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第1話~入学式(前編)~

どうも、作者の蒼島 隆堵です。


特にいうことはありませんw


では、第1話どうぞ。

 4月、俺は高校の入学式を迎えていた。


 ほとんどの、新入生は高校生活という新しい日常に期待を(ふく)らませていることだろう。


 ん?俺?……ないな。

いつもと変わらない日常が続くことだろうというある種の絶望(かなしみ)はあるがな。


そんなことを考えながら、俺はこれから通うことになる「私立 青洋学園(せいようがくえん)」に続く(ゆる)やかな坂を上り歩いていた。


 青洋学園は1年前まで女子校で有名であったが、年々入学希望者が少なくなり、今年から共学へと変更された学園である。

最近まで女子校であったために女子の比率はかなり高い。

制服は男女共にブレザーであり、男子は学校指定のネクタイ、女子は学校指定のネクタイリボンを着けなければいけない。

ネクタイとネクタイリボンは学年毎に色が分かれており、今年は1年が青、2年が緑、3年が赤となっている。


 そんな所に俺が入学を希望したのは、別に女子が多いからとかそういうの理由ではない。

元々そんなに頭は良くなかったし、学園が入学希望者を集めるために入試合格ラインを下げたために、ここを選んだだけだ。

……あと、歩いて通える程度の距離しかなかったためというのも選択した理由に入っていたりする。


 周りを見ると、登校しているのはほとんどが青洋学園の制服を着た女子だ。

ネクタイリボンの色は青が多いため、ほとんどが入学式へと向かう新入生なのだろう。もちろんのこと、俺のネクタイの色も青だ。

そんな中を歩いている俺は、男子が周りにいないためにある種の疎外感(そがいかん)を感じながら、早く正門に着かないのかと思いながらも歩き続ける。


 (しばら)く坂を上り歩くと、門が見えてきた。

やっと着くのかと思いながら門までのあと少しの坂を歩く。



「そこの貴方、ちょっといいかしら?」


 (ようや)く門に着いた俺は、横から急に声をかけられた。

誰かと思い、振り向くと……そこには、黑髪を背中の真ん中辺りまで伸ばした清楚系の女子が立っている。

俺には見覚えのない女子なので、この学園の生徒なのだろう。

ネクタイリボンの色からして2年生であることが分かる。


(2年生の人か。通りで見覚えがないはずだ。)

そんなことを思いながら、俺は返事を返す。


「何か用ですか?」


ちょっと素っ気なかったと思ったが、その2年生(以後、先輩と称す)は気にしていないようで


「いえ、貴方のネクタイが(ゆが)んでいたから呼び止めただけよ。

 青のネクタイだから新入生なんでしょ?入学式に出るのだから身嗜(みだしな)みくらいちゃんとしておきなさいな。」


と、俺のネクタイに指を指しながら普通に返事を返してきた。

ネクタイのほうを見てみると、確かに歪んで見える。

母親に教わりながらだが、初めてネクタイを結んだためだろう。(この時、母親は見ているだけだった。)


「ご指摘(してき)ありがとうございます。」


そう返しながら、俺はネクタイを解き再度結んでみたが、先ほどとあまり変わりなく見える。

2、3度それを繰り返していると、その先輩はじれったいと思ったのか急に俺の手からネクタイを取り、結び始めた。


諸君(しょくん)、この女の行動どう思う?

そりゃあ、ある意味では一部の男子諸君にはとてもとても幸運なイベントなのかもしれないが、俺にとっては最悪だ。

なぜかって?それは…












それは、俺が頑張ってネクタイを結ぶ努力をしているのに、その努力を踏みにじりやがった!






俺は自分で努力するのも、誰かが努力するのも、とても応援をしたくなる。(まぁ、自分にはしないが…。)

よく、「お前そういうの熱血派って言って暑苦しいんだぜ?」って言われたことがあるが、関係ない。

人が努力をしていることは、この生きている中でとても美しいものだと思う。

それを応援することに、周りの目なんて関係ない。


そんな俺だからこそ、この女の行動が許せない。


この、女どうしてやろうか…


「…すいません。」


とは言っても相手側からすれば、慣れないネクタイを結べないでいるのだろうと思い、厚意でやっていることなので礼は言っておく。

だからと言って、許すわけではないが。


「別に気にしないで。ネクタイ結ぶの慣れていないんでしょ?」


どうやら、俺の予想は当たっていたようだ。

確かに、慣れてはいないのだが…


「確かに慣れてはいないんですが、慣れるためにも俺がやったほうがいいと思うんですけど?」


俺は、あえてここで勝負(?)を()けてみようと思う。

さて、これにどう切り替えしてくる?


「…確かにそうですね。では、綺麗な結び方を教えますのでやってみてください。」


ほう、中々話の分かる先輩ではないか。少しだけ、考え直してやろう。


「ありがとう御座います。」


と、礼を返して、先輩に教わりながら再度結び始める。


「まずここは、こうして…。」


「ふむふむ。」


「それで、ここはこっちに持ってきて…。」


「なるほど。」


「それで、これをこっちに持ってきて、あとは間から通せば…。」


「ここをこうしてっと…。おぉ、綺麗に結べた。」


確かに、自分でやっていた時より綺麗に見える。

なぜ、ふと疑問に思ったので


「ネクタイ結び慣れているんですか?」


と、聞いてみることにした。


「いえ、よく父のを結んでいましたから。」


なるほど…っと頷いた。それなら、納得がいく。

そんなことを考えていると


「それにしても、まさかあんなことを言われるとは思いませんでした。」


と、先輩が言ってきた。

ん?あんなこと?


「失礼ですが、あんなこととは?」


意味が分からなかったので、素直に聞いてみた。


「先ほど、慣れるために自分でなさると仰られたことです。」


ああ、そういうことか。


「そうですか?普通だと思うんですが…。」


「いいえ、普通では中々言えないことだと私は思いますよ?それはとても大事なことだと思います。」


「そう言われると、なんか恥ずかしいですね。」


一度もそんなこと言われたことのなかった俺には、とても新鮮で照れてしまった。


「ふふふ、これも何かの(えん)です。私は、青洋学園2年の聖里(ひじりざと) 友香(ゆうか)。貴方のお名前を伺っても?」


ここで、俺に名前なんて俗物(ぞくぶつ)はねぇからとか言ったら、絶対イタい目で見られるんだろうなぁ。

ということで、普通に返すことにする。


「俺は、今日から青洋学園に通うことになる1年の見守(みもり) 信也(しんや)です、聖里先輩。」


「見守さんね。では、また後で。」


「はい、ではまた。」


そう言って俺は聖里先輩と別れ、入学式の行われる体育館へと向かった。



最後まで読んで頂きありがとうございます。

次回の第2話の投稿は、いつになるか分かりません^^;


作者が、4月から高3になり大学への勉強もしないといけないというのが理由です。

できるだけ、時間ができたら少しずつ書いていきたいと思うので、待っていただければありがたいと思います。


それでは、皆さん次回お会いいたしましょうm(_ _)m

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