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シエル


認識した瞬間、背筋にゾクリと寒気が走る。 身体が震えて仕方がない。 再度、嘔吐感がこみ上げてくる。


「っっ!!!  はぁ・・・はぁ・・・ うそ、だろ?」

 息が詰まり呼吸をすることすら苦痛に感じる。


「シエル・・・」

 ほとんど無意識の行動だろう、俺はふらりと立ち上がりそのままおぼつかない足取りでソレに歩み寄っていく。


 ソレに近寄るとソレは俺に気づいたようで俺の足を両手で握る。 その様はまるで生者を冥府へ連れようとする亡者のものにも見えて、体中を怖気が駆ける。

ソレは俺のあしを少しずつよじ登り、やがては両手で俺の肩に捕まり、片足立ちで俺と向き合う形になった。俺はその間一切動けずにソレの動きのみを凝視していた。 それは恐怖からなのか、それとも別の感情からなのか、俺にはわからない。 ソレは俺と向き合うとゆっくりとその手を俺の背中に回す、まるで俺を抱きしめるかのように。 俺の中の恐怖心は吹き飛び、こちらからもシエルを抱きしめてやる。

今はただ、シエルと抱き合っていたいと、心のそこから思った。


 どれだけ抱き合っていただろうか、急に背中に痛みが走る。 驚いて思わずシエルを突き飛ばしてしまった。


「ああ、ごめん!」

 口をついて出た言葉はこの死体を完全にシエルだと認めるものだった。


 シエルに手を差し出しつつももう片方の手で背中の痛みの原因を探る。 ヌルリ と、生暖かい何かが左手に触れた。 左手を見るとそこは赤く染まっており、その色の鮮やかさから今出来たばかりの傷から染み出した血液だと分かる。 どう考えてもこの傷を作ったのはシエルだ。しかし今の俺にはそれを肯定することはどうしても出来ない。


「シエル?うそだよな?偶然、爪が引っかかっただけだよな?」

 震える手をシエルに差し出しなおすと、シエルは俺に向けて闇雲な拳を突き出してきた。 条件反射でそれを避ける。


 そして俺の脳内に何かの声が響く。


『お願いします、それを早く殺してください』と。 聞き間違うことはない。それは紛れもなくシエルの声だった。




 そこからはほとんど心を捨てての行動だった。 俺は即座に聖剣を呼び出し、シエルの身体を細切れになるまで切り刻んでいた。 


 俺が我に帰り剣を振ることをやめるとまた脳内に声が響く。



『ご主人様、ありがとうございました。』




 その直後、朝日が昇るのと同時に俺の頬には一筋の涙が伝っていた。

そのときふしぎなことがおこった!


はい、シエルさんの声ですがこのまま成仏して消えそうな感じですがチョイチョイ出そうと思っています。下手したらレギュラー化もあるかもですね。


最近の目標は主人公の正気を削って狂気に陥らせること。

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