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第二十二 フォルムチェンジ(切実)

ステータスを少し新しい感じにしました。


新スキルや称号には、(新)が付きます。



十月30

色々と修正しました。


改稿作業終了済み。

何かライラの切実な告白シーンがカットされて、大変申し訳なく思った。

終わりこそあっさりとしたものであったが、それでも機械龍は強敵であった。ダンジョンを喰らう事が出来なければ、まず間違いなく敗北していた事だろう。

つまり何が言いたいのかと言うと、強敵を倒せば相応のリターンが得られるという事だ。少なくとも俺の場合は。


「……お?」


機械龍の亡骸から、経験値が流れ込んでくる。ダンジョンを喰った事で幾分霞んでしまうが、それでも破格の量を得る事が出来た。

……だが、その割には妙だ。


「んー? 何でまだ、機械龍が気になるんだ?」


経験値はもう得た筈なのに、獣の本能がまだだと叫んでいる。具体的に言えば、これからがメインディッシュだと。


「……まあ、従ってみるか」


既に俺の中では、本能>理性となっている。本能が何かあると訴えているのなら、それに従うべきだろう。

そんな訳で、機械龍の亡骸のもとへと移動。はてさて何があるのかと、亡骸を眺めていると。


「……はぐ。……ん!?」


気がついたら機械龍を喰ってた。


「いや待て待て! 確かに見た目は獣だけど、心はまだ俺のままだぞ!?……はぐはぐ。……あれぇ?」


咄嗟に機械龍から口を離すが、抗いがたい魅力に駆られて、また機械龍の亡骸を貪る始末。……いや、何だこれ?別にすげえ美味いって訳じゃないのに、むしろ機械部分のせいで口の中がジャリジャリするのに、貪るのを止められない。

……これはもう、諦めて本能に任せた方が良いな。多分、抵抗するだけ無駄だ。不安があるとすれば、腹を下しそうで怖いという事か。いや、そもそも機械龍って消化出来んのか? 特に機械部分。

だが、心に反して身体は正直というか、いつの間にか機械龍の亡骸をペロリと平らげていた。


「……で、何だったんだ?」


漸く身体が言う事をきくようになったので、身体のあちこちを確認してみる。

……見て分かる箇所には、異常は特にない。

んー、本能に任せた行動だった訳だし、何らかの理由があるとは思うんだが。

はて? と首を傾げていると、いきなり身体が発光した。


「お、おお!?」


急な事に戸惑っていると、発光が収まる。

そして、また姿が変わっていた。


「……おやー?」


どうやら、機械龍を直接喰らった事で、原初の獣の能力が自動的に発動したらしい。恐らくだが、最強種である龍の力を、原初の獣が取り込もうとしたのだろう。

奇行の理由がついてスッキリしたので、改めて全身の確認だ。


「ふむ。何か龍っぽくなったな」


先程まで儚さというか、幻獣っぽさがあったのだが、今は全体的にゴツくなってた。

全身に龍鱗が生え、毛皮オンリーだった身体が、龍鱗4:毛皮6ぐらいの割合になっていたし、身体の要所要所に甲殻も出来ていた。フサフサモフモフだった尻尾も、甲殻や鱗が生えた事で良い感じに同居したゴツモフになっている。

