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パパも娘も常識外

え~っと...シィーンってまた静まり返っちゃったですよ?どうするですかね。はいです、コレはアレですね。

オッホンと一つ咳払い。みんなの視線を感じながら、よし。

「要望にこたえて千酷について話すですね~」

ビシッ。イタッ。

「なにするですか、リク~。痛いのですよ」

いきなりのチョップにちょっと涙目。いい加減にリクは自分の力を分かった方がいいとさくらは思うのだ。

「お前は猛獣か。なにおそってるんだバカが。ったく、ちゃんとあやまっとけ」

「はいです。...ごめんなさいです、銀崎様」


...なんだろう。本当にリクがおかんに見えてきた。

リク=パパ。冷静にツッコミと教育をこなす陸兔を見て、生徒会は悟ったのだ。

リク、お前は残念だが、黒い子供がいたようだ。

あまりにも規格外な子供に、リクのふりまわされる様子が簡単に想像でき、生徒会の男らはそろいもそろって心のなかで手を合わせるのだった。合掌。


ぷるり。陸兔は背筋が寒くなるのを感じた。見渡せば、いたわるような目でこちらを見る男たち。

思わずリクは顔を思いきりふせってしまいそうになる。...そうか。コイツ(さくら)が大変だということを、分かってくれるのか。

騙されたがわとお守りやく。彼らは固い絆で結ばれるのであった。

そして。一方のさくらは熱く見つめあう男たちに、ひとつの疑念をいだく。

...BL 、です?

美形ならまあなんでもいっかな?な、投げやり主人公は、かくしてそれを楽しむのであった。

ふわぁ。...男どうしも...イケる!


それを知らずにか。

まだぽかぁんと口をひらく桃愛の横で、優雅に魔王は紅茶をくちもとへはこびこんだ。

カチャン、とカップを置く音がして。

柔らかな瑠璃のタレ目がこちらを見つめた。

「失礼。置く力加減を間違えてしまいましたね」

音が響いたことを謝っているのか。だが魔王のその言葉に。

ゾワワワワッ。

その場にいた者は鳥肌がいっせいにたち始める。

「それで?皆さん落ち着きましたでしょうか。もしそうなら私、早めに本題に戻ってほしいのですがねぇ。仕事がたまっていることは貴殿方がよくお分かりだとおもうのですが...。相川さん、話してもらっても宜しいでしょうか?」

微笑みながら、ほんわりと尋ねてくる藍先輩。...なんでしょう。怒鳴られるよりも、黒いオーラよりも...ほんわかと癒しのオーラをまきちらす今の方がだんぜん怖く感じられる気がする。

ぴぃんとみんなの背筋がはって、たちまちここらは静かになる。

「では、お話をお願いしてもいいでしょうか?」

...選択肢もないのに疑問で終えるのは酷いのですよ。

冷めた紅茶をのどにながしこんで、潤わせた。

「千酷、ですか。そこまで派手にははしてないのですけどね。疲れてきたのでカンタンに流すですね」


千酷については飯島先輩との会話で説明した通り。私はそれを調べあげてから、千酷の倉庫に乗り込んだのだ。


「すみませ~ん、なのですよ~。近藤泰賀(こんどうたいが)さん居ませんですか~?」

と千酷倉庫に訪ねていったら、なにを思ったのか突然の戦闘開始。とりあえず全員、ムチで打って動けなくなったところに近距離に近付いてスタンガン。意識を刈っておく。取りあえずこの中では一番強かったヤツ...後から聞けば副やってたジュンだったです。だけの意識は残しといて縄で縛った後、千酷ヘッドの泰賀...トラのところに案内させ、昔やっていた某ご老公ドラマのマネ。「このチャームが目にはいらんか!」華と不死鳥を前につき出す。そしたら一気に土下座され、ナマの光景に焦って立たせるハメに。

