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アブノーマル  作者: 秋田こまち
第一章
13/17

第十一説(?) 隠世大忘年会

言ってしまえば特別編です。時間の都合でめっちゃ短い。

[序]

礼「導入なんていらねぇ!」

 ウェッ!?

[ちゃんとやりますよ]

 一年の終わり。

 それは人生の一つの節目とも言える。

『あけましておめでとう!』

 多くの声が聞こえてくる。

 その後ここに広がったのは、普段感じることのできない喧騒。

 今年もこの季節がやってくる。

 二〇一四年、隠世大忘年会開催。


 だと、良かったんだけどなぁ・・・


[破]

「忘年会やるぜっ。三〇秒で支度しな!」

「・・・元気ですね」

 新月庵の扉が勢いよく開く。

 十二月七日。

 先日の寒さもあり、外は雪が降っていた。

「まあ、やるの大晦日なんだけどね」

「何で来たのよ・・・」

「それは愛しい娘に会いたかったから」

 礼華は天音に抱きつく。

「邪魔・・・今扉の補修しようと思ったのに・・・」

「・・・何あの穴・・・」

「結月くんが端白ちゃんを吹っ飛ばして端白ちゃんが開けた穴」

「どういう事?」

「知りませんよ。結月くんいたほうが良いでしょ?起こして来ます」

 天音は階段に向かう。

「上がっていい?」

「・・・いいんじゃないです?」

「わーいありがとー」

 階段を上がる。

 結月の部屋の扉を三回叩く。

 扉を開くと、結月が壁に背を向けてすやすやと眠っていた。

「まるで眠り姫ね」

「かわいいでしょ?」

「まあ、いつもよりは・・・」

 天音は結月の身体を揺する。

「起きてください。もう朝ですよ」

「んぅ?・・・ん・・・」

 結月は起き上がり、目を擦る。

「ごはん?」

「・・・そうですね」

「ちょっとまってね。じゅんびするからッ―――!?」

「三日ぶりね結月」

「帰れ!」

 結月は礼華に上段蹴りを食らわせようとする。が、余裕を持った動作で避けられる。

 足を踏み外して、転ぶ。

「ぽへっ」

 結月は両手で身体を支え、立ち上がる。

「目、覚めた」

「ああばっちし」

 台所に立つ。

「で、何のようだ?」

「宴会料理を作って欲しいなぁって」

 媚びるような声で話される。

「大晦日に宴会をやりたいの。けど、この近辺で料理できて空いてる人ってあなたくらいしかいないのよ」

「噂の忘年会だろ?なんでこの近辺なんだ。前はもっと都心とか朝廷でやってたろ」

「あー・・・朝廷?朝廷はね・・・ほら、あなた一回も顔見せたことなかったじゃない。この近くの方が良いのかなーって」

「朝廷で良いだろそれ・・・どーせ電車賃払うのがめんどくさいとかそういう理由だろ?」

 礼華は後ろに仰け反る。

「な、なんでそれを・・・」

「端白から聞いた。財布から出てるん(ポケットマネー)でしょ?それ」

「・・・・」

 図星。

 結月は二人分の皿を机に置く。

「私の分は・・・?」

「当然ないけど」


 十二月二六日。宴会まであと五日。

「ごめんください」

 親戚の家だが、ちゃんと挨拶するのが礼儀というもの。

 社務所の硝子戸が開く。

「・・・誰?貴女・・・」

「え、宴会の準備に参りました。く、枸城、結月と、申します」

 人前だからか、余り声が出ない。

「宴会?そんなの聞いて・・・」

「賢者の話なのだけれど、聞いていなかったの?」

 巫女の後ろから、結月よりも背の低い少女が現れる。

「ッ!?な、七霧様!?」

「にしてもあなた、その着物・・・・もしかして京香のチョイス?とってもきれいで・・・」

「ふんっ!」

 身体にまとわりつくように抱きついてきた少女に巴投げを仕掛ける。

 大きく吹き飛び、境内の林に突っ込む。

「ばぁぁぁぁぁちゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

 縁側から綾戸が駆け出していく。

「ゆ、結月、抱きついてきたからって実の祖母をいきなり投げ飛ばすのはないんじゃない?」

「・・・そんな老いてるわけじゃないし良いでしょ」

「よくなあい」

 七霧は林の植木からひょこっと頭を覗かせて言った。

「死ぬかと思った・・・・」

「「死なないでしょ」」

「孫が二人がかりで襲ってくるよう・・・」

「あ、あの、七霧様。この女の子は・・・」

「ああそれ私の孫」

「ま、孫ぉ!?」


「ごめんくださーい」

 さらなる来客。

 明るく鬱陶しい声に、先程の巫女改め東條凛は頭を抱えた。

「あんたか」

「何ですかそのリアクション!別に私が居たって良い・・・」

 緑色の瞳に何やら白い人影が映る。

「奥に他にいます?」

「ええ。宴会の手伝いに来たんだと。賢者の人選よ」

「賢者様の?一体どんな方なんです?」

「悪く言えば陰気。良く言えば大人しい」

「普通それ反対なんですよ」

「あんたとはまるで真逆ね」

「なんですかそれ嫌がらせです?」

「皮肉よ」

 言うかね普通。(何も書くことがなくなった図)

 廊下を二人の巫女が歩いていく。

 居間はきれいに掃除されているが、座布団はかなり使い込んでいるのか、ツギハギだらけ。畳はもう色褪せている。

 ちゃぶ台を二人の幼女と神主(仮)である綾戸が囲んでいた。

「・・・幼女が増え・・・」

「綾兄。包丁貸して」

「待て待て何に使う。まさか、殺す気じゃないだろうね?」

「大丈夫。自分の手のひらに刺すだけの簡単な作業」

「結果的に人一人死ぬというか下手すれば三人死ぬけど!?」

「・・・・その、誰です?このコ・・・・」

 綾と凛は顔を見合わせる。

「知らん」

狂人(いとこ)

