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女神になった俺は、魔王と一緒に平和な世界を実現する⁉︎  作者: 猫野ピート
魔族を復興させたいので、知恵を絞った。
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第16話 議会での話

今日は私が待ちに待ったアーブラム領自治政府議会の日!

アーブラム領自治政府議会とは、旧魔族領にありながらも国内第3位の経済力を持つといわれているアーブラム領の指針を決める権威ある議会なのです。いったいどうして私がこの日を待っていたかというと、私の祖父様がアーブラム随一の有力商人でアーブラムの財政界で、この議会に参加することが義務付けられているからなのです。え、なんで”私がこの日を待っていたかということ”を言っていない?だ、か、ら、私は祖父様から権威ある会議への同席を許可を頂き、今日この日、私は祖父様と一緒に議会に参加することになったのです!


「私の愛しのリューよ、いいかね、今回は幸運にも特別に許可をいただけただけなのだ。この会議にはアーブラム領の様々な権力者が揃い、政治の指針を決める。これはとても重要なことなのだ。本当はお前のような未熟なものが来る場所ではない。だが、将来のスミナレ家を担うものとして知っておくのも悪くはないだろう。私の愛しのリューよ、これは遊びではないぞ、お前もスミナレ家の者として恥じない行動を示さねばならない。肝に銘じておくのだぞ」


私は胸を張って答える。


「祖父様、私はもう15なのです。もう子供ではありませんのよ。祖父様もご存知の通りあの優秀なブラム女学院でも優秀な成績なのです。そんな私が粗相をするはずないのです。もちろん遊びでないことだって重々承知ですわ。先日の貴族様だって私のことを”ヒマワリの様だ”と仰られたの覚えてます?あれは何を意味して言ってられたのかは分かりませんが、きっと素晴らしいことに変わりありませんは。祖父様、このリュートレア、神に誓って、スミナレ家の者として恥じない行動をお約束しますわ」


祖父様は少しだけ曇った表情をされたが、すぐに笑顔になって言った。


「私の愛しのリューよ、期待しているぞ」

「祖父様、いつまでもリューはお止めください」


そんな訳で私は今アーブラム領自治政府議会の椅子に腰をつけた。流石は私の祖父様なだけあって席も素晴らしく良い位置でした。なんだかすごく気持ちがいいわ。


議会室は、中心に大きな演壇があり、その周りを囲むように段差がついていてどの位置からも円台の上の者が見えるようになっていた。演壇の発表者と対面する位置に領主様、それから領の重鎮と並んでおり、影響力の強い人がより良く発表者の意見を聞くことが出来るようになっている。影響力のほとんどない人が発表者の意見を聞いても意味なんてないのだから当然のこと。アーブラム領では第一回の議会からこのスタイルを行っており、これがアーブラムを発展させたと言ってもよい仕組みと女学院で習った。私は自分の博学っぷりに脱帽した。


「それでは議会を始める」


領主様の声が響く。その声はとても力強く、私の中に風が吹くのを感じた。私はとうとう議会にも進出することが出来たのね!お茶友達の皆さんにもお伝えしなくちゃ!


議会は最初に議会のスケジュールが述べられる。上から、王都領への今年の献上の品について、領軍の勢力維持か縮小かについて、有力商人の貴族階級への編入についてなど。そのほとんどが素晴らしく意義ある議題で私の胸が高鳴る。有力商人の貴族階級への編入についての議論にはとても私の身体を熱くさせた。私は有力商人の貴族階級への編入には賛成の立場です。なぜならば、祖父様の様な有力商人はそこらの弱小貴族よりもアーブラムに貢献をしているからです。やはり、貢献しているモノはそれ相応の対価を得ることが必要です。私はいてもたってもいられず発言をしようとしましたが、祖父様に優しく止められてしまいました。これはとても悲しかったのですが、私もいつまでも子供ではありません。ここはキチンとすっぱり諦めました。もう子供ではないのですから。


議会は議論に議論を呼び、侃々諤々の大洪水となりました。そのたびに私は燃え盛る炎の様に湧き上がる自分の意見を言えないことが残念でなりませんでした。けれども今日ばかりは仕方ありません!私は大人しく一筋の美しいヒマワリとして傍観をしました。そう、大人しくです!

