんだ?

俺TUEEEEが出来そうなほど強くもない。

かと言って、成り上がりかと言うほど弱くもない。

集団転移モノのラノベなら、主人公の単なるクラスメイトという程度のステータスな気がする。

…つまりあれだ。


どうやら僕は異世界でもモブをすることになりそうだ。

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