8:チョロい国王。
お風呂を溜めている間に、お皿洗い。
国王――レオは、またゴロゴロ。
「暇そうですね?」
「ん、暇だな」
「ちょっと働きません?」
「……国王だが?」
「王城に帰っ――――」
「さて! 何か手伝おうか!」
物凄い早さでソファから起き上がり、真横に走ってきた。
国王、チョロくない? 大丈夫?
「お皿、洗えるか地味に不安なんで、今日は洗ってるところを見るのと、お皿を拭いてください。拭くくらいはできますよね?」
「うむ。扱いが酷い!」
「あ?」
「なんでもない!」
ちょっとドスの効いた声を出したら、レオが真剣にお皿を拭き始めた。そしてお皿洗いもしっかりと見ている。何気に出来るタイプかな? とか考えたところで、そもそも国王陛下をやっているんだから、そもそもが有能じゃなきゃ無理じゃない? って結論に至った。
「はい、ありがとうございました。お風呂どうぞ」
「ん? リタが先に入らないのか?」
「立場的にレオが先でしょ」
「乙女がおっさ――おにいさんの使ったあとの湯でいいのか? 普通嫌がらないか?」
いま、自分でおっさんって言おうとして慌てたよね? 割とおっさんだって自認してるんだ?
「確かに、おっさんの後は地味に嫌ですね。じゃあ、先に入ってきます」
「おにいさんっ!」
「大きい声を出さないでください。近所迷惑です」
「ぬぐぐぐぐ……」
レオの扱いは雑にすると決めた。
だって勝手に居座ってるし。
お風呂に入りつつ、今後のことを考えた。
とりあえず、週ごとで食費とかは請求しよう。
王都は水にお金がかからないから助かっているけれど、ランプオイル代や薪代は馬鹿にならないのでそれも請求しようかな。
家賃は、うーん。悩ましいところだけど、私より家にいるって考えたら半分くらい請求してもいい気がしてきた。
お風呂から上がり、服を着て髪を乾かしながらリビングに向かう。
一人暮らしするには十分な広さで、リビングとダイニングは一緒になっているものの、四人掛けのテーブルと三人掛けのソファを置いても多少余るくらいには広い。
個室は一つしかないけれど、個室もまぁまぁ広い。実はベッドは二つ置ける。
なぜなら老夫婦用に作られた家だから。
「お風呂どうぞ」
「うむ。着替えは?」
「……知りませんよ。持ってきてないんですか?」
「ああ」
「じゃぁ今日もワンピース着てください」
「パンツは?」
「あるわけないじゃないですか」
「チッ」
このあと、レオが床にうずくまってたけれど、なんでだろうね?
レオに必要そうなものを買い揃えなきゃかな?
明日休みなんだよね。
一緒に出掛ける? 嫌すぎるなぁ。