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第十五 ライラとダンジョン攻略

そろそろ書きダメが無くなってきました。


十月三十一

色々と修正しました。


改稿作業終了

馬鹿騒ぎをした翌日。いや、翌日と言って良いのかは知らんが、体感時間的に翌日。

目を覚ますと、直ぐ隣にライラの顔があった。一瞬身体が硬直するが、そういや一緒に寝たんだっけと力を抜く。

結局あの後、俺はライラに捕まり、一緒に添い寝する事になったのだ。ライラ相手に思い切り暴れる訳にはいかない事、ライラを1人に出来ないために部屋から出られなかった事が敗因である。

ただまあ、緊張で寝不足になるかと思ったが、予想に反して熟睡出来た。久しぶりの寝具というのもあるが、それ以上に黒翼ベットが快適だったのだ。

割と本気で、今度から添い寝させて貰おうかなと考える次第。

それはそれとして、そろそろ起きるか。


「くぁぁ」


黒翼ベットの誘惑を振り切って、むくりと身体を起こす。

ついでに、未だに目を覚ます気配の無いライラ起こす事にした。


「ライラー。そろそろ起きるぞー」

「……んぅ……」

「おーい」

「……んー……」


意外と寝起き悪いなコイツ……。

呆れながらも、根気強くライラを揺さぶる。数分ぐらい経って、漸くライラが目を開けた。


「……ふぁぁ。なぁに……」

「やっと起きたか」

「……んー、コオリ……?」


ライラがボーっと俺を見てくる。

だが徐々に覚醒してきたようで、段々と目が据わって……待て、何で起きて早々不機嫌そうなんだ?

が、俺が何か言う前に、ライラがむんずと顔面を掴んできた。


「……ライラさん? どうなされました?」

「コオリ、ぐっすり寝てたね?」

「ま、まあな。お陰様で熟睡出来た」

「……だから怒ってるんだけど?」

「何で!?」


俺が本気で分からないという反応をしたら、ライラはギリギリと握力を込め始めた。

何だ? 特に痛い訳じゃないけど、少し心が痛いぞ? というか恐いぞ?


「……人が折角勇気だして誘ったのに、散々抵抗した挙句、いざ添い寝となったら途端に熟睡して……! 女の子なら誰でも怒るよ!」

「それ中々に無茶苦茶じゃない!?」


一緒に寝ろって言われたから渋々寝たのに!? 熟睡したら文句出るって酷くない!?


「せめて緊張するなりしてよ! ボクそんなに魅力無いの!?」

「いや、そういう訳じゃなくて……。ただ凄い寝心地良かったから……。これからもお願いしたいぐらい気持ち良くてなぁ……」

「…………ふ、ふーん? じゃあ何? コオリは今日も一緒に寝たいの?」

「ま、まあ、そうです」

「ちゃんとお願いして? 一緒に寝させてくださいって」

「是非とも、ライラさんと一緒に寝かせてください」

「……なら良し。一緒に寝てあげましょう」


お願いしたら、無事に安眠の許可が取れました。

あと、何か知らんが許されたらしい。今までの不機嫌さは何処へやら、一転して上機嫌になったライラが、バックパックを漁り始めた。


「朝ごはんは何が良いかなー? ボク、出来れば木の実が良いんだけどー」

「あー、どうすっか?」


何だったんだ? と思いながらも、藪をつついて蛇が出てきても困るので、俺は何も訊かずにライラと共にバックパックの中を漁り、朝食の用意を行ったのだった。







朝食も終わったので、移動を開始した。

今日はライラにとって初めてのダンジョン攻略なので、出来る限り気を抜かずに行こうと思う。


「あ、コオリ。バックパックはボクが持つよ」

「ん? いや、別に大丈夫だぞ?」

「あのねぇ。今までは1人だったのかもしれないけど、今はボクも居るんだよ? コオリは前衛なんだから、身軽な方が良いし、そっちの方が荷物も安全だよ」

「むぅ……」


俺としては、あまりそういう事はさせたくないのだが、ライラの言い分は一理あるのが問題だ。

確かに、今までの戦闘はバックパックがあるせいで苦労した。このバックパックは激しい戦闘に耐えられる程頑丈では無いので、雑魚との戦闘は襲ってきた瞬間を狙う迎撃スタイルしか取れなかったのだ。自分から殺りにいった場合、激しい動きに耐えられず肩紐辺りが逝きそうなのだ。というか一度逝った。

フロアマスターとの戦闘なんて、すげえ離れた場所に埋めたりしてたぐらいだしなぁ。

そういう意味では、バックパックがかなりの足枷になっていたのは間違い無い。ライラが持ってくれるなら、とても有難い。

だけど、見た目がなぁ。バックパックは結構デカいので、女の子であるライラに持たせた場合、見た目が大変宜しくない。バックパックを渡すと、俺の方が手ぶらになるので本当に宜しくない。


