表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/44

31:わりとちゃんと国王。

 



 両親のこととか何か話したっけ? と聞いたら、レオが紅茶をゆっくりと飲んだ後に「ん? 調べた」と普通に答えた。

 調べたってどこまで調べたんだろう?


「貴族籍を失った経緯とか、両親や親族の身辺調査と現在地とかだな」

「…………そう、ですか」

「気になるか?」


 クッキーをサクサクと食べつつ、両親に思いを馳せる。

 今更、どうこうなる問題でもないし、二人とも普通に平民として伸び伸びと楽しそうに暮らしているし、特に何かを言う必要はない気がする。

 

「んー。別に大丈夫です」

()()()()()()()()()?」

「ガッツリ調べたんですね」

「そりゃあな」


 レオって、やっぱりわりとちゃんと国王なんだなって、また感心。

 

「叔父のせいで一度は領地が荒れ、領民たちに迷惑をかけてしまったらしいですが、今の領主様はとても堅実な方ですし、父母も今更戻りたいとか、取り戻したいとか、思っていない気がします」

「そうか」


 父の弟である叔父が領地のお金を使い込み、土地の権利書などを勝手にお金に換え、どうにもならないところで気付き、国に領地を丸ごと返納して爵位を手放すしか、領民たちを守れなかったと聞いています。

 父は、手遅れになるまで気付けなかったことをたいへん悔やんでいて、自分は人の上に立つべきではない、と判断しました。

 

 国に事情を話し、救済措置はないかと何度も相談はしていたそうですが、身内に犯人がいる以上、国は救いの手を差し伸べることはない、とキッパリと言われたと聞いています。


「……ん。すまない」

「レオを責めたいんじゃないんです」


 だだ、世の中にはどうにもならないことがあるのだと、痛感したのです。

 そしてそれに労力も精神も費やすのはもう無理だろうなと。


「だから、大丈夫なんです」

「リタに妙な諦めグセがあるような気がしていたが、それが原因か」


 ――――諦めグセ? 


 自分では気付かなかったけれど、レオは何か思い当たる様子だった。

 

「でも、ひたすら前を向く事もできるんだよな」

「自分では良く分かりません」

「ん」


 レオが柔らかな表情で微笑みながら、クッキーをサクッと食べた。

 

「なぁ」

「はい?」

「昼は屋台のものを食べてみたい」

「いいですよ」


 なぜ急に? と思って聞いたら、クッキーを食べていたらなぜか余計にお腹が減ってきたらしい。

 ついさっき食べたのに、変なの! と笑っていると、レオも楽しそうに声を上げて笑い出した。


 もう少しだけ、ここで二人だけの時間を過ごしたいなと思っている。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜

☆ コミックシーモア様先行(限定SSあり) ☆

❄ 8/26(月) ❄

書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

※コミックシーモア様以外の電子書籍書店様は9/20 (金)になっております。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