そして、今日の全ての議題が終わり、領主様が演壇に着かれました。


「皆の者、今日はもう一つ議題がある。しかと聞いてくれ」


そして領主様が演壇から席に戻られると、議会室の扉が開いた。それから悲鳴が上がった。

私はすぐに議会室の扉を見た。

そこには、天使の様な少女が二人とそのサイドに世にも恐ろしいトカゲ男と獣人がいた。彼らはゆっくり演壇の元に着いた。少女達は演壇立ち、化け物たちは背負っていた大きな板を演壇後ろに配置し、謎な道具を演壇の周りに並べていった。板にはどこからかやってきたメイドが地図を張っていった。そして先ほどの素晴らしき議会室が恐怖の化け物部屋へと変貌を遂げた。

私はなんだか怖くなり祖父様を見た。すると祖父様はとても興味深そうにまじまじと彼らの道具を見ていた。私は更に怖くなり祖父様に話しかけた。


「祖父様、なんだか私怖いです。彼らは魔族ですよね。なぜあのような汚らわしい者がこの議会室にいるのですか?」


しかし祖父様は私の問いかけには答えてくれなかった。その代わりに祖父様は私の手を優しく救い上げ握り返した。その行動は私にはよく分からなかった。けれど、今から始まる議題は先ほどの議題とは全く異質で祖父様すら答えてくれないほど謎めいたものなのだと私の心は感じ取った。


私の目線の先にいる少女達は私が今まで見てきた人たちと比較しても圧倒的に綺麗で、なんだか愛でるために神が作った様な美貌だった。背丈はほとんど私くらいで、歳もきっと同じか少し下の様にも見えた。だけど、どんに高い身分の人間でさえ彼女たちの方が高貴に見えてしまう様な気がした。それは生まれ持った美しさというべきなのかとにかく私は彼女たちに畏怖の念を抱かずにはいられなかった。

その少女のうちの一人、金髪の少女が口を開いた。


「皆さん、この度はお集まりいただき誠に感謝します。初めにこの議会に呼んでくださいましたクラウス様に感謝の意を表します」


その声も容姿と同じくらいとても綺麗だった。


「この度はお初にお目にかかります。私がこの世界の均衡を司る神です。そしてこの隣にいる少女が魔族の王ライラです」


私は耳を疑った。芝居にしては空気が重すぎるし、現に彼女たちの後ろには魔族が控えている。


神を語る少女は話を続ける。


「皆さまもご存知の通り、20年前に魔国は敗北し、この世界は人間族が支配するようになってきました。しかし、現在の人間族と魔族の比率では世界の光と陰のバランスが崩れ、やがて人間族も滅亡の一途をたどることでしょう。そのため、私は魔族の勢力復興により世界のバランスを保ちたいと考えています。


ただ、20年前のバランスに満ちた世界では魔族と人間族は互いに覇権を握るために争いが生じていました。これは由々しき事態です。どちらも悲しい思いを抱いてしまうのは私とてとても悲しい。もし出来るならば、魔族も人間族も互いに手を取り助け合い生きていく事が出来たらどんなにいいか。けれど、現実問題その様なことは誰もが無理だと思うでしょう。世界のバランスは保たれて欲しい。しかし、人間族・魔族ともに苦しんでいる姿を見たくはありません。私は罪深い女神ですね。

20年前のことを知る者は無理だと思うでしょう。しかし、互いに歩み寄る気持ちがなければ私の願いはかないません。


奇跡的なことに、ここにいる魔王ライラとアーブラム領主クラウス様は互いに協力をすることを宣言してくださいました。しかしながらこの宣言は魔王や領主という一人によってはなしえないものです。それゆえ本日皆様に協力をお願いしに来ました」


