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掌編小説

インソムニア~不眠症~

作者: 風富来人

 夜など来なければいいのに……。




 昼間の喧騒(けんそう)は、夜が近づくに連れて静かになっていき、深夜には時折車の走る音と、虫の鳴き声だけが聞こえてくる。

 人々が寝静まる深夜、不眠症の僕の相手は誰もしてくれない。




 すやすやと寝息を立てて眠る妻の幸せそうな顔。妻はどんな夢を見ているのだろう。




 薬を飲まずには僕は眠れない。僕はいつから眠る事が下手になったのだろう……。




 自室でパソコンに向かい、ネットサーフィンをする。SNS(ソーシャルネットワークサービス)を覗いても、僕の友人や知人はログインしていない。ログインしている友人や知人を見つけても、こちらからは声をかけない。不眠症の僕に付き合っていたら、相手に迷惑がかかる。




 オンラインゲームはやらない。顔も本名も知らない人達と、仮想空間でモンスターを相手に戦っている暇は僕には無い。僕は毎晩、不眠症というモンスターと戦っている。




 眠くなるまでの間、渡す事の無い手紙を、パソコンのワープロソフトを使ってしたためる。

 夜の静寂の中、自室でパソコンのキーボードを叩く音と、マウスのクリック音だけが耳に入ってくる。




 だんだん眠くなってきた。どうやら薬が効き始めたようだ。ようやく不眠症というモンスターとの戦いから解放される。

 しばしの間の休戦、今夜もまた戦わなくてはならない。

 誰にも理解されない孤独な戦いは続く。

 空が白んできた頃、僕はひと時の眠りについた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても気の毒ですね。 二分もあれば眠ってしまう私には、苦悩が理解できません。 きっと電源スイッチが固着しているのですね。 でも、新型は構造が複雑なんです。スイッチ本体が悪いのか、リレーが悪…
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