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隣人の寝言に幸あれ

作者: めれ

数ある作品の中で私の作品に指を止めて頂き、誠にありがとうございます。

このお話は現在執筆をしております【転生しない】という小説のアナザーストーリーとして書かせて頂きました。もしよろしければ、そちらの小説の方も見て頂ければ幸いでございます。

 就職が決まり、新生活にむけて引っ越した場所はワンルームで5万円の割と綺麗なアパートだった。

大家さんからは壁の凹みがあるけどその分安くするからと言われ、駅近でコンビニもすぐそばなので即決した。


ただ問題が一つ。



⋯⋯⋯⋯⋯⋯いけーーーー!!!⋯⋯⋯⋯⋯⋯


【今は地上波でスポーツやってないんだよ!DAZNなのか?】



今日も隣人の声がうるさい。いまの声は大家さんの声だ。

隣人と大家さんは仲がいいらしく、時折隣人宅に集まってスポーツ観戦でもしてるかのような歓声が聞こえてくる。

壁は薄く話し声も微かに聞こえる。

最近では夜になると泣き声が聞こえたりもする。

以前、何度か隣人とゴミを出す際にあったが、猫背、前髪で目が隠れていて、服もそこまでオシャレに気をかけてない地味な印象だった。

だが、最近の隣人は背筋がしっかりと伸びていて歩き方も優雅で可憐である。挨拶も接客業の模範になりそうなぐらい語先後礼が綺麗だ。まるで別人になったような印象である。



とある1日①


⋯⋯⋯⋯⋯やめて、兄様!お願い!イヤーーー!⋯⋯⋯⋯⋯


【なに?お兄さんに何されてるの?】


とある1日②

⋯⋯⋯⋯⋯エド、エド、エドぉーーー!⋯⋯⋯⋯⋯⋯


【江戸?ここは東京で江戸だけども、昔の地名を叫ぶってどんな夢なん!】


とある1日③

⋯⋯⋯⋯⋯ロバート!まって!行かないで!⋯⋯⋯⋯⋯


【待ってやれよ!この子を待ってやることでこの子も救われて、俺の睡眠も救われるんだぞ!一石二鳥やろ!】


全て叫び声のような苦しそうな寝言ばかりである。うるさくて眠れやしない。

あまりにもうるさいので注意しに行こうとも考えたが、小心者の俺には言いに行く勇気がでなかった。

引越しを決め、大家さんに話し退去する日が決まった。隣人の寝言の話もして退去費用は無料になった。


このアパート最終日前夜



⋯⋯⋯⋯⋯とく子さん、ありがとう⋯⋯⋯⋯⋯



最後の日は寝言で起きたのか、深夜から朝までずっとすすり泣いていた。


イライラして引越しを決めたが毎晩苦しそうに寝言を話す隣人を心のどこかで心配している自分がいた。

最後に幸せそうな寝言を聞けて少しホッとした。

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