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第四十四話 初めての休日

どうも皆さんこんにちは、みづどりです。

学校での合宿に期末テストというダブルパンチをどうにか乗り越え、久しぶりの投稿となりました。

久しぶりに書いたので、鈍って変な風になってるかもしれないですけど悪しからず。その内感覚も戻ってくると思うんで、生暖かく身守ってくれると助かります。

誤字脱字の可能性有りです。

コオリが盗賊団を壊滅させた翌日、ライラはとても悩んでいた。


「どうしよう………」


視線の先にいるのはコオリだ。ベッドの上ですやすやと寝息を立てて、幸せそうな表情で眠っていた。

そのあまりに無防備な表情に、ついライラは頬を緩める。


「可愛いなぁ、子供みたい。………って、そうじゃなくて!」


先に起きてコオリの寝顔を眺めるのが、朝の密かな楽しみとなっていたライラ。そんな彼女にとって、何時にもなく無邪気な寝顔を晒すコオリは相当にクルものがある様だ。

それでも頬が緩むのを堪えて、ライラは眠っているコオリに向かって叫んだ。


「いい加減起きろー!何時まで寝てるのさー!」

「すぴー………」

「すぴー、じゃなーい!」


もう直ぐ太陽が上がりきるという時間の宿屋に、ライラの叫びが響き渡った。



それから約一時間後。



「ふぁー………。おはよ、ライラ」

「おはよじゃないよ!コオリ今何時だと思ってるの!」


ライラに怒鳴られ、コオリは目を白黒させながら外を見る。すると、既に太陽は真上で輝いていた。


「あー………悪い、寝過ごした」

「寝過ごしたじゃないよ!どうするのさ、もうギルドに行っても良い依頼残ってないよ!?」


基本的にギルドの依頼は早いもの勝ちとなっている。その為、報酬の良い依頼を受注するには朝早くにギルドへと行かなければならないのだ。


「………そうだな、んー………。今日は休みにするか」

「………へ?お休み?」

「そそ」


コオリは少し前のドイラン達との会話を思い出し、いっその事休んでしまう事にした。テイレンに到着してからなんだかんだ無休で活動していたので、丁度良い機会だと思ったのだ。


「それに俺は食事会の準備もしないといけないしな」

「あー、そう言えばそうだね」


コオリに言われて、ライラはあの約束を思い出した。本当はストレージの中の食材を使えば準備などする必要は無いのだが、残念ながら中の食材の殆どがおおっぴらに使える物では無い。ユルとの約束であるクレイジーモンキー以外の食材は、テイレンの街で調達する必要がある。


「俺は買い物に行くけど、ライラはどうする?」

「うーん、そうだね………ボクも一緒に行っちゃダメ?」

「別に良いぞ」

「やった!デートだ」


デートと喜ぶライラを見ながら、定期的に休日を入れるのもアリかとコオリは考えるのだった。








時刻は三時過ぎ。コオリとライラは商店街を歩いていた。


「もう少し買った方が良いかね?」


買った食材を見ながら、そう思案するコオリ。その隣では、ライラが呆れた様な表情でコオリの持つ食材に視線を向けていた。


「いや、むしろ多すぎると思うけど………」


コオリが持っているのはライラをすっぽりと覆ってしまう程はある袋だ。その中には野菜や果物、肉などがパンパンに入っている。はっきり言って、持っていると言うよりは抱えているとしか言えない。その様な大きさの為、当然だが袋が邪魔して前方など見えていない。それでも誰ともぶつかる事なくライラと会話しているのは、ひとえにコオリの無駄に高い把握能力の賜物であった。


「こんなに買ったら余るでしょ多分」

「でも人数が未知だし」


食事会に参加する人間の中で、スラムの子供達は何人いるのか不明である。更に、その全員が飢餓の一歩手前の状態となっているのだ。コオリがかなりの量を買い込むのもある意味当然だった。


「てか、それ以前にドイラン達が一杯二杯で満足するとは到底思えん」

「あー………」


コオリの予想に思わずライラは納得してしまう。

コオリの料理は絶品と評する事すら生ぬるい。至高と言えるそれ等の料理は、例え胃の許容量以上の量であってもライラは容易く食べ切れる自信があった。

そして、それに加えて冒険者という職に就く者達はとにかく食べる。それは多くの命の危険に晒されている反動と、常に激しく動き回る為に身体が大量のエネルギーを求めるからだ。