「もう。別にボクは負担とか思わないよ? これでもステータス結構高いし、それぐらいなら普通に持てるから」

「そういう問題じゃなくてなぁ。これはプライドの問題というか、見た目が完璧にロクでなしっぽい……あー」


バックパックをどっちが持つか話していたら、俺の警戒網に何かが引っかかった。

グダグダと話し合いながらも、ちゃんと警戒はしていたのである。

感じ取れる情報から、この階層では良く見かける種類の魔物だ。既に気配だけでなく、移動音や呼吸音も察知出来るぐらいには近づいている。

これは遭遇は避けられないか。


「ライラ」

「ん?どうしたの?」

「魔物だ」

「………よく分かったね。ボク全く分かんないだけど」

「経験と感覚器官の差だな。ちょっと下がってろ」


ライラに戦わせる気は無いので、後ろに下がってるよう指示を出す。


「ちょっと! ボクだって戦えるよ!?」

「そりゃ知ってるが、戦闘ぐらいは俺にさせてくれ。じゃないと俺の存在意義がな……」


もう既に、生活面ではライラに頼りきりになる片鱗が見えているのだ。これで戦闘までさせてしまっては、俺の立つ瀬が無い。

ライラを守るという心意気も無くは無いが、それ以上に俺が完全な役立たずになるのを防ぎたいのである。じゃないと紐じゃん俺。

そんな切実な気持ちを訴えると、流石にライラも折れてくれた。ちょっとばかし頬が引き攣っていたが。


「じゃ、じゃあ荷物は渡して! 戦わないなら、荷物はボクが持ってた方が良いでしょ?」

「……そうだな」


一瞬どうするか悩んだが、この辺りが妥協点かと考え、素直にライラにバックパックを渡した。

拒否すれば平行線になりかねないし、荷物を気にしなくて良いというのは本当に助かるからだ。

そんな訳で、ライラにバックパックを渡す。それと同時に、魔物が姿を表した。


「マンティコア!? 話には聞いてたけど、本当にあんな高位な魔物が彷徨いてるの!?」

「相変わらずキメェなぁ……」


俺とライラで反応に差があるが、それはもうこのダンジョンに対する認識の差と言える。

封印されていたライラの反応が一般的で、俺の反応はこのダンジョンに染まっている証明だ。すげえ嫌だけど。


「コオリ! やっぱりボクも戦うよ!?」

「いや、大丈夫だから。ちょっと下がっててくれ。直ぐ終わらせる」

「大丈夫なの!? 怪我しちゃ嫌だよ!?」


大袈裟な気もするが、世間一般ではライラの反応の方が正しいので、あまり強く言えないのがツラい所だ。

マンティコア。相変わらず高位の魔物で、ジジイの顔に獅子の胴体、コウモリの翼と蠍の尾を持つキメラの1種だ。知能も高く、老獪な悪知恵で対峙した相手を翻弄すると言われている。

図鑑で読んだ時、この世界ってメタくそキモイ生物いるなぁ、と呆れたのを今でも憶えている。

確か、あの図鑑では相当ヤバい魔物として書かれていた気がする。1体のマンティコアに村を5つ滅ぼされた事件があったとか、Aランクの冒険者パーティーでも油断すれば全滅するとか。

ただなぁ。


「雑魚なんだよなぁ……」


このダンジョン、そういう奴らゴロゴロいるから。フロアマスターに至っては、普通に国とか滅ぼしかねないから。


「どこが!?」

「まあ見とけって」


そう言ってから、マンティコアに突撃。マンティコアが反応するよりも速く、その頭を地面に叩き付けて潰した。

最後に返り血の掛かった身体を《洗浄》で綺麗にすれば、戦闘は終了だ。


「な? 雑魚だろコイツ」

「え?………っえ!?」


一瞬で終わった戦闘に、ライラが驚愕の声を上げる。


「マンティコアを一瞬で……!? コオリってこんなに強かったの!?」


今更そこかい。


「……もっとヤバい奴らと戦ってきたって、昨日話さなかったか?」


話したよな? 飯食いながら、大まかにだけどこのダンジョンのヤバさを話したよな?

