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ヒロインちゃんと私

「よろしくね、さくらちゃん」

「...よろしくお願いしますです」

目の前で跳ねるうさぎさん。...解せぬ。なぜこうなったです?


――入学式。

壇上に上がる今年度生徒会固定メンバー4名。

私はその姿をしっかりと目に焼き付ける。あれらは要注意人物。今世の私が関わってはいけない人達。だから、しっかり見ておくの。

この4名は攻略対象。隠れキャラや追加キャラあわせての8名の内の半数。

赤髪、赤眼。遠目からでもこの人ならと信頼させるような風貌。情熱的な燃える髪に鋭いルビーの瞳。どこか人を惹き付ける魅力のある人物、会長 赤城(あかしろ) 武津(むつ)。2年。

垂れ目がちな穏和な瞳は星空のような瑠璃色。 微笑と共に現れるえくぼ。少し癖のある黒髪は明かりにあたって青い光を浮き出す。見ているだけで癒されそうなどこか真面目そうな副会長 藍沢(あいさわ) 水樹(みずき)。2年。

さらさらストレートな肩位までの髪をハーフアップにし、前髪はピンでとめる。黄髪黄眼に緩められたネクタイ。片耳に飾られたシルバーのピアスがキラリと光る甘いマスクのチャラっぽい会計 黄々 (きき らい)。2年。

銀に輝く髪、眠たそうな紫の瞳。女の子顔負けの可愛らしい顔立ちに低い背。瞳の色も相まって、どこかミステリアスな雰囲気。ねむねむショタ系な副会長 銀崎(ぎんざき) 無垢(むく)。1年。


これが現生徒会。

清蘭の生徒会は、成績はもちろんのこと家柄も見られる。それは強い権限を持ち、名家のご子息ご令嬢の逆らうことがないようにするためらしい。

だからか。この学園の生徒会は超のつくエリート。 今生徒会は顔立ちも素晴らしく整っているため必ず一人一人にファンクラブがあるらしい。


エリートさんは 大変ね。

舞台にイケメンが立っただけで上がる素晴らしい歓声を聞きつつ思わず同情してしまうのは仕方ないことです。

って恐っ。

...壇上の藍沢副会長がその煩い集団どもに笑いかけた。その瞬間、雑音が一気に止む。


なんなのですかね。

ゆったりとした笑顔なのにどこか黒さを感じたのは気のせいです?


兎に角そんなこんなで一応静かな入学式を終える事が出来た。終わってまでも誰も言葉を発しないという少々の不気味さもあったが。


式が終わり、教室に入った私達は担任の誘導により自己紹介を始めた。

「相川さくらです。光屶(こうなた)中から来たです」

ボソボソ俯いて喋り、のっそり座る、私。ふむふむ。次の子に代わった途端既に皆さん私の事を忘れているようなのです。悲しいですね、ふふ。


キーンコーンカーンコーン


授業が終わった。その途端、ワッと動く人だかり。そいつらはたった一人のまわりに集まっている。

桃色の髪に桃色の瞳。ふわふわと波打つミディアムは頭の両脇で結ばれたツィンテール。くりくりの瞳。可愛らしく幼い顔立ち。ロリータが似合いそうなその子、ヒロイン 栗原 桃愛ちゃん。


ふにゃうっ。可愛いのですぅ。実物っ、ナマっ!可愛いですぅ~。


可愛い可愛いヒロインちゃんは

「は、初めましてっ。私は栗原 桃愛って言います。え~っと、高校から清蘭に来た外部生なので、ちょっと緊張してます。分からないことがいっぱいで迷惑をかけちゃうと思いますが、どうぞ仲良くして下さい。よろしくお願いします(ニコッ)」

という初々しい挨拶と笑顔で早速大勢の人のハートを撃ち抜いていたです。さすが、桃ちゃんですよ。


パチッ


ありゃ?今桃ちゃんと目が合ったような...


ニコッ


ふにゅっ。可愛いですぅ。にこっですよ、にこっ。ヒロインちゃんのスマイル頂きです。あれ?気のせいですよね?ヒロインちゃんがこっちに向かって来てるよーな気がするですよ。あれ?


「相川さくらちゃんだよね?私は栗原桃愛。桃愛って呼んで。さくらちゃんも外部生だよね?良かたぁ、クラスに二人だけだもん。同じ外部生同士仲良くしよっ。それでね...さくらちゃんって呼んでいいかなぁ?」

...はい、です?うるうるの上目ずかいで言われた言葉は純粋に嬉しいものでした。でもなのです。私は栗原家のような格の高いお家と関わりたくはないのです。だから、

「御免なさいです。有りがたく遠慮させて頂きます」

「...だめ、なの?」

そんな目で見てもダメなものはダメなのです。

うぅっ。だめなのですよ。だめ――

「よろしく、おねがい、しますです」

「よろしくね、さくらちゃんっ!」


どーしてこうなった、です?



★。゜.。゜.


コンコン

「どうぞ」

ガチャリ

「...金戸先生か。どうかしましたか?」

「今回は新しい生徒会候補の資料を持ってきただけだよ。」

「見つかった...の?」

「一応ひとり良さそうなのが居るよ。君らも気に入るかもしれないとおもうけど」

「書類を」

ぴらり

「栗原、桃愛...か」

「あれー?それって1年のかわいこちゃんでしょ?入学そーそー話題になってた美少女ちゃんだっけ?」

「金戸先生、彼女は使えますでしょうか」

「見てみればいいよ。調べたけど家柄も成績も素行も良かったよ」

「分かりました。検討しておきます」

「流石会長だね。話が早いよ。あぁ、じゃあ用はこれだけだから僕は行くね。頑張ってね、仕事」

バタン

「雷」

「そだねー。かわいこちゃんの事はオレが調べとく事にするねー。」

「たのもう。使えそうならば、連れてこい。」

... 物語は、知らないところでもゆっくりと動き出していく。






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