この二つの事から、コオリには食材が大量に必要になる事が簡単に予想出来ていた。


「やっぱりもう少し買ってくか」

「うーん、そうした方が良いかもね」


結局、これでは足りないという結論になり、最終的には同じサイズの袋が四個まで増えたのだった。………流石に四個も持てないので、三つはコオリのストレージの中に放り込んでいた。

そして、ある程度の買い物も終わり、コオリは他に何かやるべき事がないかを確認する。


「ライラ、後はなんか準備でやる事ってあったか?」

「えっと………あ、そう言えばシェリルさんが準備が出来たら言って欲しいって言ってなかった?」

「あ!そうだそうだ。そんな事言ってたな確か。何処にいるんだっけ?」


シェリルとの約束を思い出したコオリは、ライラに彼女が何処にいると言っていたかを尋ねる。


「『小鳥の囀り亭』だって言ってたよ。確か向こうの方にあった筈」


そう言って、ライラは『小鳥の囀り亭』のある方向を指差した。


「あー、そう言えば確かにそんな宿あったな」

「まあ高級宿だからね。あんまり馴染みがないのは分かるかな」


コオリのあやふやな答えにライラは苦笑した。二人が泊まっている『兎の耳亭』はどちらかと言えば安宿の部類に入る為に、高級宿である『小鳥の囀り亭』には縁が無い。金銭的に余裕はあるので泊まろうとすれば泊まれるが、ライラもコオリも屋根とベッドが有れば良いという考えを持っている。また、出てくる料理もコオリ程では無いが味は良いので、わざわざ宿を変えようという考えには至っていなかった。


「そう言えば、ライラって元王女の割には寝床とか頓着しないよな」


シェリルに会う為に歩いている途中で、コオリはふと呟いた。隣にいる件の元王女様は、コオリの呟きに今更だねと苦笑した。


「あのねえ、ボクもダンジョンに潜ってたんだよ?どんな宿でも、ベットの方が地面に魔物の毛皮を敷いて寝るよりはマシでしょ?」

「ごもっともで」


コオリは思わず納得してしまう。ライラは既に冒険者なのだ。それも超危険なダンジョンアタックを経験している猛者である。王女様扱いなど本当に今更だろう。


「………と、この辺りだったよな?」

「うん、ほらあそこ」


コオリの記憶している付近まで来ると、ライラがある方向に指を向けた。その先に視線を向けると『小鳥の囀り亭』と書かれた看板があった。

外観に関しては、やはり高級宿と呼ばれているだけあって重厚な雰囲気を出しており、コオリには老舗のホテルを連想させた。


「すみません、シェリルさんはいらっしゃいますか?」


宿に入り、従業員と思われる男性に声を掛ける。男性は最初はコオリの見た目を見て訝しげにしていたが、直ぐに表情を笑顔に変えて「少々お待ち下さい」と言って何処かに消えて行く。

それから暫くすると、階段からシェリルが降りてきた。


「こんにちは、コオリ君、ライラちゃん」

「こんにちはシェリルさん」

「どもっす」


二人はシェリルに挨拶を済ませ、その後少しだけ雑談をする。話題はもっぱら今日のデートの事だった。如何に上位冒険者であってもシェリルは女性である為、そういう恋バナ的な話題には大いに食いついたのだ。………本人の名誉の為に言っておくと、この話題にはコオリは殆ど参加していない。会話をしてたのは女性二人であり、コオリは一人居心地悪そうにしていた。 そして雑談も区切りがつき、コオリはシェリルに本題を話し出した。


「ーーという訳で、材料はある程度準備が出来たんですけど」

「分かりました。それじゃあ私は場所を押さえておきますね。直ぐに決まると思うので、明日の朝にギルドでお話しますね」

「了解です」


本題は割とすんなり終了する。その後はまた雑談となり、三人は空が茜色になるまで楽しくおしゃべりをしていた。主な話題は恋バナではなくシェリルの冒険の話だった為、二回目の雑談はコオリも楽しむ事が出来ていた。


「ありがとうございました、面白かったです」

「明日また」

「さようならです、コオリ君、ライラちゃん」


シェリルに別れを告げ、コオリとライラは『兎の耳亭』へ向かってと歩き出した。

その途中で、ライラが思い出した様に、


「あ、明日は寝坊しちゃダメだよ?」


と言ってきたので、コオリは一言


「分かってるよ」


そう短く返した。


「なら良し」


コオリの答えに満足そうにライラは頷き、コオリはばつが悪そうに頭を掻いた。


こうして、二人の冒険者になって初めての休日は終了したのだった。

今回は内容が薄めだったかなと思います。

でも、もう少しでテイレンの話は佳境に入ると思うんで、どうか飽きないで下さい。

(-m-)南無

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