27:悶え苦しむレオ。
ベッドの中でレオに抱きしめられ、こう……男性の生理現象とこんにちは。いや、こんばんわか。
って、そこはどうでもよくて。
「……あの日ね、一夜限りの、でもしておけばよかったって後悔したの」
「自分を大切にしろ!」
「っ、ごめんなさ――――」
「私は紙のこよりより耐久性がないんだぞ」
スンとなった。
もしやこの人、それで逃げた?
「……いいか? 初めては閨教育のわりとガッツリ年上のオバ……未亡人。現在三二歳なのに妻もおらず、そういう相手も使用していないおっさんの股間事情はな、そこらの十代と同程度だ」
国王なのに何を言ってるんだろうかこの人は。
というか、耐久性がなさ過ぎる。
あと、オバサン言いかけたね。
貴族ってそういう教育があるって聞いたけど、本当にあったんだ。
「いやまぁ、通過儀礼なんだが、人に見られながら出来るか」
「見!?」
「私の息子の能力値はゼロに等しかった…………あのあとしばらく引きこもったな…………」
レオが遠い目をしている。ってか監視までいるんだ?
「失敗――――」
「失敗いうな!」
「え、ごめん?」
謝り方が雑だとか怒られた。そして自分はどうなんだと聞かれた。
「いや、そんな相手とかいなかったし、初めて好きになったのレオだし」
「っ! 分かってて聞いた私が馬鹿だった。なんだこの耐久レースは…………」
レオが悶え苦しみ出した。
「なんで我慢してるの?」
普通に気になった。
なんとなく予想はついているけれど、知りたかった。レオの気持ちを、言葉で。
じっとレオを見つめていると、眉間に皺を寄せて固く閉じていた目蓋をゆっくりと押し上げた。
「ここで散らしてどうする。散らすなら王城で、私との初夜にしろ」
「っ!? なんで……王城」
「妃にするからだろうが!」
ゴチンとまた頭突きされた。そして、熱いキスも。
なんだろう、普通幸せいっぱいな告白のはずなのに。おでこが痛いのと、レオの鼻息が著しくうるさくて、なんかスンとなった。
「そういうことだから、寝るぞっ!」
「う、ん……」
「なにか言いたいことがあるなら、ちゃんと言ってくれ」
「……自分のベッドで寝ようかなって」
「却下!」
――――なんでよ?
結局、レオにギュムムムムッと抱き締められて眠ることになった。
朝目覚めて、身体が自分のではない体温で温かいことに気が付いた。
――――レオがいる。
目の前にある胸板にそっと手を添え、おでこをくっつけた。
なんとなく心音が聞こえるような気がする。荒い鼻息に混じって、微かに。
「おはようございます」
「んっ、ふぐ……おはよう」
あまり素敵な目覚めではなかったけれど、それでもレオが側にいてくれたことは、ものすごく嬉しかった。
「レオ」
「ん? ムフーッ」
「鼻息うるさい」
「くっ……!」
まぁ、思ったことはしっかりと伝えるけども。
「朝ご飯作ってくるね」
「ん。手伝おう――――」