そしてなにより、頭に生えた二本の角。前に突き出る形で生えた巨大な龍角が、その存在を主張していた。


「……というかコレ、パッと見デカいジン○ウガでは?」


なんとなく思い当たったのは、狩人たちに人気の帯電性ウルフドラゴン。いやだって、良く見ればかなり差異はあるけど、シルエットだけならクリソツなんだもん。

まあ、元の姿がネコっぽい山犬のヌシみたいだったし、そこに龍の因子が入れば雷○竜っぽくなるのも納得だけどさ。

何か、ファンタジーな異世界が、また違うタイプの異世界になった気分だ。


「……えっと、コオリ? コオリだよね……?」


超大型○狼竜という、ある意味で洒落にならない姿となった己に、思わず遠い目をしていると、足元から声が聞こえてくる。

そちらに顔を向けると、不安そうなライラが此方を見上げていた。


「……もしボクが分かるのなら、何でも良いから返事をして!」

「そうだぞ」

「喋った!?」


返事をしたらめっちゃ驚かれたんだが。


「何でそんな驚くんだ?」

「いやだって、喋れるような見た目じゃなかったし!」

「俺、さっきまで独り言喋ってたと思うが」

「……ぐるぐるとしか聞こえなかったけど?」

「んー?」


普通に喋ってたつもりなのだが、ライラ曰く獣の鳴き声にしか聞こえなかったという。

どういう事かと検証してみたところ、俺の声は話しかけようとした相手にしか聞こえないようだ。対象外の相手には、獣の鳴き声となって聞こえるらしい。だからライラも、俺が心まで獣になったのかもと焦ったそうだ。

何だそれはと思ったが、そもそもこの姿で人語を話せてる時点でおかしい訳で。マトモに声帯使って喋ってないだろうし、そんなものなのだろう。


「凄いざっくりと納得したね……」

「いやだって、そんな事言ったら、そもそも人から獣になってる時点でなぁ」

「まあ、そうなんだけどね」


俺が肩?を竦めると、ライラも苦笑しながら同意してくれた。


「で、中身がコオリのままなのは分かったけど、元に戻ったりは出来る訳? その姿じゃ何かと不便でしょ」

「まあ、そうだな」


人間の姿じゃないってだけで、下手したら問題が起きるのに、この巨体だ。このままの姿じゃ、生きづらくてしょうがないだろう。

えーと、人間形態に戻るには……あれどうやんの?


「……戻るのってどうやんだ?」

「いや知らないけど!?」


あ、うん。だよね知ってた。


「えーと、ちょっと待ってね?」


いや、いける筈よ。だってこの姿になったんだもの。その逆をやれば良いんだ。

まず、なんとなく使い方が分かるようになった原初の獣の能力を確認して、と。……ふむふむ。なるほどなるほど。はいはいはい。姿形を変えるには、ガワである物質じゃなくて、本質である存在の方を弄るのね。肉体を変えて影の形を変えるんじゃなくて、影の形を変えて肉体の方を変えるイメージかな?

なら早速、存在を元のシルエットに押し込めて……あれ? これ無理では?


「……何か、今の俺の存在の総量が多すぎて、どうやっても人型には押し込めないっぽいんだが……」

「……それはつまり?」

「……戻れない、って事かなぁ」

「それ不味くない?」

「くっそ不味い」


さぁて、どうしようかなぁ……。


「……ステータスとかで見れないの? 明らかにユニークスキルの類だよねそれ? 何か解決方法みたいの載ってるんじゃ……」

「あ、その手があったか!」


そうだそうだ! ステータスはバグってても、ユニークスキルの方は無事の筈だし、そこから情報を得れば!


「ステータス!」


……出ないんですけど。


「……ステータスが出ないんですが?」

「えー……」


予想外の事態に、ライラの方も困り顔。

バグるだけに飽き足らず、ついに反応すらしなくなったかコンチクショウ!

でも地味に思い当たりがあるだよな!


「クッソ! あの時ステータスを叩き割ったのが悪かった!?」

「え、あれが原因なの……?」


ライラは首を傾げているが、俺にはアレが原因に思えてならない。何か、ギリギリのバランスで所で踏みとどまっていた所に、全力の蹴りを入れた印象だ。

というかこれ、本格的に打つ手無いのでは……?


