「黒煙の先に」
朝の森を抜け、人里へと続く小道を進むレオナルディア。ピクシーは上空を飛び、周囲の安全を見守り、カーバンクルは鋭く辺りを警戒している。朝露に濡れた薬草を摘みながら、彼は慎重に回復薬と毒消し薬を調合し、ストレージにしまい込んだ。
森の息吹を感じつつ、彼の視線は次第に開けた土地のほうへと向かう。だが、その静かな旅路は突如として不穏な空気に包まれた。
遠くから突然、魔法の爆発音が響き、焦げた匂いと黒煙が立ち昇るのが見える。カーバンクルが緊張のあまり背を低くし、唸り声を漏らした。
「何かが起きている……」
音の方向へと慎重に近づくと、視界に入ったのは二百を超える魔獣たちに囲まれた一団。商隊の馬車と護衛たちが激しく戦い、疲弊しきった様子だった。敵の魔獣はまだ攻撃を仕掛けており、いつ戦局が逆転してもおかしくない緊迫感が漂っている。
レオナルディアは素早く弓を構え、遠くから狙いを定めて矢を放った。彼の一射一射が、敵の動きを妨げ、護衛たちの負担を少しでも軽くするためのものだ。
「助けるべきか……しかし、今はまだここで動くべきではないかもしれない。」
戦いの最中、彼の判断は次の行動へと繋がっていく。




