そして伝説に……なっています(現在形)
設定が先行しちゃってます。
「あなたー!そろそろお昼にしますよー?」
「おーう。今行くわ。」
太陽も高くなり、いつの間にか昼時になっていたのだろう。
見渡す限りの果樹園の一角で、葉すぐり(果実が実り始めたときに確りと太陽の光で色付かせる為に増えすぎた葉っぱを間引く作業)や枝の剪定(無造作に延びた枝が回りの果樹にまとわりついたり傷つけないよう、そして少しでも多くの栄養を身がなる枝に集中させるために枝を切っていく)作業に勤しんでいた僕は、彼女の声にそう返事を返す。
「今日もまだまだ暑くなりますので気をつけて……って、やだ!また私ったら。あなたはそんな心配要らないのでしたよね。農水大神様。」
「……サマナ。今日の夜はお仕置きね。決定ね?」
「ああ!こ、これは失言を!」
まだ僕という存在に慣れていただけていないのか、はたまた別の思惑があるのかわからないが、この幼女魔王は言葉とは裏腹にデレッとした締まりのない笑顔で慌てるふりを演じている。
そう。この子は元魔王。
これから紡ぐ物語は、この国のお偉いさんの思惑通りに。そして彼等が望んでいた期待を裏切って世界を平和に導き世界の食糧事情まで変えた僕の英雄談……甚だ恥ずかしい……
ぶっちゃけるとこの世界に勇者として異世界転移させられた僕が歩んできた軌跡みたいなものになるかと思う。
農業って異世界であるはずのこの【ゼフィーリア】の構造を変えうる程凄いものだったのである