15:寝室にて。
お風呂から上がって新しいソファにダイブ。
モフンモフンと身体が跳ねる感じ、最高すぎる。
「気に入ったのか?」
「はい!」
柔らかに微笑んだレオに勢いよく返事すると、レオがフフッと楽しそうに声を出して笑いながらお風呂に向かった。片手に新しく買った着替えを持って。
新しいものを使う日って、なんかワクワクするよね? それは国王も同じみたい。
お風呂上がり、それぞれでソファに寝転がり、本を読みつつ、アイスティーとクッキーをもぐもぐ。
休みの夜って最高だ。
明日も早いから、もうちょっとだけ読んでから眠ろうかな――――。
って、そういえば、寝室を一緒にしちゃったんだった。サウルが気を利かせて二つのベッドの間にパーテーションを用意してくれたのは、めちゃくちゃありがたかった。
「ほんじゃ、おやすみなさい」
「うむ。良い夢を」
「はーい……」
「……」
「…………」
――――眠れない。
よくよく考えたら、他人と同じ空間で眠るのって初めてだった。
家が没落して、少しの間だけ両親と同じ部屋で眠ったこともあったけど、わりとすぐに個室に眠れるくらいには収入が出来たし、今は独り立ちも出来ている。
友だちは、ほとんどいない。わりとぼっち。
友だちが泊まりに来たら、こんな感じなのかな? 相手は国王だけど。ってか男性だけど。
そもそも、友だちとだったらパーテーションなしで、夜通し話したりとかするものかも?
「レオ、起きてます」
「…………」
プスーッと寝息が聞こえる。
レオ、寝てるね。完全に寝てるよね?
地位のある人って、こう、人の気配に敏かったりとかないのかな?
いや、あるんなら人の家に転がり込んでリビングで寛いだり、寝たりしないか。
――――寝よ。
昨夜はあのあとわりとサクッと眠れた。
そしていつも通りに起きて、朝食の用意をした。
「ん…………はよう……」
あふあふと欠伸をしながらレオが起きてきた。
目をこしこしと擦っているのは、なんだか幼く見えて可愛かった。
「朝食出来てますよ」
「ん。ありがとう」
ダイニングテーブルに着き、二人で食べながらちょこっとおしゃべり。
レオは新しいベッドになってあまり眠れなかったと言っている。
――――あれ?
でも昨日の夜は直ぐに寝てたよね? と聞くと、寝入りは良かったが、夜中に何度か目が覚めたらしい。
「ソファはソファで寝てるという興奮からか、よく寝れたのに」
興奮で寝れるってどういうことだと聞いても、理解はできなかった。よくわからないけれど、古い方のソファラブすぎる。
「じゃ、いってきますね」
「ん、留守は任せろ」
「はーい」
王城に向かって歩き出したところで、ふと思った。
レオって一人のときってなにやってるんだろう? 留守を任せろって言ったけど、家のことってたぶん何もしないだろうに。
いやまぁ、家に人がいるってだけで防犯の役には立つのかも? 反国王派とかいたら、家を襲撃されそうだけど。ありがたいことに、かなり平和なこの国。そんな事件はほぼ起きないと思っていいから、結局はありがたい。
そんなことをつらつらと考えながら歩いていたら、仕事場に到着した。
――――さて、頑張って働きますか。