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アブノーマル  作者: 秋田こまち
第一章
12/17

第十節 終わり良ければなんとやら

朱憐の犯行動機を変更しました。

やっぱり戦闘描写がちょっと雑になってしまった。案の定ほぼ台詞です。

[序]

「となると、移動手段が必要ね」

「けどお義姉さん飛行魔術で飛べるんじゃ・・・」

「疲れちゃった☆」

「えぇ・・・」

「天音さんだっけ?あなた運転できる?」

「私免許持てる年齢じゃないです」

「別に酒もこの世界じゃさして年齢関係ないんだからいいじゃない。あー何処かに明らかに魔女みたいな人いないかなー。それかタクシードライバー」

「そんな簡単にいるわけ・・・」

 襖が開く。

 現れたのは金髪の少女。

「あれ、め、覚ましてたの?」

「「あ」」

 二人同時に声を上げる。

「ここにいるやんthe魔法使い」

「え?」

[一]

「クソッ今は事件がどうとか騒いでる場合じゃねえ。アレ抑えるぞ!あんたらも協力しろ!」

 優作は叫ぶ。だが、紫電は納得いかないような顔をする。

 朱憐が聞く。

「抑えるって、今あのガキがやって・・・うわっ」

「あれでも限度がある。魔術協会のやつが来るまで時間を稼ぐんだ。あと、あいつのことガキって言ったら」

 首を左に倒す。

 すると、そのすぐ横を弾丸が通り抜けていった。

「こんなふうに容赦なく攻撃してくるから気をつけろよ?」

「「えぇ・・・」」

 その時だった。

「出前屋敷でーす!協会の魔術師ご注文の方ー!?」

 足を出して急ブレーキ。だが、遠心力で一華の身体が横に向く。

「端白!?にしてはやけに遅かったな・・・ああこっちこっち」

「こいつ一人用!二人は流石に重量過多だよ!」

 端白は汗ばんでいた。

「けどありがとう。おかげであいつらを鎮圧できる」

「あいつ・・・らぁ・・・ッ!?」

 その目に映るのは形容し難い妖怪と魔術を大量に撃ち出す結月であろう人影。そして優作の隣でダウンしている二人の少年だった。


 結月の手からは血が溢れていたが、全て地面に辿り着く事なく、円錐形の弾丸となって礼華を襲う。

 だが、その弾丸は硬い装甲を貫くことなく、刺さった途中で止まってしまう。

 一見蜂の巣に見えるが、実際中身に影響はない。

 結月は更に無数の赤黒い柱の様な物を生成し、放つ。

 その攻撃は不発かと思われたが、その瞬間、柱が曲がった。

 直角に、鈍角に、鋭角に。対象に向かって折れ曲がった無数の柱が、礼華を襲う。

 装甲が剥げてゆく。

 だが、再び新たな装甲が生えてくる。

 きりが無い。そう思った結月は、自身の血液で大脇差程度の大きさの刀を作り出し、礼華の下に駆けていく。

 礼華は自身の装甲を変形させ障壁を作り出す。

 だが、その刃は盾を容易く切り裂く。

 もう一度横に振る。

 刀身は首に食い込み、それ以上進まなかった。

『・・・ッ』

『閻募鴨縺瑚カウ繧翫※縺ェ縺??縺ァ縺ッ縺ェ縺?°』

『うるさい』

 もう一度、礼華の喉元を狙い、振る。

 だが、やはり刃は進まない。どれだけ力を込めようと、進もうとしない。

―――それ以上は駄目。

 自分がそう言いかけているように感じる。

『ッ』

 危険を察知して後退する。

 礼華の目の前に巨大な魔術式が浮かび上がる。

 大型の砲撃魔術。

 魔術が使えたのか。そんな話はおいておく。

「―――全員退避!」

 ハイエースの中から柿沼の叫び声が聞こえてくる。

 端白と優作はそれぞれ横に跳ぶ。それに腕を引かれて天音と紫電も同じ方向に避ける。

