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モブ勇者の成り上がり  作者: barium
一章 始まり
3/70

3.説明回

タイトルそのまんま説明回です。


アリシアに案内された部屋は大きな円卓のある部屋だった。


「どうぞお掛けください。」


ぞろぞろと入口近くから席が埋まっていく。

剣崎を中心にして左右に分かれて座った。


ここへ来る途中、城内をジロジロ見ながら進んでいたせいで皆よりも少し遅れ、和也の席はクラスメイトの一番右端になった。

アリシアは後ろにセバスを控えさせ、剣崎の対角線上の席に座っていた。

ちなみに剣崎はクラスメイトの中央に座っている。


「まず始めに自己紹介をしますね。」


アリシアがふわりと立ち上がる。


「改めまして私はルーレンス王国国王、アリシア・ルーレンスと申します。気軽にアリシアと呼んでください。これからよろしくお願いしますね。」


国王?

女性なのに?

しかもまだ若すぎる。

僕達と同じかそれよりも下くらいなのに。

この国は男女平等なのか。

まあ、考えても分からないし別にいいんだけど。


それよりも、だ。

問題は彼女をどう呼ぶのかという事だ。

勇者と召喚主。

接点はかなりあるだろう。

つまり、この問題は早急に解決しないといけないってことだ。

うーん、どうしよう。

彼女は呼び捨てでいいと言っていたが、僕には無理だ。

初対面の人(しかも女の子を)呼び捨てにするのは流石にキツい。

剣崎とかなら普通に呼び捨てで呼べるのだろうか?

…いやあ、ハードル高いっすね。


じゃあ、王様とか姫様?

でも、向こうから名前で呼べって言ってるのに違う呼び方で呼ぶのは失礼になるんじゃないのか?

となると、アリシアさんになるのか。

……それならまだまし…かな。

よし、今度からそれでいこう。

いけるかな?

頑張ろう。


「セバス、次お願い。」

「はい、私はこの城の執事長のセバス・チャンと申します。お困りの際は何でもお申し付け下さい。それとアリシア様と同じように、私のことはセバスで結構です。」


セバスさんは初老の執事で、デキル男といった風格を感じる。


白髪混じりの髪が彼のダンディーさを更に引き立てていておじ専の人がいかにも喜びそうだ。


普通にかっこいい。

僕も将来こんな大人になりたいものだ。


そんなことを考えているとアリシアさんが和也方を向いた。


なに?

女の子耐性無いから照れるんだけど。

冷や汗が出てきた。


「では初めは一番右端のあなたからお願いします。」


うわ、最初か。

嫌だな。

自己紹介って何言えばいいんだよ。

というか、アリシアさんとセバスさん以外は多分僕のこと知ってるんだから、こんな大々的にやらなくてもいいだろ。

……とりあえずここは無難に。


「はじめまして三枝和也です。よ、よろしくお願いします。」

「サエグサ・カズヤさんですね。はい、よろしくお願いします。」


アリシアが笑顔でお辞儀をする。

和也もそれに合わしてお辞儀をしようとしたが、アリシアの笑顔に見蕩れ、少し出遅れた。


…そんなことよりクラスメイトの方から「…あいつそんな名前なんだ。」とか聴こえるんだけど。

…泣きそう。

流石に同じクラスになってから1ヶ月以上過ぎてるんだから知ってて欲しかった。


その後順に自己紹介していき、左端に座る川崎先生で終わった。


自己紹介中にアリシアさんの方を見てキメ顔をしながら『因みに彼女は居ません!』とか、『彼女募集中です!』とか言ってる奴居たんだけど。

初対面相手によくそんなの言えるな。

度胸が凄い。

見習いた………くはないな。


「次は今後のことについて説明します。セバス、お願い。」


アリシアが笑顔で話を進める。


「ここからは変わりまして私がご説明をいたします。 」


セバスがハキハキとした声で宣言する。


「勇者の皆様、あなたがたの最終的な目標は魔王の討伐でございます。 近年、魔王率いる魔族の勢力が急速に拡大しており、このままでは人族は近い将来滅んでしまうことが予想されております。そこで、勇者の皆様にはレベルを上げ、強くなって欲しいのです。」


レベル制の世界か。

成長スキルとかあったらいいな。

レベリングとか面倒いし、早く無双とかしたいし。


「セバスさん、レベルのことについて説明してくれませんか?」


剣崎がすっと右手を上げ、質問する。


自身のステータスのレベルなのか、スキルとかのレベルなのか。

気になるところだな。

まぁ本人はそういう意味で聞いた訳ではないだろうけど。


「レベルとは簡単に説明すると強さの程度を数値化したものです。 職業やスキルにもよりますが、大抵は自分よりレベルが高い者には勝ちにくく、逆に低い者には勝ちやすいようになっています。 レベルが上がることでその人の力が強くなり、魔力量や体力が増加します。 ここまでは宜しいですか?」

「はい、一応。…まるでゲームみたいだな。」


剣崎が返事の後に噛み殺すように呟いた言葉には僅かだが、怒気が含まれていた。

剣崎の方を見ると、彼の手は固く握られている。

一見明るく振舞っているようだか、やはり彼もいきなり異世界に召喚されてショックを受けていたのだろう。

しかし、クラスのリーダー的な存在である自分が不安そうにしていると周りも余計不安に思う。

だから今まで明るく、まるでこの状況を楽しんでいるかのように振舞っていたのだろうか。


良い奴だな。

ほんとに、助かる。


「では続きを、レベルを上げるには魂の宿ったものを倒す必要があります。 魂の宿ったものとは生物は勿論、ゴーレムやアンデッドも含まれます。 それらを倒すことで経験値が手に入り、それが一定量集まるとレベルが上がります。例外もありますが、自分よりレベルの高い相手を倒すと取得経験値は多くなり、自分よりレベルの低い相手を倒した場合は取得経験値は少なくなります。」


まあ、普通のRPGと同じだな。

魂が宿ったものってことは、ゴーレムはいいけど、壁とかを壊しても経験値は手に入らないってことか。


「次に職業とスキルについて説明します。職業はその者がどの役割を果たすのか決めたものです。 例えば前に出て、皆を守りながら戦う『戦士』、魔法を使い、パーティメンバーのサポートや火力を担当する『魔術師』、斥候や罠感知などをする『盗賊』。他にもありますが、後で皆様のステータスを調べた後、詳しく説明します。」


職業か。

僕は何なんだろ。

そもそも選べるのか?

それとも勝手に決まってるとかかな。

もしも決めれるならやっぱり魔術師かな。

魔法使ってみたいし。

…いや、でも王道に剣士も捨て難い。

夢が膨らむな。


「 次にスキルですが、スキルを持っているとそのスキルに該当する行動をする時に補正がかかるというものです。 例えば剣術スキルを持っている人は、持ってない人が剣を使用した時よりも威力が高くなります。また剣術が上達しやすいなどのメリットがあります。スキルにもレベルがあり、そのスキルに該当する行動をし続けていると徐々に熟練度が上がり、レベルが上がります。」


つまり、スキルを持っている方が圧倒的に有利ということか。

僕は幾つあるだろう。

出来ればいっぱいあるといいな。


「では今から皆様のステータスを測定したいと思います。」


ここが僕の人生の分岐点だ。

弱ければ成り上がり。

強ければそのまま無双。

個人的にはそのまま無双がいい。

成り上がりは苦しそうだからな。


「…よし。」


和也は誰にも聞こえないくらいの小さな声で気合いをいれる。


楽しみだ。


僕はゴクリと唾を飲み込んだ。


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