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第三十九 ゴブリン退治

前半が何故かゴブリンの説明に………


書いて直ぐの投稿なので、誤字脱字の可能性大です。

ゴブリン。それは先も説明した様にファンタジーの代名詞の一角である。ゴブリンの数ある特徴の中でも、特に有名な特徴がある。それは最弱のモンスターという事。知能は低く、体格も小さい。力もせいぜい成人男性に届くかどうか。武器などを使う個体も居るには居るが、それが巧いと言えるかと言えばそうでもない、RPGなどでは序盤に出てくるモンスターである。

こうして見ると、最弱の名を冠するに相応しいモンスターである。しかし、その様な認識は得てして事実とは異なる事が多い。ゴブリンも実はその例の一つだ。

現実でのゴブリンとは、新人冒険者にとってある意味で最大の脅威なのだ。

先ず、ゴブリンは群れる。異常に高い繁殖力を持つ奴等は、単独で行動するという事はほぼ無い。幾ら体格が小さく力が弱いとしても、ゴブリンは成人男性程度の力はある。また、レベル1・2程度だが、武器スキルを持っている個体も多い。そんな奴等が最低でも五体、多い場合は十数体で行動しているのだ。その為、数の暴力を甘くみた新人冒険者が殺される事案は後を絶たない。

次に、新人冒険者の殆どが空想と現実を混ぜて考えている事。高がゴブリンと侮った新人冒険者が、戦闘を繰り返してステータスが上昇したゴブリンに殺される事も珍しく無いのだ。また、普通のゴブリンだと思って戦ったら、ゴブリンジェネラルといった上位種であったなんて事もある。上位種の場合だと中堅冒険者とやり合う事も可能なので、新人だと手も足も出ないのだ。

とまあこんな感じで、一般的には最弱と有名なゴブリンであるが、冒険者などの戦闘職の人間からは「初心者殺し」や「初見殺し」という呼び名で呼ばれていたりするのである。


「ほいさ」

「えい!」

「グギャ!?」

「ギュエエッ!?」


さて、長々とゴブリンについて説明させて貰ったが、何が言いたいのかと言うと、ゴブリンは意外に強いという事だ。


「………何処が強いんだよ?」

「ちょっと弱いかな………」

「やっぱ所詮はゴブリンか………」

「「待て待て待て待て」」


遭遇した六体のゴブリンを一瞬で葬った所で、コオリとライラは首を傾げた。同伴者から話を聞いた限り、少しは歯ごたえがあると思っていたのだが、対戦してみれば予想通りの瞬殺だった。

ステータスが異常なコオリや、既に上位冒険者と張り合えるライラが相手ではそれも無理からぬ事だとは思うが、少なからずコオリは手加減をしていたのだ。一般人に毛が生えた程度の能力値でこうも瞬殺出来たのは、最高レベルのスキル群の恩恵であるのか、それともやはりゴブリンが弱いのか。………確実に前者だが。

そう考えれば、先程の戦闘の結果は当然と言えば当然である。だが、やはり期待してた分は落胆の気持ちが無い訳では無い。しかし、そこにクルトとメイラから待ったの声が掛かる。


「………さっき説明したと思うけど、ゴブリンって割と厄介なんだよ?ただ単に君達が異常なだけだからね?」

「普通の新人が二人だったら、さっきの状況はかなり苦戦してた筈よ。それを瞬殺なんて………」


二人の声に含まれていたのは呆れの色だった。何故なら、殲滅の速度が二人よりも完全に上だったからである。いざクルトが剣を抜こうとした時には半数が仕留められ、メイラが詠唱を始めた時には既にゴブリンは全滅していた。幾らコオリとライラが自分達より実力が上だと分かっていても、これでは先輩冒険者として立つ瀬が無いだろう。


「………ってか、ライラちゃん本当に強かったんだね」

「今の心境、初めてシェリルを見た時みたいよ………」

「えっと………」


今度は驚きの色を宿した視線がライラに向けられる。コオリから話を聞いていたが、実際にライラの実力を見ると二人の予想以上であったのである。

ゴブリンを発見した際、真っ先に動いたのがライラであった。その時、二人からすれば彼女は消えた様に見えたのだ。物理ステータスがメイラよりも高いクルトでも、彼女の姿を捉えたのは二匹目のゴブリンの首を刈り取った時であった。

そんなライラを見て、二人が連想たのはシェリルの姿だ。最初にシェリルを見た時、烈火の獅子のメンバーはやけに美人な冒険者程度の認識だったのだが、シェリルの戦闘を見た時、全員が自分達とは別次元の技量を持つ彼女に愕然としたのである。その時と同様な心情を、二人はライラの戦闘を見て抱いていた。


「そしてコオリ君は予想通りデタラメだし………」

「何をどうやってああなるのよ………」

「いや、牽制のつもりだったんだが」

「牽制で仕留めてどうするのよ………」

「あれは牽制って言わない」


そう言って、呆れながらコオリが仕留めたゴブリンに視線を向けるクルトとメイラ。二人の視線の先にある三つのゴブリンの死体全てが、頭に木の枝が突き刺さっていた。

何故こうなっているのかというと、ライラが駆け出した後、コオリは牽制のつもりで近くに落ちていた木の枝を三本適当に拾って投擲。同時に投げられた三本の枝は、スキルのもあり三本全てがゴブリンの頭に直撃。しかし、コオリは投げる際に魔力で枝を軽く強化していたので枝は鉄並みの強度を得ていた。その所為で、ステータスを抑えているコオリの力でも、ゴブリンに枝が突き刺さって絶命させてしまったのだ。

