アレン
「アレン・・・」
本人を前にして俺の口から思わず声が漏れた。
「あなたは―――いえ、俺に何か用ですか?」
彼は俺の前で足を止めて訝しげな表情を浮かべて問いかけてくる。
当然だ、フードを目深に被った怪しげな男が己の名を呼んだのだから。
「お前がアレンだな。聞きたいことがある」
こうなったらクラリイのことで誤魔化すか。
・・・いや、いっそ俺がリオンである事を打ち明けて――――それは流石にダメか。
「聞きたいこと? まぁ、こんなところで立ち話もなんですからとりあえずギルドに中へどうぞ」
アレンは話を一旦区切り俺をギルド内へ促す。
ギルド内だったら仮に俺が不審な行動をとっても簡単に取り押さえることができるという考えからだろう。 残念だったな、お前ら冒険者が束になってかかってきても俺だったら一瞬で壊滅させられるよ。そんなつもりはないけど。
「そこに掛けてください」
再び酒と喧騒が支配する空間に戻り、アレンに促され椅子に座る。
「ああ、悪いな」
「それで、俺に聞きたいことがあるっていうのは依頼したいということですか?」
アレンが確認するように尋ねてくる。
「いや、そうじゃない。 普通に聞きたいことがあるだけだが、質mんするのに金が必要ってことだったらその分は払おう」
今の俺の手持ちはそこまでないが・・・最悪魔物をいくらか狩ってくればいくらでも金は作れる。
「料金の有無については質問の内容次第です。それと、俺も今は忙しいのでできるだけ手短にお願いします」
客になりうる俺に対してあくまでも丁寧に接しているアレンだが何か用事があるらしい。
「わかった。では単刀直入に、クラリイという女性の死について聞きたい」
俺がそういうとアレンの表情は一気に険しいものに歪んだ。
「・・・何故、彼女のことについて知りたがる?」
敬語を捨てたアレンの質問が俺に投げかけられる。
「俺は彼女とは友人だった。 友人の最後を知りたいと思うのはおかしいことか?」
まぁ実際は俺もクラリイの最後に立ち会ったわけだが。
「悪いがそれは言いたくない。 金をいくら詰まれてもだ」
そういうとアレンは席を立ち、背を向ける。
これ以上話すことはないということだろう。
「そうか、悪かったな」
深く追求することなくアレンの背中に謝罪の言葉を放る。
「・・・こっちこそ、申し訳ない」
背を向けたまま立ち止まったアレンがボソリと言った。
「ところで、さっき忙しいと言っていたが大仕事でもあるのか?」
アレンとの会話をもう少し続けていたい気分だった。
彼を引き止めるためにふとそんな言葉が口をついて出た。
「いや、行方不明になっている友人を探している」
以外にもアレンはさらりと答えてくれる。
クラリイのことを俺に言えなかったことに罪悪感でも感じているのだろうか?
「そうか、それは大変だな。 因みにその友人と言うのは?」
そんなことを完全な興味本位で訊いた。
「・・・リオンという女の子だ。 短く切りそろえた金髪で容姿はかなり良い。もしも見かけたら俺に会いにに来るよういってくれ」
アレンの口から帰ってきた返答がこれだった。
・・・・俺、行方不明ってことになってるの? ほんの少しの間グラウの家から離れただけで?