飯島の問題は協力することを約束させて、美海さんをトラに会わせて。


「まあ、そのなかでトラと一戦交えたりといろいろあったのですが...」

「「「「ですが...?」」」」

「かぶっていった黒パーカーのせいで、冰姫からとって...また、また...黒歴史をつくられたのですぅ!」

「「「「ハァ?」」」」

「またかよ...」

呆れたように見られるがコレは私のせいじゃない!断じてないっ。


それは中学時代。

裏では三帝と呼ばれる支配者が居た。

...琉華(りゅうか)獅琉(しりゅう)爽炎(そうえん)

それぞれのマークを(はな)獅子(しし)不死鳥(フェニックス)とするもの。

今でも実質、裏を握る支配者。しかし彼らには噂があった。

華と不死鳥が保護する乙女。

大事に囲まれ、他のものの目に触れることはなく。存在じたい疑わしい噂の姫ぎみ。


あるものが訪ねたらしい。姫は本当にいるのかと。「冷たい冰の姫ならいるぜ」返事はそう、返ってきたらしい。


"(なぞ)監獄姫(かんごくひ)冰姫(こおりひめ)"

姫はそうよばれた。誰も見たことがなく。いつしか、その噂も幻となりつつあった...のだが。

今回の件で華と不死鳥のチャームを使用したことにより。見事正体がバレました~。

そう、冰姫は私の黒歴史なのです。...名付けたヤツは絶対許さない。

ってな感じの黒歴史を、リクが簡単に説明していく。

「ほぉ。冰姫、か」

「さくちゃんお姫様だったんだぁ」

グサッ、面白がるような視線と、キラキラした視線がイタイです。胸に言葉が、視線が刺さる。


「それで?今回はなんてつけられたんだ?」

「.........」

「聞こえねぇ」

「だからっ、"冰鞭(ひょうへん)の死神姫(DEATH )ですっ!」

わざと小声でいったのにっ!

リクのバカぁ。

「ぷっ」

私の座る膝が動き出す。

「ハハハッ、アハハ...おなかっ、いたっ...くぅっ、ハハ...冰鞭って...デスって...まんまじゃねーか。ぷはははっ」

なんですかね。むしょうにいらっとくるのです。ぎぃーっと思いっきりリクの頬を引っ張った。イタイとかヤメロとか言っているようだが、だまされんわ!まだピクピクしてんじゃねーかコノヤロー!

「一応言うですけど大変だったのですよ!あの後あだな付けられた挙げ句にジュンって言う紫髪にはなつかれ、千酷メンバーには崇められ。...あげくのはてには!ムチで打ってくださいとか言い出したのですよ!無視したら付け上がってきて...逆に喜びやがったのですよ!気持ち悪かったです。一番精神にきたのです。半分トラウマ気味なのです!それに死神はリクの教えた気配だちとフードつき黒パーカーのせいなのですからね!」

...恍惚とした目で「打って」と懇願する男達。無視すれば喜ぶし、ジュンはすきあらば飛び付こうとしてくるし。気持ち悪いわ疲れるわ。今回の疲労の大半は絶対あいつらのせいだとさくらは思う。ドM や変態に対する恐怖は、さくらに強く根付いたのだった。

...一応言っておくが。さくらがデスになったのは、パーカーだけでなくその口調からほとんどきているのは、暗黙の了解だ。


「へー、そんなことしたのか。...潰すか?」

こわっ!

「いや、そこまではいいです。なにもしなくてもいいです。もとはといえば勝手に行動した私が悪うございましたなのです。どうぞお許しくださいですよ、リク。リクが動いたら千酷なんて瞬殺なのです!」

焦るさくらのセリフに、雷は違和感を抱いた。

バクダン投下まで、後少し。

「リクって強いのー?」

それは、単なるスポーツ好きの純粋な質問。Yes かNo さえ答えれば終わるような。とくに何の気なしに放った、常識内でおさまる筈のそんな質問だった。しかし。相川さくらの父という人物を、みんなはまだ深く知らなかったのだ。相川さくらと生活を共にした人物に、常識は通じない。


「当たり前ッスね。なんせ、オレが三帝の一人、爽炎。紅玉(ルビー)の不死鳥ッスからね」

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