表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/19

『戦支度  森の軍人工房』

 まだ霧が残る朝の森。

 レオナルディアは陽の向きと風の流れから安全圏を見極め、谷に面した岩陰に腰を下ろした。

 木々に囲まれ、死角が少ない地形。ここを、一時的な拠点とする。


「さて――狩る準備といこうか」


 背後に作った即席の枝ブロックに背中を預けながら、ストレージから折り畳み式の軍用ナイフとマルチツールを取り出す。


 まずは弓。


 使えそうな木を数種類選び、ナイフで慎重に芯を削っていく。

 湿度、柔軟性、繊維の密度――素材の“手触り”で全てを判断する。


「これは……ヤチグリ系の樹木か? 火には弱そうだが、しなりは悪くない」


 数時間の作業。

 太陽の動きでおおよその経過時間を測る。

 ついに、**一本の長弓と三本の木製矢**が完成。


 > 《スキル獲得:装備作成 Lv1》

 > 《効果:簡易武具の作成効率上昇、耐久性+15%》


(これでいい。精密性はまだ無いが、威力は十分)


 同時進行で作った槍も、ストレージへ収納。

 次に、植物採取に取りかかる。


 森に自生している十数種類の草花。

 葉の形、根の太さ、匂い、樹液の色――

 一つずつ手に取り、**脳内に響く鑑定結果**を確認していく。


 > 《鑑定:薬草(中級)/毒草(軽度)/幻覚性植物(警戒)》

 > 《収集数に応じて錬金術スキルツリー解放》


「……やっぱりな。軍医の講習が役立つとは」


 かつて軍で学んだ戦地薬学の知識が、ここで活きてくる。

 毒も薬も、使い方次第で“武器”になる。


 錬金キットの代用品として、空き缶と蒸留水を活用し、**簡易調合に成功**。


 > 《スキル獲得:錬金術 Lv1》

 > 《効果:回復薬(小)、毒薬(微)などの初級調合が可能に》


「初級とはいえ、回復薬と毒薬が作れるなら十分だ」


 ラベル代わりに紐の色を分けて小瓶に収納。

 すべてストレージへ整理して、次の瞬間――


 ――ガサリ。


 木々の奥、音が鳴る。


 レオナルディアは即座に弓に手をかける。

 **矢は三本。毒塗布済み。罠もある。戦える準備は整っている。**


(よし……狩りの時間だ)


 今やレオナルディアの表情からは、転生直後の混乱は完全に消えていた。

 代わりに宿るのは――**“狩る者”の目**だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