森を抜けたらそこは、町でした
今回は前回とは打って変わって明るいお話です。 たぶん
シエルの首と虚無感と憎悪を抱えて俺は森の中をひたすら彷徨い歩いた。
一体、どれだけの時間が経っただろうか。朝日が昇り始めるころ、ようやく森を抜けた。 シエルが死んだときの月の高さから見ておそらく数時間といったところだろうか、しかしその数時間は俺が黒い感情に身を任せていたせいか数十時間にも、数百時間にも感じられた。
本当だったら抜けるのにそんなに時間をかけることもないはずの森が嫌に長く感じたのは俺が女になったからか、それとも俺の足が重すぎたからだろうか。
森を抜けるとそこは記憶のとおり町が栄えていた。 さすがにこのまま血だらけの服で町に入るわけにはいかない。 というかそれ以上に人間の生首を抱えて町に入ることは出来ない。
「ごめん、シエル。ありがとう。」
服でシエルの首を包み木の根元に埋めてやる。シエルが安らかに眠ることを願う。
結果上半身裸になってしまったがまあ問題ないだろ
リオンです。町に入ろうとしたら門番の衛兵にものすごい勢いで止められました。ファック!
「――だから、何で町に入れないんだよ!?」
「むしろ何でそんな格好で入れると思ったんですか!?風俗団でももう少しまともな格好していますよ!」
門番は俺を凝視して訴えかけてくる。 ったく、男の裸くらいで何だってんだよ、しかも下は履いているんだぞ?
・・・・ん? あ・・・ああ、あああああああ?!
「み、見るなああああああ!?」
絶叫とともに俺の拳が門番の顔面に吸い込まれていった。
あ、やっちまった・・・コレ捕まったりする感じ? うわ!ちょうどタイミングよく門番と同じ服着た女がこっちに歩いてきた・・・ってことはあいつも衛兵・・・だよな。
こっちに気づいたのか女の衛兵は歩くのをやめ走ってくる。 どうしよう、逃げようか?
いや、下手に逃げて面倒なことになったら嫌だしな・・・ どうにか正当防衛で済ませよう。幸い今の俺は女だしな。 シエルに言われたとおり女口調を心がけるってのも忘れないように、っと。
「おい!お前! 「衛兵さん!助けてください!私、この人に襲われそうに・・・」」
女衛兵の言葉を遮って無理やりにでもこちらの話に持ち込む。
そうすることで俺があせっているということをアッピルして相手に話の流れを一切わたさない。
「い、いや、襲われるも何も今倒れているそいつがこの町の平和を守る衛兵なのだが・・・」
女衛兵・・・もうこの際女騎士でいいか? いいや。
女騎士は若干困惑した様子でボロ雑巾のように地に伏せる門番衛兵を指差す。
「でもこの人私をいやらしい目で見てきたんです!」
生まれてからずっと女の子と一緒に生きてきた俺にとって女の子のマネなど他愛もないことだ。 生まれたときから二人のかわいい幼馴染に囲まれ、故郷の村に居た同い年の女の子どころかおばちゃんですら虜にしてきたのだから。本当にいい村の人達だった、もう一度会いたいなぁ・・・ 会えたらいいなぁ・・・ シルビア・・・クロエ・・・ 今頃何してるんだろうか?
「・・・・・だめだ、うちの衛兵共、全員変態だから言い返せない・・・」
女騎士は頭を抱えながら唸っている。 この女騎士結構良い容姿してんなぁ・・・ はぁ、いつもなら即効で口説くところだが今に限ってはそんな気分になれないな・・・ クソ!あの悪魔は絶対に殺す!
「ど、どうした?表情が厳しいが、本当にこいつに何かされたのか?」
女騎士はまたも動揺して俺に問う
「い、いえ、幸いなにかされる前に殴り倒しましたが・・・・あ、視姦はされました。」
「・・・・・」 「・・・・・」
沈黙が場を支配する。
「あ、とりあえず私に服貸してもらえませんか?」
今の自分の状態を思い出しまず女騎士に服を求めたのだった。
正直この世界に「死人は安らかに眠る」とかそういう考え方があるのか疑問に思って「シエルが安らかに眠ることを願う」か「シエルがいつまでも俺と居てくれることを願う」か、だいぶ迷いました。 作者は日本人なので現代の日本風で行こうという感じで眠らせました。
シルビアとクロエはリオンの幼馴染のふたりです。




