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第一話 役立たずな勇者

一応、今は五万文字までは書いてあります。


十月三十一

色々と修正しました。


未だに待ってますというコメントを頂き、ついに私も覚悟を決めました。設定等を練り直した上で、改稿作業を行おうと思います。


かなりの内容、場合によってはタイトルの変更もあるかもしれませんが、それでも良いという方がいたら、是非読んでください。

どうやら、俺達は勇者召喚されたらしい。遂に頭が狂ったかと思うだろうが、事実だ。

光に包まれて目が覚めたら、そこは教室では無く見知らぬ場所だった。

どうやら、俺達のクラスのあった階にいた全員が召喚されたらしい。つまりクラスメート以外にも、他のクラスの奴らや、たまたま同じ階にいた先生や先輩後輩も召喚されたってことだ。

さて、なんで俺達が召喚されたのかだが、ありがちの勇者召喚らしい。魔王が復活したからどうにかしてくれだそうだ。

いきなりそんな事を言われてもって思うが、俺達はその話を受ける事になった。

何故か。それは、召喚された俺達の中の内の二人の存在だった。

一人は藤堂裕とうどうひろし。藤堂は正義感が強く、困ってる人がいたら迷いもなく手を貸すお人好し。容姿もイケメンで田所と同じくらいの人気者だ。まあ、俺からすれば唯の思い込みが激しいお節介野郎だが。正義感が強い藤堂だが、俺は彼に助けられた事は無い。どうやら藤堂は田所達が流した根も葉もない噂を信じているらしく、助けるどころか「君が悪いんだから自業自得だ。嫌なら反省して皆に謝るんだ!」などとのたまいやがった。俺はそれ以来、藤堂もかなり嫌っている。

話が逸れたが、そんな藤堂は持ち前の正義感(笑)で他の奴等を説得していった。

もう一人は田所。田所は自分達の状況などを他の奴らに説明して、受ける方がメリットがあると説得した。勿論、それが善意からの言葉では無い事など俺は知っている。しかし、あいつの本性を知らない他の奴らからすれば田所は完璧超人なので、皆は素直に聞いていた。

皆が二人の意見を聞き入れるのに時間は掛からなかった。

俺達を召喚した国、マルト神聖王国は勇者達には最大限の便宜を図ると言っていたのもあるだろう。

実際、マルト神聖王国は勇者達を優遇しているみたいだ。

何故、みたいと疑問系なのかと言うと、俺はその恩恵を受けて居ないからだ。

事の発端は、俺達がどうやって魔王率いる魔族達と戦うかとなった時だ。


「ステータスをみてください」


この言葉を聞いた時は、殆どがステータス?と疑問符を浮かべた。

詳しくきくと、なんでもこの世界で生物が繁栄する為に、神が作った成長システムらしい。

具体的な説明を受け、取り敢えずゲームに出てくる奴だと皆は認識した。

その項目として、体力、魔力、筋肉、耐性、敏捷、器用がある。

体力は文字通りスタミナを表している。ゼロになっても死にはしないが、気絶したり動け無くなる。HPではないとのこと。

魔力は魔法などの威力、魔法への抵抗力に関係がある様だ。RPGでの知力や精神と似た項目のらしい。一応は魔力量も表しているらしいが、魔力の数値がそのまま魔力量として反映される訳ではないとの事。詳しい話は専門的な事になるからと割愛された。

