40:養子縁組の相手は。
両親との顔合わせを終わらせてから、どんどんと話は進んでいった。
王城のサロンにて、養子縁組をすることになったけど、養父母のことはなぜか秘密にされている。レオの脇腹を軽くチョップしても教えてはくれなかった。
サロンの扉がノックされ、入って来たのは――――。
「トゥロさん!?」
「やぁ!」
トゥロさんが、同年代くらいの女性をエスコートしていた。ということは、その女性は奥様?
「久しいな、サンタヴォリ侯爵夫人」
「陛下、お元気そうで残念ですわ」
――――ん?
「あぁ、気にしないでくれ。妻と陛下は仲が悪い」
仲が悪いっていう言葉で済ませていいのかな? とソワソワしたけれど、三人とも気にせずサロンのソファに座ってしまった。
あと、サンタヴォリって、侯爵様じゃ?
トゥロさんは、サンタヴォリ侯爵? え?
「んふふふ。その顔は、いま理解したって顔だねぇ、リタくん」
「っ! はい。数々のご無礼――――」
「おやおや? リタくんはお父さんに向かってそんな堅苦しい言葉遣いをするのかい?」
――――えぇ!?
「何だそのパパムーブは……楽しそうだな」
「陛下、端的に気持ち悪いですわよ?」
「トゥロも大概だろうが!」
なるほど、犬猿の仲とかそんな感じなのね。
トゥロさんが養父。そして奥様が養母。
「まぁ、ほぼ名前を貸すだけのものですが、名前だけでも私どもの子どもになりました。困ったことがあったら何でも言って頂戴ね、リタ」
「ありがとう存じます」
お礼を言うと、養母が柔らかく微笑んでくれた。
レオよりも先ず私に相談なさい、と再度強めに言われたのには苦笑いしてしまったけども。
「さて、サインも済んだし、一緒に家に帰ろうかねぇ?」
「なっ!? リタは王城で――――」
「宰相と決定済みですわ」
トゥロさんたちが私も一緒に、サンタヴォリ侯爵家に戻ると言い出した。
それは、聞いてない。
この養子縁組が終わったあとから、王城のお部屋に荷物を移す予定だったので、レオも私も驚いていんだけど、どうやら既に計画遂行されていたよう。
秘密裏に私の荷物はサンタヴォリ侯爵家に移されているとのこと。
「なぜだ……」
「あらやだ、分かりませんの? この子の貞操を守るためですわよ」
「ぬぐぐぐぐ!」
いや、レオ、そこはなんか頑張って言い返しなよ……。