俺がジト目を向けると、ライラは気まずそうに顔を逸らした。


「た、確かに、話には聞いてたけど、その……。 聞くのと見るのじゃ全然違うし、コオリってあんまり強そうに見えないし……」

「ここに来てそれ言うかね普通……」


強さを疑問視されると俺、他に何も残らないんだが……。


「そ、そうは言うけどさ! 布の服とバックパックだけで、武器とか一切持って無いし、魔法も大して使えないって言うし。流石にそれだと……」

「あー……」


それを言われると、あんまり強く言えねぇわ……。

非武装で魔法不得意な奴が、大した荷物も持たずに私服で彷徨いてる癖に、ここは危ないって言っても説得力はねえよな。


「んー、まあ、ライラの言い分も尤もだな。この姿じゃ、確かに強く見えねえわ」

「……うん。ゴメンね。信じるって言っておいて、コオリの事全然信じてなかった……」

「んな落ち込むなっての。別に気にしてねえよ。それにこれで分かったろ? 俺の強さと、このダンジョンのヤバさが」


しゅんするライラの額を軽く小突きながら、改めて俺は問うた。

お前の認識は正せたか? と。


「……うん。このダンジョンじゃ、ボクが戦っても足でまといだ。1体・2体ぐらいなら倒せるけど、それ以上はキツイかな」

「んー、それは卑下し過ぎな気がするがなぁ」


ライラの自己評価に、俺は苦笑する。

ダンジョンの危険度は概ね伝わったようだが、ちょっと危険度を上に見過ぎだ。

流石に雑魚の1体・2体でへばる程、ライラは弱くは無いだろう。黒翼の性能と、もう1つあるという回復系のユニークスキル、そしてライラの魔法能力があれば、このダンジョンの雑魚でも10体は同時に相手出来る筈。

あまり気乗りはしないが、自分の実力を正しく認識させる為に、一度は雑魚と戦わせるのもアリかもしれない。


「ま、兎も角だ。基本的な戦闘は任せてくれ。その分、生活面ではライラに頼りきりになるだろうからな」

「……うん」


何か妙な間があった気がするが、一応は頷いてくれたので良しとしよう。


「んじゃ、行くか」

「え!? 行っちゃうの!?」

「んあ?」


再び歩きだそうかというところで、ライラから待ったが掛かる。どした?


「マンティコアは!? 折角倒したんだから素材とか取らないの? 高位の魔物って高いのに」

「取ってどうすんだよ。持ち運べないじゃん」


バックパックだけだぞ俺の運搬手段。


「いや、小さくて高い部分だけ剥ぎとれば良いんじゃ?」

「何処を剥ぎとれば良いのか知らんし俺」


俺がマンティコアから剥ぎとれるのって、精々が肉だぞ。


「……え? コオリって冒険者でしょ? そういう知識とか持ってるでしょ?」

「冒険者じゃねえぞ俺」

「え!?」


滅茶苦茶驚かれてしまった。

どうもライラは、俺の事を冒険者だと思ってたらしい。


「こんな危ないダンジョンにソロで潜ってるから、てっきり凄腕の冒険者なのかと思ってたのに……」

「凄腕だったらここまで苦労してないんだよなぁ……」


そういう技術を1つでも持ってたら、今までの攻略がもっと楽になってたろうなぁ。

俺がそんな風に過去を思い返している横で、ライラが何か覚悟を決めていた。


「どした? 何か妙に気合い入ってるが」

「あ、あのっ!」

「お、おう?」


やけに真剣な様子のライラに、少しばかり驚いてしまった。


「コオリ、ボクはキミの事が知りたい。キミが何者なのかが知りたいんだ! 1回断らたのに厚かましいお願いだと思う。それでも、どうかボクにキミの事を教えて欲しい!」

「ん? ああ、良いぞ」

「…………あれ?」


俺が普通に頷いたら、ライラがポカンとした顔を浮かべた。


「……え? 良いの?」

「別に良いぞ」

「……え、でも、コオリって訳ありなんでしょ?」

「まあ、訳ありっちゃ訳ありだがな。そこまで隠すような事でも無いし」

「……昨日、ボクが訊いたら誤魔化したじゃん」

「別に誤魔化してねえよ。長くなるし、それよりダンジョンについて話す方が優先度高いって言ったろうが」


言ったよな? 俺、ちゃんとそう言ったよな?


「……てっきり、話したくないのかと……」

「んー、進んで話す程の内容では無いがなぁ。ライラも過去を話してくれたし、俺だけ拒否するつもりは無いぞ」

「……はぁぁ。何だよもぅ……。すっごい勇気だして訊いたのにぃ……」

「ははは」


ガクっと脱力するライラを見て、ついつい笑ってしまった。


「んじゃ、ちょっと長いが、攻略中の暇つぶしと思って聞いてくれや」

「流石にそんな気軽には聞かないけど……」


苦笑するライラを見ながら、俺はこれまでの出来事を振り返る。


「俺、これでも勇者だったんだぜ?」

コオリくんのステータスが色々と可笑しくなってましたね(笑)。


ステータスが見辛かったらコメント下さい。頑張って修正します。


指摘が有ったので修正します。

鑑定スキルが二つありました。

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