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モブ勇者の成り上がり  作者: barium
三章 迷宮
37/70

37.新装備

10月から諸事情により、投稿頻度下がるかもしれないです。

更新する時はTwitterで呟きますので、そちらを確認してくれれば幸いですm(_ _)m


エリナと遊びに行った次の日の朝、僕はギルドに来ていた。

レーナさんにお礼兼結果報告と、新たらしい装備を使用する為だ。

エリナとクエストに行く前にこの装備に慣れておかないといけない。


「レーナさん!」


僕はギルドに着くなり、レーナさんの元へ駆ける。

レーナさんは一瞬目を丸くしたようだったが、すぐにいつも通りの笑顔に戻った。


「おはようございます、カズヤさん。今日はいつもより元気ですね。昨日は上手くいったんですか?」

「あ、はい。それなんですが、ありがとうございました。えっと、上手くいったと思います。」

「それはよかったです。私も、手伝った甲斐がありました。」

「ほんとに、レーナさんさんのお陰です。」


レーナさんが居なかったらどうなっていたことか。

エリナは優しいからいつも通りの笑顔で居てくれるだろうが、どうせなら今まで以上に楽しんで欲しかったからな。


「これからクエストですか?」

「あ、はい。えっと、この装備の性能を試そうかなって。」


レーナさんの目は、まるでプレゼントを貰ってはしゃぐ子を眺めるように優しく、暖かかった。


ちょっと恥ずかしい。


「えっと、簡単なクエストって何があります?」


気恥しさを隠す様にレーナに話題を振る。


「えーっと。……ゴブリンとフォレストウルフ、コボルトぐらいですね。」

「あ、じゃあゴブリンで。」

「……カズヤさん、ゴブリンばっかじゃないですか。倒してくれるのはありがたいですけど、あれはもっと低いランクの人の為に常設してるんですよ。カズヤさんならもっと上のレベルの方がいいんじゃないですか?」


和也はバツが悪そうに頭を掻きながら


「でも、手軽なんですよ。だからつい。」


と、言った。


「それは分からなくもないですけど、ゴブリンだと全然レベル上がらなくないですか?……そんなんだと、またこの前みたいなことがあってもエリナちゃんを守れませんよ。」


レーナが和也をからかう様な口調で言う。


「まあ、そうなんですけど。」


今のレベルは20。

このままだと、強いモンスターにすぐ殺られる。

上げないといけないのは分かってるんだよ。

でも、強いモンスターと闘うのは怖い。

怖すぎる。

上から迫る、頭より大きな手。

ギラつく眼光。

あの時の光景が頭の中をチラついて足が竦みそうになる。

言ってしまえばゴブリンでも多少なりとも経験値は入ってる訳だし、いいかなって。

今のところ、「魔族と戦うからちょっと集まれ!」みたいなことはまだなさそうだし。

強くなりたいし、強くならなくてはいけないとは思う。

でもそれは必然的に強い敵と戦わなくてはいけない訳で。

こういうのって、ジレンマって言うんだっけ。

多分あってたはず。


「はぁ……弱くて、経験値が多いモンスターがいっぱいいる所ってないんですかね。」


溜息と共にそんな言葉が漏れた。

ないよな、そんな都合のいい場所。


「ありますよ。」

「えっ?」


耳を疑う。


「ここだけの話なんですが、ここからちょっと遠いんですけど、西のベナン山脈のエクスロックというモンスターですね。」

「え、でもそれ以外に強いモンスターとか居たりするんじゃないんですか?しかもそんな所聞いたことないですし。そんないい所ならもっと話題になってるはずですよね?」


美味い話には裏がある。

僕も今まで色んな狩場を聞いたことがあるが、そんな場所を聞くのは初めてだ。

その話が本当ならもっと沢山の人が行ってるはずだし。


「だからここだけの話なんですってば。」


レーナさんが僕の耳元に口を近ずける。

吐息がこそばゆい。

一つ言葉を話す度、背中がゾワッとする。


「えっとですね、エクスロックがベナン山脈に生息しているって分かったのはつい最近のことなんですよ。なんでも、その山脈の麓にあるベナンという町の子供が見つけたんだとか。強いモンスターもですが、ギルドの先遣隊によるとCランク以上のモンスターには出会って居ないそうです。だから、とても美味しい場所なんだそうです。」

「で、でも、なんでここだけの話なんですか?」


こそばゆさに身をよじる。

美少女に接近されるのは嬉しいけど、近すぎだし、こそばいし。


「その情報をギルドは一週間後に、ベナン山脈の調査という名目で公開する予定なんです。」

「ああ、なるほど。」


でも、なんで僕にそんなこと教えてくれるんだろ。

公開前の情報なんて言ったらダメなはず。


「それって、言ってもいいんですか?」

「あー、多分大丈夫だと思いますよ。カズヤさんが言わない限り。まあもしバレても、勇者が〜とか言って誤魔化したらいいですし。」

「いやいやいや、ダメでしょ。」


焦る焦る。

そんなので誤魔化せないだろ。


「カズヤさんはエリナちゃんよりレベルが低いんですから、これでドーンとレベル上げて、かっこいいところ見せたらいいんですよ。」


…そう言われると、弱いな。

いつまでもエリナとレベル差があるのはちょっと嫌だし。

強くなりたくもあったし。

……うーん。


「1日で帰って来れるんですか?明日エリナとクエストに行く予定なので日帰りじゃないといけないんですけけど。」

「馬車に乗って片道2時間。遅くなってもいいんでしたら充分時間あると思いますが、どうでしょう?」



────────────────────



「……来てしまった。」


ベナン山脈の頂を見ながらそう呟く。

頂と言っても、そんなに高くない。

雪も積もってないから寒くも無さそうだ。

むしろ暑いかも。

いや、流石にそれはないか、どうだろう?


エクスロックは岩石系のモンスターで、倒すと多くの経験値が貰えるのだが、とても硬く、倒せる者は限られる。

通常、倒す時は打撃系の武器を使うのが一番なのだが、打撃系武器のスキル持ってないし、この短剣の方が早い気もする。


和也の期待に答えるかのように短剣が陽光に照らされキラっと光った。


にしてもこの短剣凄いよな。

真っ黒だ、どんな素材使ってるんだろ。

暗殺スキル持ってるし、夜に紛れこめそうなこの装備は中々相性がいいのかもしれない。

流石『鍛治神の加護』だ。

…関係あるかな?

あると信じよう。


「お、あった。」


レーナさんの話によると、この洞窟だったはず。


和也は山の中腹に出来た小さな洞窟を見る。

入り口は狭いが、中は広いのだと聞いていた。

不気味な空洞音が鳴り響く。


洞窟探索なんてまともにしたことないけど、一応授業で習ったからやり方は大丈夫なはず。


和也はランタンに火をつける。


洞窟内には光る苔やキノコがあって、まあまあ明るいらしいけど、一応だ。

いらなくなったら消せばいいし。


和也は洞窟の奥を見る。

不気味だ。

洞窟が本当に美味い狩場なのかは分からないけど、レーナさんを信じよう。

さて、この選択が吉と出るか凶と出るか。


和也は洞窟内に歩みを進めた。






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