液体が嗤うのは
お待たせしました!!申し訳ございません!!
グネグネとその異貌を波立たせ形を保っている赤く染まった液体の動きはまるでクラリイの身体から血液を、生命を吸い出しているように見えて動かないその身体から嫌な汗がにじみ出る。
「クラ、リイ・・・!」
まともに呼びかけることもできずに口から漏れた言葉は彼女の名前だけ。どうしても動かない体は魔法の使用さえ拒んでいるようで、回復魔法を唱えようとしても頭が真っ白になって言葉が出ない。
「ぁああ、アアアアアア・・・」
ひどく弱弱しい悲鳴が彼女から漏れる。その様子は今まで接していたクラリイの姿からは想像も付かない。
やがて、彼女の身体は完全に血の気が失せ、水分のひとかけらも感じさせないようなものとなった。
深く窪んだ眼孔の奥では零れ落ちそうになっている眼球が転がっており、立ったままの姿勢でミイラになってしまったかのようだ。 そんな状態でも彼女の胸は空気を取り入れるために上下している、つまりまで生きている、いや、生かされているのだ。
じっと見ることしかできない俺は彼女から目をそらさない。暗く窪んだ奥にある眼で見つめられている気になると、恐怖からだろうか、身体を動かして逃げようという気も戦おうという気も起きなくなる。
そんな時間がどれだけたったか、止まることの無い冷や汗ととどまる事の無い怖気が少し体から抜けてきた頃、枯れ木のようになってしまったクラリイの足がパキリと音を立てて動いた。次に腕が、胴が、嫌な音を響かせながら動き始める。一歩、また一歩と歩き始めたクラリイが向かう先は未だに動くことのできない俺の方向。 彼女が俺を目指して歩いていると気づくと急に息ができなくなる。まるで呼吸の仕方を忘れたかのように体が空気を渇望し肺に空気を送り込もうとする。しかしそれはかなわずどんどん苦しくなってゆく。 クラリイが俺の元にたどり着く頃、俺は既に酸欠とパニックで何も考えることはできず、恐怖に慄くばかりだった。
ミシミシと音を立ててクラリイの手が俺に迫ってくる。それだけで恐怖と涙が溢れ出すのは先ほどまで親しげに話していた人物が異貌と化してゆく様を見てしまったからだろうか。
「ぁああああああああああ!!!!」
自然に口から漏れた悲鳴は人通りのまるで無いこの道では空に溶けて行く以外に行き場のないものだった。
彼女の手が俺に届く寸前、その腕はピタリと停止し、次の瞬間俺の視界に強い光が入り込んだ。
赤く熱い光、炎の明かりだった。
「化け物が・・・リオンから離れろ!!」
いつ目を覚ましたのかアレンがクラリイに向けて手を向けていた。
先ほどの炎はアレンが炎の魔法を放ったのだろう。
「・・・・・!!・・・!!!」
クラリイは声が出ないのかアレンの方を向いて声にならないような音を発している。
「何言ってるのか、わからないんだよ! 力を与えた炎の怒り、ファイアショット!」
アレンはクラリイに見つめられ激しい恐怖を覚えたようで声どころか体まで震えてしまっている。しかしそれでもアレンはクラリイに魔法を放つ。
クラリイは無抵抗にただ身を焦がす炎を受け入れていた。
クラリイの身体が真っ黒な炭の固まりになるころ、その炭の身体からドロリと赤い液体が這い出してきた。 液体は何をするでもなく地面に落ちるとその色を濁らせ、粉々に砕けた。
はい、今回の内容ですがかなりわかりにくいので次回が説明会、次々回からストーリーとなります。作者の気分次第で次々回はこの話の没ネタ披露会になるかもしれません。そうなった場合没ネタは結構エグいのでご注意ください。




