プロローグ「異界の森へ──転移の刻」
レオナルディア・ディカプリアスは、世界的にも名高いレッドベレー特殊部隊の精鋭だった。ロシアとアメリカの血を引き、幼少期から合気道とマーシャルアーツを極めた彼は、どんな状況でも冷静に対処する力を持っていた。
そんな彼が、わずかな休暇を取って日本のパワースポット巡りを楽しんでいた。歴史と自然の融合した土地を訪れ、心身の調和を求めていたのだ。
しかし、ある日の午後、彼が訪れた山奥の神社で、突如として周囲の空間が歪み始めた。目の前に眩い光が現れ、その光は次第に彼を包み込んでいく。
「なんだ、これは……?」
レオナルディアは咄嗟に身構えたが、その光は止まらず、全身を飲み込んでしまった。
気がつくと、彼は見知らぬ森の中に倒れていた。周囲を見回すと、自分の手元に異変を感じる。鏡代わりの水面に映った顔は、若くなり、特徴的な長い耳を持つ「耳長族」の姿になっていた。
同時に脳裏に新たな感覚が広がる。転生特典と呼ぶべきもの――周囲の物の状態や能力を即座に見抜く「鑑定」、全世界の言語を理解し話せる「万能言語」、そして必要なアイテムを自在に収納・取り出しできる「アイテムストレージ」だ。
戸惑いながらも、彼はこの異世界で生き抜くため、全てを受け入れる決意を固めた。