筋肉は文字通り力関係。

耐性は、防御力の他にも回復力や、痛みに強くなったりするとの事。

俊敏はスピードや、動作の初動、動きのキレに関係する。

器用は文字通り器用さだそうだ。しかし、ゲームと違って生産系ではなく、あらゆる動きの効率性にも影響するらしい。

そして次に称号だ。これもゲームと同じで色々と補正があるそうだ。補正が無い称号もあるらしいが。

次にスキルだ。スキルにもレベルと言うものが存在し、最大が10だそうだ。スキルレベルを簡単に説明すると、1・2が初心者、3・4で中級者で、5が上級者だ。そして、スキルレベル6で熟練者となり、7が達人、8はその技能での英雄となり、9が怪物、10で神の域となるらしい。何故らしいかと言うと、スキルレベル10を持っているのは文字通りの神クラスしかいないからだそうだ。と言うよりも、スキルレベルが8以上の人物など、物語の中ぐらいにしか存在しないとか。才能がある者が死ぬ気で鍛錬をしても、レベル7がやっとらしい。

そして最後に、ユニークスキル。これは他とは毛色が違う存在で、神様の作ったステータスではなく、個人の魂に由来する力だそうだ。一応、スキルの類としてステータスに写ってはいるが、スキルというよりも異能や性質に近く、その分強力だったり癖が強かったりするのだとか。

そして、ステータスの確認だが、これを最初に試したのは田所だ。


「ステータスオープン」


====================


田所タクミ:Lv1

称号:[勇者]

種族:人間


体力:450


魔力:400


筋力:350


耐性:100


敏捷:300


器用:250


スキル

・剣術Lv3


ユニークスキル


【剣聖の導き】剣術関係の才能に極大補正。身体能力超上昇。

【賢者の導き】全ての魔法系の才能に極大補正。保有魔力超上昇。


====================


流石は勇者ってところだろう。ステータスが凄まじい事になっていた。説明していた人も大層驚いていたので、勇者補正万歳だと思う。

他の奴らも次々にステータスを開いていく。田所程では無いみたいだが、全員がかなりのステータスを持っていた様だ。

藤堂も突出したステータスを持っていた様だが、距離が離れていたのでステータスは分からなかった。

俺も開いてみた。


「ステータスオープン」


====================


楠木氷:Lv1

称号:[勇者]

種族:人間


体力:1固定値


魔力:1固定値


筋力:1固定値


耐性:1固定値


敏捷:1固定値


器用:1固定値


スキル


無し


ユニークスキル


【??ぎゃ?】ステータスが反映されない。??を跳ね除ける。


【???】


====================


その時の絶望は言葉に出来ない。

弱かった。あまりにも俺のステータスは低かったのだ。

ステータスの値は全て固定値。つまり、どんなにレベルを上げてもこれ以上成長しないのだ。

そしてユニークスキルも酷い。俺のユニークスキルは、この世界の根幹に関わる部分を否定しやがったのだ。ステータスが反映されないという事は、俺の能力は地球の頃と変わらないという事。この時点で、運命は決まったようなものだった。

唯一希望となった【?】の部分も、ユニークスキルが目覚めている途中、目覚める可能性がある場合につく表示だそうだ。この表示が出ている人間は結構いるため、特別な事でもないのだという。しかも、その大部分は結局目覚めないらしい。


「アハハハァ!!オイ!クズの木のステータス、めちゃくちゃ低くいぞ!!」


周りにいた内の誰かが、俺のステータスを盗み見した事で、全てが白日に曝された。

慌ててステータスを消したが、既に周りに広がり始めていて、手遅れだった。

結局、俺のステータスは国の重鎮達の耳にも届き、役立たずのレッテルを貼られてしまった。

国としては役立たずに便宜を図る気は無いらしく、他の奴らが王城の客室で過ごしている中、俺は庭師が使う納屋が与えられた。お付きのメイドにそれぞれの家事などをやって貰っている中、俺は一人で全てをやらなければならない。更に、魔法や戦闘なども全て独学だ。俺意外の奴らは、宮廷魔術師と騎士団長がそれぞれ教えているらしい。