「孫」

 真恵は結月にキラキラと輝く目を向ける。

「何処の巫女さんなんですか!?」

「み、巫女じゃないデス・・・」

「職業は?」

「た、退治屋です」

「顔きれいですね」

「ど、どうも。貴女のほうがお綺麗ですが・・・」

 強制自己紹介のような会話。

 結月は真恵の質面攻めに狼狽える。

「ヤダ・・・・ウチのどんどんお世辞がうまく・・・」

「・・・・・多分、お世辞のつもりで言ってないと思うな。本人は」

 

 準備は着々と進んでいった。

 レシピは一人が厳選、それを二人でそれぞれ種族や宗教に合わせて添削していくという作業を交代でやっていた。

「にしても、よくこんな数捌き切れますね・・・」

「慣れてるので。あ、これ大豆抜きにできませんか?」

「一回作ってみないとわからないわね・・・」

「材料費は・・・賢者に一任すればいいか」

「それ駄目なのでは?」

「そうよ。だってあの賢者よ?」

「大丈夫ですよ。あの人の財布スられまくってますし」

「「え?」」

「前本人が消えたときとか式神が財布から十万出してましたし」

「「えぇ・・・・・」」

「しかもその娘が大食いですからね・・・あ、これお願いします」

「ええ」


 竹の塚警察署。

 普段一般人が寄り付かないこの場所に、二人の少女が立っていた。

「お、きたきた」

 結月は出てくる二人の少年に手を振る。手を振りかえす紫髪のキャラ被りくんこと紫電と赤髪の何故か死んだ顔をした朱憐。そして何故か結月の腕に抱きついてくる天音。

「あ、天音さん?」

「・・・・・・」

 朱憐の顔が更に死んでいく。

「・・・実質的に振られたな」

「・・・まだ、二回しか会ってないのに・・・五回しか出番ないのに・・・」

 ナイチャッタ。

「何で泣いてるんだろ?あいつ・・・」

 そしてそれを遠目で見つめる人からの好意に人一倍疎い女、枸城結月。

 



 当日。

「思った以上に人が来ないわね」

 礼華が呟く。

 会場である境内の中はもぬけの殻だった。もっと要人達が来ている雰囲気というか、そんな光景を

 曰く、足立区(あんなところ)にはもう行きたくないとのこと。

「失礼な話だよなあ。千住とかだと皆来るのに・・・」

「まあ、千住はきれいだし・・・」

 別の方向を見てみれば、優作は綾戸と飲んでおり、端白は礼華と七霧の相手として仲良く飲んでいた。

 天音は空の更に高速で料理を取り、なくなれば即座に補填を繰り返していた。

「まあ、これで楽できるのも宴会の魅力・・・かなあ」

「・・・いつもはそんな大変なの?」

「前までそんなんじゃなかったんですがね・・・賢者の娘(あのこ)が来てから大変なことに・・・」

「そんな大食いなのね」

「多分あの子なら龍人種と食べる量でタメはれますね」

「えぇ・・・」

「あ、あの・・・」

 そんな結月に一人、優作と同じ髪の色を持った少女が話しかける。

「枸城結月さん・・・ですか?」

「そ、そうですけど・・・」

「雨傘蒼梓(そうじ)と言います。そ、その、兄がいつもお世話になっています・・・」

「い、いえいえ。優作さんの妹さん?」

「は、はい。唐突なんですが、じ、実はお願いがあって」

「お、お願い・・・?」

「そ、その、あの、わ、私を・・・」

 蒼梓は緊張したのか、挙動不審になる。

「わ、私を弟子にしてください!」

「へ?」

[急]

「なんて事をお宅の妹さんに言われてだね」

「何で結月?」

「なんでも、優作さんは刀使わないから、結構使うと噂の私に聞きに来たんだと」

「はえー」

 優作と結月は縁側で酒を飲み交わしていた。

「しっかし、お前が飲むなんて珍しいこともあるもんだなぁ」

「本当は飲みたくないんだよ。碌なことにならんから」

「またまたあ。本当は飲みたいくせに・・・」

「私が飲酒したら毎度怪奇現象が起こるのは知ってるでしょ?」

 結月は何故か酒を飲むと、毎度毎度謎の恐怖現象が起きるらしい。これは端白が言っていたことだが、実際、幽霊が出て来たことがあるらしい。

「ゆづきーもっとのもーよー」

「そうよー。ひとりだけのまないなんてゆるさないんだから〜」

「ふふっ。ゆづき。かわいい」

「ゆづきくーん。こっちきてもっとのみましょー。きっとたのしいですよぉ〜」

 優作が少しにやける。

「好かれてるな」

「そうかな?」

「そうとも。結月はよっぽどたくさんの人に好かれてる。実際、あの新入り達とも今のところうまくやれてるだろ?」

「そ、そうだけど・・・」

「できるさ。きっと」

「無理」

「できる。そうやって卑屈になりすぎるのがお前の悪いところだ」

 頭がうまく働かない。

「酔ってきたんじゃない?天音達の方いってきたら?」

「・・・うん・・・」

 結月は天音達の所に行き、四人の酒に付き合った。


 その日の夜、天音は幽霊と会話する結月を見てしまい、噂程度だった怪奇現象の話に少し現実味が増した。





(締め切りに)勝ったッ!第一章完!

あけましておめでとうございます。

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