 眼の前にいた結月も左に跳ぶ。握っていた刀が溶ける。

 もう一度首に刃をいれる。

 だが、やはり進まない。

 入ったところで力が抜ける。

 結月は刀を液体に戻すと、右掌を彼女の首元に当てる。出血が止まらない。

 結月は礼華の首に溜まった自身の血を無理矢理広げる。やり方としては、結界の破壊と同じ。

 一部の装甲は剥がれ、中から礼華の顔らしきものが出現する。炎に包まれ、顔として認識できるかも怪しい。もはや、その顔は妖怪と言うにふさわしいように感じる。

『ッッああああッ!』」

 突如、結月が頭を抱え、左手をついてしゃがみ込む。

 頭が裂ける。脳がバラバラになる。何もかんがえられなくなっていく。

『あ、ああ、あぁぁぁぁぁあ・・・あ・・・」

 結月が地面に倒れる。

「もう大丈夫だからね。私がいるから」

 一華は結月を抱える。優作は受け取ろうとするが、

「・・・私の恋人(いもうと)よ?」

「あんたが重度のシスコンであることは承知だが、そんなキャラだったか?少なくとも実の妹は彼女にできません」

「彼女じゃないわ婚約者よ」

「いやそっちのほうが無理」

 優作は結月を今度こそ受け取ると、共に飛んできていた天音に預けた。

「怪我は大丈夫?」

「はい。この通りぃいいいたぁぁぁあっ!?」

「駄目じゃん」

「へ、下手に動かなければ大丈夫ですから!」

「・・・こいつの怪我任せていい?」

「は、はい」

 天音は少し戸惑った表情を見せたが、それでも朱憐の腕の傷を完璧に塞いで見せた。

「だ、誰にやられたんです?」

「し、白いロリ・・・」

 結月が天音の腕の中で一瞬ピクリと動いた気がするが、きっと気のせいであろう。

「終わったわよ」

 礼華を担いで一華が歩いてくる。

「ありがとうございます」

 一華は腕の中で眠る結月を見てしまう。

「私のだからね?」

「何が!?」

「ん・・・んぅ?ぅ・・・」

 目を覚ます。

「んぅ?おかあさん?」

「へ?」

「ん」

 結月が天音に抱きつく。

「こうしてみると本当に・・・」

「あ゛?」

 勢いよく起き上がる。

「き、気の所為ですよ多分」

「?・・・ん・・・へ?あああああまねぇっ!?」

 結月は勢いよく離れた

「ど、どういう状況で・・・」

 遠くを見てみれば、紫電と優作が何やら話していた。

「なんか、仲良くなってない?」

「さあ?」


「その、ちょっといいかな?」

 優作達に刑事が近づいてくる。

「刑事さん。どうしたんですか?」

「ちょっとその子に用があってね」

 刑事は手錠を取り出すと、

「はい、ほとんどの警察官を洗脳?催眠?まあどっちでもいいや。公務執行妨害の現行犯ね」

 紫電の腕に掛けた。

 遠目に見ていた朱憐の腕にも、同じものが掛けられる。

「なあアンタ」

 結月が問いかける。

「名前は?」

「・・・朱憐」

「へえ・・・」

 結月は一拍おいて、

「待ってるから早く出てこいよ」

「へ?」

「自分がどんなことしたか、わかってるんだろ?」

「まあ、な」

「じゃあ、早く反省して出てきなさい。したらば、部屋探しくらいは手伝ってあげよう」

「・・・良いのか?」

「まあ、街にあんたらがいたら何かと面白そうだしね」

 軽く手を振り上げて、去っていった。

「・・・何だ?・・・アイツ・・・」

 朱憐は、少しだけ自分の顔が赤くなっていることに気づかなかったが、紫電に指摘され、自分が結月に抱いた感情を理解した。

「なんだアイツニマニマしおってからに・・・やっぱ許さねぇわ」

 

 ちなみに、この思いは釈放された直後、天音によって儚く砕け散ってしまうこととなる。


[妖怪無差別暴走及び桐生礼華失踪事件報告書]

