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第三十一 またも絡まれる

書き溜めを作るので少々連載が滞りそうです



十月三十一

色々と修正しました。

ライラの所に向かう途中で、ドイラン達に話し掛けられた。


「あれ?ライラは一緒じゃないんですか?」

「ああ。どんな依頼があるかだけ確認しに行ってる」

「そうですか」


確かに、ライラは一人で依頼の張ってある掲示板の前にいた。


「にしても、流石に牙狼やクレイジーモンキーを討伐してるとは思わなかったぞ」

「聞こえてたんですか?」

「ユルが騒いでたからな。あいつに料理作るんだろ?」

「おーおー色男。ライラちゃんが悲しむよー?」

「折角みんなにもご馳走しようと思ってたのになあ。クルトの所為で作る気失せたわ」

「クルトてめえ!!」

「ふざけんな馬鹿クルト!」

「一回大怪我負ってみますか?」

「うわー!?コオリこの野郎ー!」


コオリの言葉で烈火の獅子、カインとジョンに袋叩きにされるクルト。


「すいませんっした!!」


結果、コオリの前に土下座するクルトの姿が。さっき袋叩きにされた所為で、全身がズタボロだ。

そのあまりの情けなさに苦笑して、コオリは許す事にする。


「分かった分かった。クルト以外はご馳走してやるから体勢戻せ」

「いやそりゃないよ!?」


コオリのセリフに、クルトが飛び起きて抗議の声を上げる。


「冗談だ。しっかり残飯は食べさせてやる」

「それ安心出来ないから!普通の飯を食わしてよ!」

「安心しろ。本気だから」

「そこは冗談だと言って!?」


周りに居た冒険者達が、二人の寸劇を見て爆笑する。烈火の獅子のメンバーに至っては、腹を抱えてて全員笑い転げていた。


「ハハハハ!いやー、やっぱコオリ面白えわ。広場でやれば金取れんじゃねーの?」

「クルト。アンタもパーティ抜けて芸人やりなさいよ。私達もその理由だったら止めないわよ?」

「むしろ、全員で勧めますね」

「イヤに決まってんだろ!なんで皆そんなに薄情なんだよ!?」

「「「面白いから」」」

「ちきしょー!!」


やはり、クルトはパーティ内でもネタ要員として扱われていたらしい。弄るタイミングが全員完璧である。


「大体、お前等は」

「ライラ遅いな?」

「君は何で流れをぶった切ってんの!?」


クルトが何か言っているが、完全に無視を決め込むコオリ。実際、ライラが遅いのは事実なのだ。依頼を見るだけなら、とうに戻ってきてもいい頃合いである。


「あ、まだ依頼見てんのか………って、何か絡まれてるっぽいな」


ライラの方に視線を向けると、さっき相手にした盗賊達と大して変わらない下卑た表情の冒険者達と会話していた。十中八九、絡まれているのであろう。


「え?………あー本当だ。ありゃ『青いオーガ』の連中だ。あいつら、チンピラと大差ない札付きだから。ライラちゃん絡まれてるよ」

「コオリ君、ライラちゃん助け方が良いんじゃない?」


クルトがライラに絡んでる奴等について説明し、メイラが心配そうに聞いてきた。

しかし、コオリの意識は別の所に向いていた。


「………いや、俺はそれよりも、あいつらのネーミングセンスを問い詰めたい」

「そっち!?ライラちゃんの心配は!?」

「あの程度の奴等、ライラ一人で何とでもなるから、まだ放っておいて大丈夫だろ。面倒な事になったら助けるさ」

「そんな事言っても万が一って事が」

「無いな」


メイラの懸念をコオリが被せ気味に否定する。


「ライラってクルトと微妙に似た立ち位置だけど」

「いや、ちょっと待て。流石にそれは異論があるんだけど」

「話の腰を折るな。どっちもオチかネタ要員なのは変わらねーよ」

「酷いなコオリ君!?」


もう既にコオリの中でのクルトの立ち位置は定着している。一応は冒険者として先輩に当たるのだが、親しみは有れど敬う気は皆無である。


「兎も角、ライラは見た目に反して、牙狼の群れを一人で潰す程度には強い。はっきり言って、あいつらじゃ何人いても役者不足だ」

「………え?ライラちゃんってそんなに強いの?」

「持ってるんだったら鑑定スキル使ってみたら?もしかしたらレベルまでなら見れるかもよ?」

「いや、それは流石にマナー違反だよ。無許可の鑑定なんて冒険者に限らず、戦闘職の人間には敵対行為みたいな物だし」

「そうなのか?」

「そうなの。スキルとかの情報は命に直結するからね。コオリ君も、鑑定スキルがあるなら気を付けな」

「分かった。やる時は隠蔽スキルも使ってバレない様にやるわ」

「いやだからやっちゃ駄目なんだって!」

「ハハハハ。冗談だよ」


