8話 入学
8話読んでいただきありがとうございます。
「ジャックはすごいだろ」
リヒトはどうだと自慢するように言った。
「すごいな、闇魔法に土魔法で勝てるなんて」
アリスの方に回復魔術師が向かい治療している。みるみるうちに足に空いた穴が塞がっていく。
「ほ、本気じゃないんだから。いつもだったら探知魔法で今の攻撃も気づいて防いでたんだからね」
悔しそうにこっちを見ながら言ってくる。目がうるうるしている。今にも泣きそうだ。
こちらも本気じゃない。と言いたいところだが土魔法に絞ったのなら今のが本気だ。物量はもっと増やせたが、闇魔法は対物質においてはほぼローリスクに打ち消してくる。相手の隙をつく戦い方をして正解だった。
門の前にいた人がこちらに近づいてくる。やはり校長先生だったのだろうか。
「甘えるな、アリス。相手の力量を正確に見極めきれなかったお前の負けだ」
ふぉっふぉっふぉと言ってないので校長先生ではないな。多分アリスの先生か師匠だろう。
「すいません、校長先生。ジャック、次は負けないんだから」
「分かれば良い。ジャック、実技試験は合格だ」
そう言って2人は去って言った。
俺たち学生はほとんどが寮生活だ。部屋は1人部屋でワンルームにベッド、机、椅子がある。トイレは共同、ご飯は学食がある。ちなみに男女別棟である。寮生活はしたことないが日本の一般的なものよりは優れている気がする。俺は魔法の練習をしてベッドで寝た。
試験の翌日には入学式だ。推薦組と推薦組以外は分かれているらしい。推薦組以外は大商人か貴族である。下級民がとか下賎なものがとか言われると思っていたが違うらしい。俺らは完全に実力(固有魔法)で選ばれている。幼少期から魔法を学んでいる人でも1年後には推薦組より弱いなんてことがあるらしい。のちに強者になるものたちを蔑むことはリスクが高いと考えているのだろう。
校長先生の話は長いと相場は決まっている。いつも通り妄想に耽ようとした。
「ガリス王国最大の魔法学校の生徒として恥のない行動をしましょう。入学おめでとうございます」
あの校長先生はいったいどういう人なんだ。話が短いのはうれしいのだが、キャラがつかめない。二重人格なのだろうか。
「次は生徒会長の話です」
「生徒会長のヴェルト・ラウムだ。言うことは一つ、俺に勝てるよう努力しろ。以上だ」
そのまま入学式が終わった。ヴェルト.・ラウムを同じ中二病として尊敬した。
クラスは3つある。1、2組は金持ち組、3組が推薦組だ。席は1番後ろでリヒトと隣だった。
「皆さん、おはようございます。軽く学校の説明をします。ランレスト魔法学校は2学期制で5年間あります。生徒会長は後期最後にある闘技大会の優勝者です。皆さんもなれるように頑張ってください。授業は明日の9時からです。」
こうして1日目が終わったのだが、新入生にとって1番大事なのはこの後である。ここでクラスの立ち位置がほぼ決まる。そう自己紹介だ。俺は静観の姿勢をとる。
「昨日のお前すごかったな」
「もうあんなに魔法使えるのすごいね」
昨日のおかげか転校生みたいになってしまった。中二病は孤高の存在である。別にうれしくはない。本当にうれしくない。心の奥底で笑った。
授業が始まった。
「基本魔法は全5種あり、皆さんがすでに覚えているであろう防御魔法、探知魔法に加え、解析魔法、記述魔法、圧縮魔法があります。それを覚えましょう。では訓練場に行きますよ。」
訓練場体育館の壁を白くして殺風景にしたような見た目である。そのおかげか15個ある。なぜ防御魔法と探知魔法を先に学んだのかは、基本魔法を全部習得したら分かった。戦闘でほぼ使えないのだ。圧縮魔法に至っては今のところ何も使えないらしい。俺は10日ですべてマスターした。授業日数は1月分とってある。全員学べるようにできてるらしい。リヒトは2週間でマスターした。俺の次だった。俺は1日中魔法を使っているため、才能ではリヒトの方があるのだろう。認めたくないが。
終わったら朝のホームルーム以外は自由にしていいらしい。だが俺は訓練場に行く。そこで俺は教えを乞うひとに感覚派みたいに教えて、天才っぽく見せた。