 以上の通り、この事件は終幕を迎えた。

 二人は裁判を受けず、2週間ほど竹ノ塚警察署でお世話になるとのこと。

 本来ならば十年と下されていたが、大幅短縮されたのは被害者である桐生礼華と被害者達の少しの情けらしい。

 本人たちがこの件を起こしたきっかけは、政府への報復とかなんだか言っていたが、ただの勘違いだったらしい。片方は面白そうだからとそれに乗ったと供述している。

 桐生礼華が霊格崩壊を起こしたのは、朱憐の術式により暴走寸前だったのを朱憐によって娘、天音の腹部を撃ち抜かれたショックが上乗せされたことよるものであると思われる。

 大勢の妖怪の暴走、そして桐生礼華の霊格崩壊を起こし、街に大きな被害をもたらしたことについて本人たちは大変反省していた。また、朱憐は釈放されたら退治屋になりたいと供述。理由はわからない。

 また、この事件の被害は思ったより少なく済んだ。これは私達退治屋組合の努力の賜物であろう。設楽端白は変わらず働いており、桐生天音の怪我は完治し、桐生礼華の損傷は治りつつある。ちなみに枸城結月は先の戦闘で風邪を拗らせ寝込んでいる。

制作日:2014年12月3日

記入者:雨傘優作

[二]

 優作の脳裏にある光景が浮かぶ。

「・・・・騒がしくなりそうだなぁ。また一段と」

 部屋に、小さく笑い声が響いた。 

 背もたれによりかかる。

 パソコンと睨めっこしながら、優作は呟いた。

 そういえば結月が使った血液を媒体とした攻撃魔術、あれのことについて何も書いてないと思い立ち、備考欄にさらっと『枸城結月が使用した魔術については本人に確認をお願いします』と書き足す。



 結月は布団にくるまっていた。

「頭痛い・・・身体だるい・・・熱下がらない・・・わたしのしんかんがぁぁぁ」

「諦めてください?せめて熱が6度台まで下がらないと駄目です」

 天音が持っている体温計が指していたのは38.6℃。6度代とは程遠い数字だった。頭が働いていないのだろうか。喋り方が少し拙い。声も、いつもよりも幼くなっている。

「ほんやいきたい」

「だめです」

「ほんや」

「だめです」

「ほん・・・」

「だめ」

 結月は頬を膨らませながら布団に籠る。

「なんでそんな行きたいんですか・・・」

「だって・・・うりきれるかもしれないし・・・」

 結月は更に布団を深く被る。

「・・・ひまだしねるわ。おやすみ」

「おやすみなさい」

 寝息が聞こえる。


 天音は立ち上がる。

「そろそろご飯にしますね?」

「きをつけてね?ほうちょうがとんできたりどなべがとんできたりしないよね?」

「私のことなんだと思ってるんですか」

「ふわふわしたおじょうさま」

「いまの結月くんの口調の方がふわふわしてますね・・・」

「これはあたまがうまくまわらないから」

「頭が働かないと平仮名になるんですか」

 天音は台所に立つ。

 大丈夫。この前はできたんだから、あとは同じ様にやるだけと思っていた。

 その時、包丁が飛び、

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?!?」

 頭上に土鍋が落ち、

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?!?」

 まな板が二つに折れた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!?!?!?!?」

 包丁を避け、土鍋が降る位置を予測して一歩下がる。

 包丁は壁に刺さり、土鍋は床を少しだけへこませ、まな板は・・・もうどうしようもならんなこれ。

「な、なんで・・・」

「・・・いわんこっちゃない・・・」

 おそらく神通力の暴走だろう。結月はそう決めつけた。

「せいぎょのほうほう・・・かんがえよ?」

「せ、制御?なんの?」

―――え、無自覚?

 結月は軽く戦慄した。

[急]

 数日後。

「完 全 復 活 !」

 両手を掲げる。

「良かったな」

「だね」

「本当は本編扱いじゃなくて一話で風邪完治する予定だったって話する?」

「しないでよろし!今日は奮発して鍋!」

 結月は人差し指を立てていった。

 鍋って奮発する料理だっけ?