そう彼女が言うと、魔族の持ってきた板にアーブラム領が全土が記されている大きな地図が貼り付けられました。


「アーブラム領北部は山脈地帯で、西方には活火山があり、その山脈を縫うようにラムザ川が流れています。この山脈地帯は鉄鉱石や石炭などが豊富にある反面、通称呪いの水と呼ばれるラムザ川の水を飲む人は原因不明の死の報告が挙げられることから人間族は近寄ることがありませんでした。それゆえ、ここには現在人間族を恐れた魔族が住んでいます。

近年、アーブラムは南方の広大な平野で農作物の生産量が上がり、経済力は著しく拡大しています。しかし、それに伴って発生する鉄鉱石などの資源の需要増加に供給が追い付いていないという現状から鑑みるに、北部の資源地帯はとても魅力的だと考えます。


そこで私は魔王ライラ協力の元、アーブラム領北部に鉄工所からなる都市の建設を提案します。そしてこの都市は魔族と人間族が共同で生活する実験都市としてスタートを考えています。私のお願いとはこの実験都市に参加してくれる有志を探してほしいということです。


先に言いますが、ラムザ川の呪いは水質にあります。ラムザ川上流にある火山から何らかの有害物質が水に溶け込み、ラムズ川の水はこのようにほんのり黄色をしています」


少女はガラスのコップに入った黄色の水を見せる。それから魔族が長い筒を少女に渡す。少女はその長い筒に水を通し、筒の反対側から出る水を魔族にコップでキャッチさせた。すると驚くことにその水は透明になっていた。

少女は言う。


「この筒には小石や炭が細かく入っており、水の中に入っているモノを塞き止める役割をしているのです。その結果、水の中の中の物質がなくなり透明になりました。魔法で調べたところこの水は飲むことが出来るレベルだそうです。

この実験都市では各所にこの筒を配置し、水の安全を保障します。


次に、この実験都市では炎による光を使用せず、電気による光を実現しようと考えています」


このような形で少女はぶっ続けで数々の謎な道具の紹介と原理、手法を話し始めた。


初めは不信感で一杯だったが、いつしかこの謎な道具を紹介する謎な少女に可笑しさすら感じてしまう様になっていた。周りを見渡してみると、初めは不信感一杯で張り詰めた空気の議会場も少女の必死な話と見たことない道具になんだか不思議な和やかさが表れていた。

私はずっとこの少女を見ているからかなぜだかこの少女と話してみたいと感じた。それに後ろで少女を心配している表情を浮かべた魔族にも何故だか興味もわいてきた。話にきく残虐な生き物とはとうてい思えない。


「以上が、実験都市における様々な設備となります。これらの設備は現在どこの地域でも報告されてすらいない最先端の設備となります。

私としては、この実験都市は人間族と魔族の共同社会だけではなく世界最先端の道具を作り出す土地にしたいと考えています。この素晴らしき夢物語をアーブラムで実現しませんか?


この議会室に先ほど紹介した道具を並べてみました。興味がある方は是非手に取って見てください。魔王のライラ、獣人のガル、リザードマンのガラナン、メイドのリゼ、それに私が道具のより詳細な原理から今後の展望まで丁寧に解説します。


以上で終わりとなります。ご清聴ありがとうございました」


およそ一時間くらいかかった話が終わった。少女はその疲れかフラフラだったということや皆の疲れもあったせいか拍手が上がった。最初に拍手をしたのは横の白髪の少女であったが、次は領主様だった。議会室はなぜだか暖かい雰囲気に包まれていた。

拍手が収まると、領主様は立ち上がり、金髪の少女に「楽しかった」と謎な感謝を述べたのち、議会の閉会を宣言した。私は閉会が決まるや否、あの金髪の少女と喋りたくなった。


「祖父様、私、あの道具が気になります。見てみてもよろしいですか?」

「私も行こう」


祖父様の返答は意外なものであった。

私と祖父様はまっすぐに金髪の少女に向かって行った。

一週間以内には17話投稿します。

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