思いっきり邪悪な笑顔で否定するコオリ。そのあまりにも黒い表情に、クルト達以外の周囲に居た冒険者達もドン引きする。


「ごめん。その表情で大丈夫だという確信が出来ない………」

「なんだよ。冗談も通じないのかクルト?」

「だから!その表情でどう安心しろと!?」

「俺がそんな事する奴に見えんのか?」

「さっきの顔を見た後だと、うんとしか言いようがない」

「………やっぱりクルトは飯抜きな」

「理不尽!?」


何か色々と抗議してるが、コオリは聞く耳持たずに無視をする。


「にしても、さっきの騒動の後でよくライラちゃんに手を出せるわよね」

「そうか?あいつ、贔屓目なしで美少女だから絡んでくる馬鹿もいるだろ」

「………さらりと惚気をどーも。そうじゃ無くて、ライラちゃんは中堅冒険者を軽くあしらったコオリ君の連れよ?せいぜい八級程度の実力しかない奴等が良く絡もうとするわよ」


メイラの言葉に、周りに居た全ての人間がうんうんと頷いた。


「あ。あいつ等さっき来たばっかだから知らないんじゃね?」


頷いていた冒険者の一人が、思い出した様に手を叩く。


「えー?だとしても絡む普通?」

「「「「「馬鹿だからだろ」」」」」


メイラの疑問は、その場の全員の合唱で返された。


「………やっぱ助けるか?」

「お?やっぱり何だかんだ言って心配になっちゃた?」

「いや、ただ単に長い。そろそろマジで宿が埋まるかもしれない」


外は夕焼けの一歩手前だ。体感で午後の三時ぐらいにギルドに来たので、既に結構な時間が経っている。


「早く終わらせて宿に行かないと」

「ぶれないのね」

「あの程度で心配なんて出来ないですからね」


ライラ程の実力からすれば、あの程度の相手で心配したら彼女の実力を信じていない事になる。


「おーいライラ。そろそろ行くぞ」

「あ、コオリ!助かったよ」

「あ、なんだあ?」

「おいガキ。この娘は俺達と話をしてんだ。あっち行っとけ」


やはりというか、こいつ等の言動も盗賊達と大差ない。清潔な分多少はマシといった所だろう。


「悪いね。その娘は俺の連れなんだ。他を当たってくれ」

「あ?何言ってんだガキ。関係無い奴は引っ込んでろ!」

「だからその娘の連れだって」


何故こういうゴロツキは頭が弱いのだろうか、と本気で頭を捻るコオリ。教養が無いとしても、連れと言ってる人間に関係無いは無いだろう。


「てめえ、何級だガキ?」

「十級だけど?」

「十級?新人が粋がってんじゃねーぞ!ボコされてえのかガキ!」

「あー、うるさいうるさい。こっちは時間が無いんだ。早くライラを離してくれ」


自分達の方が階級が上だと分かり余計に五月蝿くなる青いオーガ。コオリからすれば、相当に煩わしい。


「ガキ、俺達が『青いオーガ』だと分かって、そんな口聞いてんのか?」

「………なあ、マジでなんでそんな名前にしたの?本気で疑問なんだけど」


メイラ達にはこいつ等のパーティ名の由来を聞いていないので、本人達聞く事にしたコオリ。

問われた本人達は、コオリの問いを挑発されたと受け取り、一斉に武器を抜き放つ。


「このガキ!ぶっ殺すぞゴラァ!!」

「そこの女をテメエの目の前で犯してやらァァ」


殺気をばら撒き武器を振り上げてくる青いオーガ達。その様子に、周りに居た冒険者達が一斉に動き出して止めようとする。

あわや大乱闘かと、ギルドに居た全員が身構えた時、


「………ライラを犯す、ね。身の程を知れよゴロツキ」


物理的な圧力すら伴う殺気が吹き荒れた。

更に、遅れて幾つもの金属音が鳴り響く。見れば、コオリは拳を握り、青いオーガのメンバー全員の武器が叩き折られていた。

誰もがそれに息を飲む。いつの間に、どうやって、その一切が彼等には見えなかったからだ。


「この娘さ、俺の恋人なんだわ。だからそう言うセリフ聞くと、あまり良い気がしないんだよね」


ゆっくりと近づくコオリを、青いオーガの面々はガタガタと震えながら後ずさる。さながらその姿は、天敵に睨まれた憐れな獲物。名前の通りに全身を青ざめる者達に、コオリは静かに告げる。


「今回は武器だけで見逃す。けど、次は無い」


その最後通牒とも取れるセリフに、青いオーガのメンバーは必死の形相で頷いた。


「ひ、ヒィィ!?」

「す、すいませんっしたぁ!!」


最早這々の体で逃げ出した青いオーガを見て、ライラは嬉しそうな表情で


「もう。コオリやり過ぎだよ」


そう呟いていた。


ちなみに青いオーガの由来は、体表の赤いオーガでも全身を蒼ざめさせる、みたいな感じです。

結局は自分達が真っ青になってましたけどね。




誤字脱字を修正しました

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