28話 光魔法
闘技大会とは一学年から四人、四学年で計一六人で行うトーナメントである。試合は半径二十メートルの闘技場で行われ、どちらかが降参するか、死ぬまで戦いは終わらない。つまり殺し合いということだ。闘技大会はこの国のトップの人々、騎士団団長や魔術研究総括局局長などが見るらしい。これは今後の就職に関わってくる重要なイベントだ。俺は就職先はどうでも良いが、学生に負けていては最強には成れない。無対策で全勝して見せる。、、、生徒会長だけ調べとくか。
生徒会長のヴェルト・ラウムは光魔法を使う。光魔法の取説を読んでみた。頭に入れなければならない情報はこのくらいだろう。
光魔法は二系統あり、攻撃光と通常光である。
一般魔術師の場合
攻撃光は発動してから最低でも0.1秒間光の玉としてとどまり続ける。
光の玉は光線になるまで発光し続ける。
光の玉が光線になるタイミングは発動者が自由に決めれるが、攻撃方向は魔法の発動時に決める。
光線は光と同じように進む。
熟練の魔術師は自分にあたる光を解析し、適切な光を全身から出すことで透明化するが、探知魔法でばれる。
取説には他に光線の使い方や色の変え方などが書いてあった。
この取説の内容だけで判断すると光魔法はそんなに強くない。攻撃速度が光速でも攻撃の方向が分かるのなら防御は容易い。たぶん光の玉を無数に置いて読み合いをするのがセオリーなのだろう。光魔法は強くないが弱くもない。なぜ推薦メンバーに光魔法が選ばれるのだろうか。まあそれは俺が考えることではない。生徒会長は読み合いが強いか、基礎がしっかりしているかのどちらかだろう。どちらにしろ光速を活かした戦い方になる。自動魔法は条件を満たしたら0秒で発動する。最強としてあまりしたくないが仕方ない。これは相性勝ちだな。
闘技大会当日になった。
「ジャックくん、応援してますから勝ってくださいね」
「応援してくれなくても勝つさ」
ミリスはムッとした表情でこちらを見てきた。
「素直にありがとうや頑張ってくるって言って下さい」
「頑張ってくるよ」
「よく出来ました」
少し歩くと階段が見えた。
「俺、こっちだから」
ミリスが階段を少し登ったところで振り返った。
「全員ぼこぼこにしちゃえ」
ミリスはすぐ前を向き直した。
「頑張ってくるよ」
俺はそう返した。
開会式が始まった。
この学校の、話は短い。すぐにメインのくじ引きが始まった。俺の番号は、、、1番。たぶん初戦だな。
「くじを集めます。皆さんここに並んで下さい」
俺の対戦相手は誰だ誰だ、、、名前を聞いても分からないから意味ないか。
「トーナメント表はこの通りです。初戦のジャック・ブラウンとヴェルト・ラウムはここに残り、他の人は待合室に移動して下さい」
えっちょっと待てよ。普通決勝で当たるよね。いや万全の状態で前学園最強を倒せという神のお告げに違いない。生徒会長、いやヴェルト、俺が完膚なきまでに叩きのめしてやる。