勝手に呼び出しといてこの扱いはなんだと思うが、口に出した所でどうしようも無い。


「あー、この諦めの良さが嫌になるな」


軽く自己嫌悪に陥る。実際どうしようも無いのだからしょうがないが、それでも自分が嫌になってしまう。


「………切り替えなきゃな。日課をやるか」


既に召喚から何日か経過している。ユニークスキルのお陰で、俺の能力は地球の時と大して変わっていない。それでも悪足掻きとして、毎日身体を鍛えているのだ。

まあ、それでもこの世界の子供並の身体能力しかないのだが。

内心で苦い思いを噛み締めていると、田所達がやってきた。


「おい、見ろよ。クズの木がなんかやってるぞ?」

「役立たずなのによくやるぜ」

「そう言ってやるなよ。役立たずでも努力はしてんだ。まあ、報われない努力だけどな」

「アーハッハ!優しいなタクミィ!!」


そう言って笑い声を上げる田所達。周りには取り巻きしか居ないから、田所も本性を表している。どうやら訓練が終わってからわざわざ来た様だ。御苦労な事だ。

俺が役立たずの烙印を押されてからは、田所達は余計に絡んでくる様になった。完全に奴らは自分達のが立場が上だと思ったのか、今まで傍観していた奴らまで手を出してくる始末だ。

また、この世界の世界観もそれを助長しているのだろう。この世界は貴族が未だに権力を持ち、刀剣類が現役な、典型的なファンタジーなのだ。日本なんかよりは遥かに物騒と言える。

日本では、一応は目立つ顔などには攻撃してこなかったが、今では訓練と称したリンチを堂々と行なわれている。本来だったらそれを止める教師達も、自己保身の為か、勇者の中でも上位の実力の林達に逆らう事は無い。

そして、今日も訓練と言う名のリンチが始まった。


「オラっ!!」


バキ!!


「ぐっ!?」

「まだまだぁ!!」


メキッ!!


「ガフッ!!」


一体どれほど殴られただろう。今回は筆頭勇者の田所も参加している為、いつもより酷い。全身を殴られ、幾つもの痣が出来る。骨もヒビが入っていると思う。

俺のステータスは三歳児程度だ。ステータスだけでも新人騎士すら超える田所達の攻撃は、まともに喰らったら致命傷だ。今のところはイジメで培った受け身でなんとかなってるが、田所達もまだレベルやスキルは低い。受けきれなくなるのも時間の問題だ。

このイジメが続けば、俺は近い未来に死ぬだろう。

抵抗は許されない。それは死期を早める悪手だ。だから、この感情は押し込める。決して表に出ない様に。

そして、俺はある決断をする。


(この城から離れるしかない)


だがどうやって?無力な子供がこの世界で親の庇護も無し生きていける訳が無い。


(だが、やるしかない)


どっち道死ぬかも知れないんだ。だったらやった方が良い。

覚悟を決めて、今夜決行する事にした。

しかし、その覚悟は遅かった。


「さて、おい佐藤」

「なんだ?」

「クズの木に回復魔法を掛けろ」

「了解」


この言葉に俺は不振がる。


(自分達でやっておいて回復魔法?何を企んでる?)


「何のつもりだ?」


痛む身体に鞭をうち、田所に質問する。


「あ?何だその態度?」

「あ、オイ!人が治してるそばから攻撃するな!」

「おっと、悪い悪い」

「ったく。んで、クズの木。お前の質問だが、お前にはダンジョンに来てもらう」

「……ダンジョン?俺なんか足手まといだろ?」

「俺達だってそう思ってるさ。お前みたいなクズが居ても意味がねぇってな」

「じゃあ、なんでだ?」

「団長命令だ。勇者を幾つかのグループに分けてダンジョンに潜るんだと。役立たずでも一応お前も勇者だからな。俺達が嫌々連れてくる事になったんだよ」

「まあ、役立たずでも弾除けにはなるだろうし、精々俺達を守ってくれよ?アーハッハ!!」

「あ、ちなみに拒否権は無いから」


そう言って、俺の事を引きずっていく田所達 。

決断は遅かったらしい。

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