「奮・・・発?」

「こいつ普段味噌汁と米少量だから」

「天音によると昼ご飯カロリーメイト二本だったらしいよ」

「えぇ」

 扉がキイと音を立てて開く。

「ゆ、結月くん・・・・・・このお肉ですき焼き作って・・・」

 と天音は倒れ、震える手で結月に袋を渡す。

「どうしたの二人共。何処でこんな肉を?」

「き、今日人里のお肉屋さんが特売日でしてね。一パック六百円だったから買って来たんです」

「安っ。・・・何で天音は倒れてるの?」

「滅茶苦茶寒くて・・・」

「そーんな倒れるほどじゃないでしょー」

 結月は扉を開ける。

 隙間から冷気が漏れ出す。

「寒っ」

 体が凍る。

 指が、いや、全身の関節が痛い。

 即座に扉を閉める。

「外に出れる寒さじゃねぇや。皆風邪とかひいてない?」

「俺は大丈夫。防寒対策もばっちし」

 優作はそう言ってコートを掲げる。

「端白は?」

「まっさかあ。結月じゃあるまいし」

「お?んだおめえ表出ろや」

 二人が外出する。

 暖かい室内を再び冷気が襲う。

「寒ぅっ!」

「あーあ。始まっちゃった」

「何が始まるんです?」

「第三次大戦だ」

「え?」

「そこは乗ってよ」

 端白が扉を突き破って飛んでくる。

 入口に向かって、結月のような少女が入る。

 同じ白髪に、瞳孔が開いた赤い目。掌部からは、多量の出血。

「ストップストップ。一体こいつが何したって?」

 結月は端白を殴ろうと一歩踏み出す。

「やめろ結月!やめろ!」

『離せ。離して!HA・NA・SE!』

「やめろっつってんだろうが!」

 優作の渾身の左ストレートが結月の腹に炸裂する。

『い゛ッ・・・・・むー」

 結月は頬を大きく膨らませた。

 元の白い瞳に戻る。瞳孔が縮んでゆく。

「端白が何したんだよ?」

「だって、だって!」

「だってって。こどもか」

「あ゛?」

 優作に殺気が向く。

「そんなことよりもすき焼きですよすき焼き!」

「元気だね天音ちゃん」

「ですねー。あれがあの怒りっぽい賢者の娘なんて信じられないほどかわいい」

「結月、ちょっと耳貸して」

 優作に肩を引っ張られる。

 連れてこられたのは店ではなく二階、結月の作業部屋。

「そういえば聞いてなかったわ。最近どう?」

「どうって?」

「何か天音からあった?」

「何かとは?」

「ほら、告白とか」

「んなわけ」

「そうか・・・」

 階段を登る音が聞こえる。

「そろそろ準備しますよ」

「二人も手伝ってよー」

 台所からこちらまで声が聞こえる。

「はいよー。まあ、頑張ってくれや。俺はいつでも応援してるからさ」

「何でだろう。いま言われるとすごく信用できない」

「早くしろよー!」

「鍋重いんだぞー!」

「はいはー・・・・って、何で新田さんとかっきーまでいんの!?」

「あ?んだクソガキ。どさくさに紛れて舐めた口聞きやがって」

「そんなキレる!?あっちょ、まアァァァァァァァァァァァアアアアアアアッ!?」

 優作は今日も元気に悲鳴を上げる。

 時は二〇一三年十二月六日。

 隠世《かくしよ》と呼ばれる、いかにも現代的な日本とはまた別の世界の日本。

 東京都足立区のもう少しで草加と言えるほど辺境の森に、ある古本屋がある。瓦屋根に煉瓦造りの壁。何故か大きな穴が空いた扉の横には、「本、安値で売ってます」、その横に「依頼承ります」という小さい張り紙。

 瓦の下の看板には大きくもこぢんまりとした字で、店の名前が書かれていた。

 新月庵。それがこの店の名前。ここには毎度奇怪な事件が舞い込んでくる。


 だが、次があるとすれば、それはもう少し先のお話。

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