「……因みにだけど、この姿でもライラは一緒にいてくれます?」

「いや、それは全然構わないというか、むしろ何が起きようが離れる気なんて無いけどさ……。ただ、その姿で外に出れば、確実に各国共同での討伐隊が組まれると思うよ?」


サラッと言われた恥ずかしい台詞はスルーして。


「やっぱりそんなレベル?」

「だって、明らかに大陸存亡の危機じゃん」

「ですよねー……」


予想はしてたけど、やっぱり俺の扱いってそのレベルかぁ……。いやまあ、山みたいなサイズの怪物がノシノシ歩いてたら、そら見過ごせないだろうけどさ。実際、大陸を滅ぼそうとすれば余裕だろうから、大陸存亡の危機ってのも間違ってないし。

ただそうなると、普通に旅するのは難しくなるなぁ。


「コオリが、討伐隊ぐらい蹴散らすぞ!って言うなら、ボクは別に止めないけど……」

「……流石にそれは、俺の中のなけなしの良心が咎めるかなぁ」


如何に相手が軍人等であっても、罪の無いであろう人間を大量虐殺するのはちょっと……。手加減しようにも、この姿じゃ歩くだけで被害甚大だから、どうしようもないしなぁ。


「じゃあ、このダンジョンで暮らす?」

「いや、ここまで来てそれは無い」


ライラの挙げた妥協案は、流石に却下だ。二人で外に出る為に、機械龍とも命懸けで戦ってきたのだから、ここで外に出ないという選択肢は有り得ないだろう。


「……悪いが、少し時間をくれ。何か方法が無いか考えてみる」

「あ、うん。それは良いんだけど……」


何故か、ライラが口をもごもごさせている。


「どした?」

「えっと、コオリ。ちょっと身体を休める為にも、腰?を下ろした方が良いんじゃない?」

「ああ、そだな」


ライラに言われて、よく犬や猫がやってるような、ベタっと伏せた感じの体勢になる。……やってみて思ったが、この体勢は結構落ち着くな。動物達がやるのも分かる気がする。


「……それでね、コオリにちょっとお願いが」

「何だ?」

「……頭とか乗っていい?」

「……構わんぞ」

「わーい!」


文字通り飛び上がったライラを見て、少しばかり頭が痛くなった。

急なテンションの上がりように、一瞬だけ断りそうになったのは内緒だ。いやだって、ライラから、ペットを可愛がりまくるタイプの気配を感じたんだもん。やられる側になると躊躇するわ。

まあ、許可した以上はされるがままになるけども。


「ただし、落ちるなよ?」

「飛べるから大丈夫! 実はちょっと気になってたんだよねー!」


俺の忠告に生返事を返したライラは、そのまま頭部へと突撃。

凄い小さい何かが、モゾモゾと動き回る感覚が、俺へと襲い掛かってくる。


「わー! 凄いモフモフだぁ!」

「……さいで」


モフリストと化したライラに溜息をつきながら、俺は頭の上で動き回る感覚を遮断したのであった。






そして暫く時間が経ち、何度目か分からない試行錯誤の末、


「……いけたか……?」


何とか俺は元の姿に戻る事に成功していた。

……うん。髪色が微妙に青っぽくなってる以外は、元の俺の姿だよな。

取り敢えず、ライラを呼ぶか。


「おーい、ライラ!」

「……どうしたのー?」


呼び掛けから少ししたら、毛皮の中から至福そうな表情のライラが這い出てくる。


「……え?」


そして固まった。


「……えーと、アレ? コオリ、だよね?」

「そだぞ。何とか元に戻った」

「……え、でも、え?」


頭の上に大量の疑問符を浮かべたライラは、一度自らの足元、のっそりと伏せている俺の方に視線を向け、そして再び此方を見た。


「……コオリ、だよね?」

「そうだぞ」

「……じゃあ、この下で伏せてるのは?」

「俺だぞ」


尚、二回目の返答は獣形態の俺である。


「……コオリが増えてるっ!!?」


ライラが驚愕で絶叫した。

まあ、そうなるわな。

補正についての質問がありました。


補正は、ステータスを直接上昇させるものでは無く、ステータスに補正値をプラスするタイプです。


改稿作業終了後

変身の詳細を書くと言ったな。アレは嘘だ。

……いや、ごめんなさい。意外と文字数が増えそうで。ただ、ダンジョンから出るまでには、ある程度の説明は出来てる筈。


あと、コオリ君が超大型ジ○オウガにメタモルフォーゼしやがったお陰で、ライラの告白シーンがシリアスにならなそう。更に言うなら告白事態が流れそう。……やべぇどうしよう。

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