やった本人も、「あ、やらかしたなこれ」と内心で思ってたりする。


「なあ、最低ノルマは何匹だっけ?」


話題転換のつもりで、コオリは討伐証明部位を剥ぎ取りながらクルトにそんな事を聞いた。


「十匹だよ。だからノルマは後四匹だね。この調子だとかなり早く終わりそうだけど」

「だったら次は二人が頼む。俺とライラは見てるから。武器の慣らしもあるだろ?」


サボりたいというよりも、純粋に二人に戦った方が良いと思ってコオリは二人にそう勧める。


「まあね。ゴブリン退治はそれが目的だもの。コオリ君達は休んでてくれて良いわよ?」

「了解。だったら危なくなったり疲れたりしたら交代な」


コオリの提案には全員特に異論は無い様なので、メイラとクルトが戦闘、コオリとライラが索敵と警戒という分担になった。

そうして、コオリ達がゴブリンを発見し、メイラとクルトがそれを殲滅していった。

如何に初心者殺しと言われているゴブリンでも、中堅冒険者の二人には脅威になり得無い。ゴブリン達は初心者にとっては脅威だが、レベルが上がって経験を積めば、物量で押し潰されない限り脅威ではなくなる。なので、ある程度の数のゴブリンに囲まれても問題無く対処出来れば、その人間は初心者卒業と見られるのだ。初心者殺しと言われる反面、ゴブリンは登竜門でもあるのである。


(ん?)


幾つかの戦闘をこなし、次なる標的を探して移動している時、コオリの感覚に何か引っ掛かるものがあった。


(………見られてるな。距離は七十、数は三か)


コオリは瞬時に視線から相手の位置と人数を割り出し、気付いていない振りをしながらどう行動するかを考える。


(監視、というよりは物色だなこの感じだと。大方は獲物でも探してんだろうけど、一応は確認しとくか)


相手方が野盗の類では無い可能性もあるので、コオリは魔法を使って確認する事にする。使うのは風属性魔法である《ウィスパー》。風によって遠くの音を拾う魔法だ。

周りのライラ達に気付かれない様に注意しながら、コオリは魔法を発動した。


『おい、スッゲー上玉が居るぞ!』

『お、マジじゃん!もう一人の女も中々だし、どうする?ボス達に報告するか?』

『ああ。あれは逃すには惜しいし、そうしようぜ。あれ程の上玉なら生娘云々は気にしねえだろうし、次に売っぱらうまで俺達で楽しもう』

『いや、あの娘は売るのは勿体無いだろ。今いる奴等だけ売って、奴隷としてずっと俺達で楽しもうぜ』

『それもアリだな!よし、だったら報告に行くぞ!奴等がこの辺を彷徨いてる内に襲撃するんだ!』


(………ギルティ)


聞こえてきた声に有罪の判決を下すコオリ。

既に皮算用をしている斥候と思われる盗賊達には悪いが、コオリは彼等を帰すつもりは無かった。下劣極まりない会話にはかなりの不快感を抱いていたし、何より奴等の話ぶりだと似た様な事を繰り返している可能性が高い。そんな奴等を野放しする程コオリは甘くない。

いっその事、報告させて襲撃してきたのを返り討ちにするのも手だが、メイラ達の護衛の様な意味合いで一緒に行動をしている手前、それをするのは憚られた。

なので、取り敢えずは斥候の三人はこの場で始末。残りの野盗に関しては、今夜辺りに襲撃を掛ける事にした。


(捕まってる人もいるみたいだしな)


基本的に自分から動く事はしないつもりでいるコオリだが、見て見ぬ振りをしない程度の義侠心は持ち合わせている。それに、面倒を避ける為に知ってて行動しない程には、コオリはまだ割り切れてはいないのだ。


(さて、奴等が向かってる方向からアジトらしき場所にも目星はついたし、殺るか)


探知系スキルを使った結果、野盗三人が向かってる方向に複数の人間の反応があった。他に人間の反応が無い事から、恐らくそこがアジトだろう。

アジトが割れた事により、三人を生かす意味も消失した。

コオリはライラ達に気付かれ無い様に、魔法で細い氷の針を三本作成する。所謂、暗器と呼ばれる武器だ。


(遮蔽物はあるけど問題無いだろう。強度も樹木程度なら貫通出来る)


そして、ライラ達の意識がコオリから外れた瞬間、針を投擲した。あまり加減をしないで投げられた針は予定通り樹木を貫通しながら進み、二百メートル程離れた野盗達の頭を寸分の狂い無く撃ち抜く。完全に即死であり、野盗三人は死んだ事すら気がつかなかっただろう。


「コオリどうしたの?」

「いや、ちょっと躓いた」

「ふーん、気を付けてよ?」


流石にライラはコオリが動いた事に気付いた様だが、はっきりとは見ていなかったらしく簡単に誤魔化された。


「ああ。分かってるよ」


こうして、密かな野盗討伐が開始された。


今回は投擲スキルが活躍しました。

そして、何気にコオリ君が魔法を使うのは久々な気が。


最近、話が進まないのが悩みだったり………

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