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プロローグ:終わりの果てで選ぶもの
ウェブサイト「スマイリングポップ」掲載の同タイトルを2008年に同人誌として加筆修正したものを、着想から節目の年と言うことでこちらに掲載することにしました。
よろしくお願い致します。
プロローグ
「来たれ、――」
視界が白くぼやけていく。
目の前の、鬼の形相をした「はじまりの犠牲者」も、自らを盾にして戦ってくれた、勇敢で過保護な「守護者」のことも。
さよならは言わない。ただ、心からの「ありがとう」を。
これは誰に決められたわけでもなく、自分が望んだこと。
後悔はない。
世界でいちばん大好きな人たちと離れてしまうのだとしても――。
みんな、元気でね。いっぱい生きてね。
魂が入れ替わるのなら、別の世界で自分のままいられるのかもしれない。
そうだったらいいな。みんなのことを覚えていられたらいいな。
そして、そちらからもあなたのことが見えるなら。
その時は、何百回でも何千回でも、あなたのことが好きだと叫ぼう。
伝わらなくてもいい。
大好きだよ。最初で最後のプロポーズ、応えられなくってごめんね。
彼女はゆっくりと目を閉じた。