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自己紹介

「来ちゃいました...です」

目の前に広がるのは広い庭のある校舎。

まるで貴族様の洋館みたい。

立っただけで気圧されてしまいそうな程のムダに豪華な造り。

「わあぁ、噴水まであるので~す」

壺を持った女性のたたずむ噴水...まで!!なんとなんと有りやがるのですよ、この学校は。

「さすがボンボン様たちです」

田舎者のようにキョロキョロとあたりを見回す、私。

思わず感嘆してしまうですよ、これは。


...あ、初めましてです。

そういえば挨拶がまだなのでした。

私は相川さくらというのです。

とは言っても完全なる名前負けっ子なのですよ。

真っ黒な重たい髪はボサボサでいろんなところにモッサモッサ跳ね、前髪も伸ばしっぱなしで顔は口元ぐらいしか見えない程だけど気にしない気にしない。

前髪で見えない目にはぶあっついフレームのメガネ、スカートは足首に近い程で制服もビミョーにヨレヨレ、長い靴下はスカートに隠れていて俯きがちのどー見ても根暗っ子でも気にしない気にしない。

なにせそのままただの根暗っ子なのですから。


ちなみになぜ前髪を伸ばしているかー?です?実は私小さい頃に事故にあいまして、それ以来体や顔に傷がーーってことにしとくです。

細かいことは気にしない方がいいのですよ?

そんな嘘すぐにバレないか、です?

大丈夫なのですよ。なんくるないさ~ってヤツなのです。コレ知ってるです?なんとかなるって意味らしいのです。知り合いが教えてくれたのです。


ちなみに私、誰にも...と言うより大抵には負けないトクギがあるのですよ。それはなんと...気配を消すこと!!

ある程度空気になることができるのです。なにせ中学時代は居ないもの扱いされ、担任にも認知されていない私が言うのです。

すでに立証済みです。えっへん。


まぁ、そんなこんなでついたあだ名が

「あの人なんですの?汚ならしい。どこからかこちら の制服でも盗んでいらしたのかしら。まるで貞子みたい」

...です。

― 近くのお嬢様、丁度いいタイミングでの解説ありがとうございますなのですよ。


う~ん。やっぱりどこの学校に行こうと私は貞子なのですかね?

いっそ、地味(じみ) 貞子(さだこ)とでも名乗るです?それもそれで面白そうです。

ちなみにモットーは地味に目立たなくです。だって私みたいなのがキャッキャウフフやってたらあっという間にボンボン様たちに目を付けられてしまうでしょうから。

ひっそりと雑草魂で生きるです、私。


あ、そーです。実は私秘密があるのです。

それは...なんと、私前世の記憶があるのです。

まぁとくになにもなく平々凡々な人生だったですよ?27歳故っちゅー早死に以外はですけれど。

だからですね、私少ぉしだけ新しいこの世界の事を知っているのです。この世界、たぶんなのですが乙女ゲームの世界なのです。


たしか題名は[もも☆こい~もも色うさぎはこいに跳ねる]っちゅー感じの青春LOVE ゲームだったのです。

ちなみにです。これは激バマりした我が前・妹がコンプリートしまくり、素晴らしき愛の下で私に進め、さんざん断るもめげずつきだし折れた私がやろうとしたゲームなのです。

だからですね、キャラの名前や特徴、顔や主な性格等は愛する前・妹のお陰で少しだけ知っているのです。


しかしです。あくまでこれはやろうとしたゲームなのです。


何故これ程までに進めるのか、という問いに対しヒロインが前・私好みのドストライクちょいロリだからだと答えられ、それならと妹を追い払ってやったはいいものの、突然の地震発生。それにより飾っていた家宝の壺が落ち、たまたま私の頭にあたって...ドシャーン。

ぽっくり御陀仏になっちまったのです。


...つっこまなくていいですよ?


はいです。自分でも分かってるですよ。可笑しすぎる死に方だってことぐらい。


まあそんなこんなで今世で生きて十何年か。この学園の名前を聞いた私は、ここを受けると了承した後にこの学園乙女ゲームの事を、前世の記憶を思い出してしまったのです。


思い出した私は正直言っちゃえばこの学校に来るのをやめようかと思ったです。でももう了承済みだったのです。だから仕方なく来はしたのです。

でも来たからには、そっとヒロインちゃんを見守る気ではあるのですよ。

なにせ妹は私の好みをよく理解しているのです。

実際、挿し絵で見たヒロインちゃん...栗原(くりはら) 桃愛(ももあ)ちゃんはとっても私好みで思わずぎゅっとしたくなる程だったです。


性格は分からんですが妹いわく、たしか可愛い天然っ子っちゅー話だったのです。

...そこまで私好みだとある意味すごいのです。


後は―そうそう、乙女ゲームでの私の立ち位地はなんと...確かほんの少しだけかすった程度で出てきたヒロインちゃんの親友という名の引き立て役だったと思うです。妹がそう言っていた気がするのです。

たしか、「桃ちゃんには親友?がいたハズなんだけど、もんのすごっく影うっすいの。あれ多分引き立て役だよね~」と言ってたと思うです。

こんな些細な事まで覚えてるなんて、前世の私ってほんとなにやってたんですかね。

まあいいのです。今世では私、影から見守る事に決定しているのです。実は楽しみにしているです。我が愛しの前・妹は楽しくなくなるゥ~と言って、イベントや内容までは教えなかったのです。

かわりにキャラの語りは凄かったです。特に押しメンは大変だったです。


転生して記憶を取り戻した後、私は自分がその"さくら"だなんて暫くの間信じられなかったです。

なにせ、この(ボディ)がこんな設定だったなんて全く知らなかったですから。


でもとにかくなんにせよ私はこの乙女ゲームの舞台である倍率・偏差値共に高いボンボン学校、清蘭学園に本日入学する事になったです。


とりあえずはまぁ、穏やかな一年を過ごしたいと思うのです。


























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