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第40話 ひより編


私は裏切り者だ


今頃、ゆりちゃんはきっと泣いている

私のした裏切り行為に、顔にせずとも灯ちゃんは悲しんでいる

ひとり苦しんでいる有珠ちゃんに、私は何もしてあげられなかった


せっかく、ここまでこれたのに、このままいけば作戦も成功できたのに

連続通り魔を捕まえて、皆揃ってライブにも行けたのに…


期待をさせるだけさせて、最後には私だけ裏切るように離れてしまった

勝手ですよね、友達として重罪ですよね…


本当を言うと、何十回と悩みました、ギリギリまでどうにか方法はないか考えました


迫られた二択


でも、私の決断を後押ししたのは、あの日、夕暮れの非常階段でゆりちゃんからいただいた言葉でした


‘もし迷っているなら、私は会うべきだと思う’


…まさしく、今の私の心を撃ち抜かれました

迷っていました、それも壊れるくらいまでに


作戦に行っても、たぶん今の私なら中途半端に迷惑をかけるだけ

ゆりちゃんや、皆なら、それはきっと望んでいない


もし、傷つけるのと代わりないなら


だったらと…だから

私はゆりちゃんにメールを送りました

もう戻れないよう、自分に釘を打ち、決して仲間に甘えるような迷惑をかけないように

こちらへ踏み出し、選択させていただきました



一年経ってもう一度会ったあの人は、高校生になっていて、どこか雰囲気も変わっていました


髪型も変わってしまって、少し背も伸びていたような気がして、私の知らない制服を着ていました


しかし、それでもまだ、私のあげた靴下を履いていたんです

まだ自分との関係がかろうじて残っていました


なのに…それを私は気持ち悪いだなんて言っている

あなたとの思い出のカーディガンを着ている私が、言える資格なんてないのに


あなたも、私と同じ気持ちなのでしょうか?


あの日あなたと再会して泣いたのは、悲しかっただけだからじゃなくて

もう一生見れることがないと思っていた…あなたの顔が見れた、声が聞けた

それがたまらず、嬉しくて…涙が止まらなかったんです

だから苦しかった


せっかく前に進もうとしたのに、断ち切ったあなたはまた私の前に現れて

それで、本当の最後を告げに来た


私とあなたの関係は、まだ恋人ですか?、友達ですか? それとも…他人ですか?


あなたのしたことは許せません、結果的に私の身体に障害を残しました

それは今も癒えてはいません

でも、責める権利も私にはありません


きっとあなたは…

キスや身体を寄せることに抵抗を感じて、あいまいな関係をとり、口数の少ない恋人としての臆病な私のそういう距離が焦りと不安を与えて、そうさせてしまったんですよね


それを、…勝手に私から消えたりしたくせに、逃げたくせに


あげくの果てには、ウィザードという犯罪行為を犯してしまったくせに


本当に、ごめんなさい


花火の夜を最後に、この街を去る貴方に、私は何と答えれば正解になるのでしょうか?

傷を与えてしまった私は、どう接すればいいのでしょうか?


ねぇ、…拓未


触れない不良品の私でも…、まだ好きでいてくれる?


出会ったときのように、びしょびしょに濡れた私に見せてくれた笑顔のように


また同じように笑ってくれる?



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